第93話 復興編 (サラキアの遺跡編)
視点はグランに切り替わる。シオンからブラックドラゴンのカーミラを貸し出され、サラキアの森のアリ塚に向かっていた。
空の旅を楽しみつつ、グランはカーミラに話しかける。
「カーミラ嬢ちゃんよ。いくらシオンの頼みでも、その命令に絶対服従って訳じゃないんだろ?無理に付き合わなくてもいいんだぞ?」
そうグランが問いかけると、今は従魔としてのパスも繋がっているし、嫌ではないと答える。それなら良いんだが・・・とグランは納得することにした。
段々サラキアの森が見えてきて、もうすぐ調査するべくアリ塚に到着する。グランは周囲を確認してから、カーミラが空けた大穴の中に入って行ってもらう。
「これは相当深い所まで続いてるな」
そう呟きながら、カーミラに指示を出し、下層まで降りていく。すると・・・
「こいつは・・・遺跡か?」
ブレードアントクイーンの巣穴の下にむき出しになった遺跡が現れていた。グランはカーミラに着陸してもらい、周囲を警戒する。カーミラも人化し、グランに続く。
2人は警戒しながら遺跡の中に入って行った。
「ダブルブレイド!」
グランは魔物達をどんどん討伐していく。そしてカーミラはそのグランをサポートするように立ち回る。この数ヶ月の間、2人はこの遺跡に出たり入ったりしていた。
エウリーの冒険者ギルドには報告を入れていたが、実際この深さの遺跡に入れるのはグランしかいない為、調査を一任されていた。
シオンのLV上限解放の影響もあり、グランは絶好調であった。カーミラもしばらくグランと一緒に行動していたこともあり、信頼する仲になっていた。
カーミラはヤンキー系の感じでシオンに出会ったが、元は大人しい性格であった。その為、武骨ではあるが、豪快なチョイ悪系のグランに自分が惹かれていることを感じていた。
これが主従関係による好意なのか、一人の男としての好意なのかが分からず、カーミラは戸惑っていた。そんな中、グラン達は遂に最奥の場所を見つける。
グランとカーミラは警戒しながら、扉を開け、奥の広間に入って行く。すると・・・声が聞こえてきた。
「この遺跡の最奥まで到達した者よ。その武具一式を受け取るがよい」
その声が言い終わると・・・部屋の中心に宝箱が出現した。グランは直感で危ないと感じ、バックステップで後退し、カーミラを突飛ばす。
突飛ばされなかったら、アレにカーミラは致命傷を負わされていたかもしれない。それは開いた宝箱から現れていた。リビングアーマーである。
一瞬のうちにグランは立ち上がり、戦闘態勢に移る。カーミラは雄たけびをあげる。
「カァァァァァァァァァ!!!」
しかし効果が見られない!カーミラよりLVが100以下ではないと証明された。強い・・・そう思っていた一瞬でリビングアーマーはグランに接近し、剣戟を仕掛けてくる。
速い!グランは類まれなる身体能力と、見切りを使い、何とか攻撃をいなす。カーミラも援護したいところだが、グラン達の立ち位置が目まぐるしく変わる為に援護が出来ない。
グランがリビングアーマーを上手く弾き飛ばす。距離が出来たと思い、カーミラがブレスを吐こうとした瞬間!
「駄目だ!逃げろ!カーミラ!」
ブレス収束の硬直の一瞬を狙い、リビングアーマーが剣戟を飛ばして来た。カーミラは動けない。グランは届けという思いでカーミラの盾になる。
双剣でリビングアーマーからの剣戟を何とか受け流し、致命傷は防いだが・・・グランの左腕が切り飛ばされた。
「くそ・・・ドジったな。今だ嬢ちゃん焼き払え!」
カーミラはグランの声で、ファイアブレスをリビングアーマーに放つ。
「ズドォォォォン!!」
リビングアーマーはその炎に耐え切れず、その場に崩れ落ちる。それを見届けてから、カーミラはグランの手当てを急いで行う。
「どうしてあたしなんかを庇ったんだ!あんたなら一人でも何とか出来ただろ!どうしてだよぉぉぉ・・・」
そう言って泣きながら持ってきたポーションを使い回復させる。グランはすまないなと言ってカーミラの治療を受ける。
部位欠損を治すには高位の聖魔法が必要である。ここから出た後にシオン達に治してもらおうと考えていた。しかし・・・
部屋に入ってきた扉が閉まる。そして・・・カーミラとシオンを繋いでいた主従のパスが切断される。
カーミラはすぐにシオンとパスを繋ごうとするが繋がらない。どうして!?とカーミラは混乱する。
そしてグラン達が周りを警戒していると・・・リビングアーマーの周りに黒い靄が出現していた。
グランは直感であれはやばい!触れてはいけないものだと感じ、すぐにカーミラに竜化させ、出入り口を破壊するように指示する。
カーミラはすぐに収束フレアブラストをチャージし、グランを爆風から守る盾になりながら、入り口に向かって放つ。
「シュイン・・・スドォォォォン!!!」
黒い靄や入り口を無事に破壊する。これなら逃げられると思った瞬間・・・カーミラは動きを止められる。
これは・・・あの黒い靄のせいではない・・・グランから動き封じられている?どうして!?
カーミラが辛うじて首をグランに向けると・・・そこには切り飛ばされた左腕が再生し、先程まで戦っていた漆黒のリビングアーマーが装備され、黒い靄を纏っているグランが立っていた。
そしてグランはカーミラに一言だけ声を出した。「すまねぇ・・・カーミラ嬢ちゃん」と・・・
その後、主従のパスを通じて・・・カーミラも意識を支配されていくのであった。




