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異世界で好きに生きていいと言われたので、3つの願いをした  作者: 猫丸ストレート
第1章 3つの願い編
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第8話 入学直前編

シオンは2日かけて地元のパープルの町から王都に近いエウリーの町に到着した。


道中商人などにバレないように空間魔法で食料を出した。自分で食べる分より多めに出し、商人や同乗者に振舞ったところ喜ばれた。


商人に至っては、レッドボアの燻製や、レイクタートルのスープなどは滅多に食べられないと豪語し、何かあれば相談に乗るといって名刺のようなものを渡していった。名前はハンスと名乗っていた。



いざ町に着いたとはいえ、入学前の適正試験は3日後だ。取り合えず宿を探そう。辺りをうろついていると声を掛けられた。


「君この町は初めてだね?良かったら相談に乗るよ!」


猫耳と猫シッポが生えた亜人のお姉さんだった。一般男性よりは身長が低いとはいえ、自分よりも20センチは大きかった。丁度いいので尋ねてみた。


「この町で宿を探しているんですが、どこか心当たりはありませんか?」


猫のお姉さんは少し考えた後、2ヶ所の宿を紹介してくれた。


1つは値段そこそこで、店主がぶっきらぼうだがセキュリティも行き届いている宿


2つ目は値段は安く店主の愛想がいいが、セキュリティが甘い宿


絶対隠蔽と索敵、それに自動防御があるとはいえ、毒などは防げない。安全と価格のトレードオフだ。1つ目の宿に決めたと話すと連れて行ってくれるとのこと。


いざその宿屋について入店しようとしたところ、連れてきてもらったお姉さんが振り返り、


「いらっしゃいませ。当店にようこそいらっしゃました」


といってお辞儀をしてきた。どうやら宿の店員だったようだ。


そのまま店内に入店すると、店主と思われるドワーフの男から確認された。


「今ナリスと一緒に入ってきたが・・・客でいいのか?」


ナリスというのは先程の猫のお姉さんのことだろう。一応客として来たが、価格を教えてほしいと聞いたところ、店主は渋い顔をした。


「ナリスのやつ・・・また値段を言わないで連れてきやがったな・・・はぁ・・・」


店主はお疲れのようだったが、きちんと説明してくれた。


「1泊2日で銀貨5枚。これは宿泊料金だけだ。2泊3日だと銀貨10枚といった感じだ。3食付けるとなると1日当たり銀貨2枚だ」


一応貨幣の単位も子供にも分かるように教えてくれた。


「ちなみに銅貨10枚で青銅貨1枚、青銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚だ。その上にも白金貨というのがあるが、普通は縁のないものだ。分かったか?」


なるほど。今まで貨幣を使ったやり取りはしたことが無かったが、大まかに言うと・・・


銅貨1枚・・・・10円

青銅貨1枚・・・100円

銀貨1枚・・・・1000円

金貨1枚・・・・100000円


こんなもんか。おっちゃんぶっきらぼうだがいい人じゃん。


「教えてくれたありがとうございます。それでは3食付きで2泊3日でお願いします」


そう言うとぶっきらぼうに、銀貨13枚にまけといてやらぁと銀貨1枚をサービスしてくれた。


店員からラビンさん早く来てください!という声が聞こえてた為、調理場に戻っていった。おっちゃん・・・ラビンという名前だったのか。


取り合えず宿の手配が終わったため、部屋に案内してもらった。


荷物という荷物はないので、ダミーのカバンを置いて、フロントに声だけかけて街に出た。


「さすがに大きな町というだけあって人が多いな・・・」


そう独り言をいいつつ辺りを散策する。収納魔法に入れておけば困らないので、妹弟に良いお土産は無いか見て回っていく。


あちこち回りすぎたせいで迷ってしまった。後で町の地図をどこかで買えないか、宿の主人にでも聞いてみるか。表通りに向かう道を探しながら歩いていると、悲鳴と怒声が聞こえてきた。


スキルの絶対隠蔽と索敵スキルを起動し、様子を伺ってみると1人の少女に対して2人の大人の男が連れ去ろうとしているではないか。少女はバタバタと暴れ、男達は焦っていた。


「おい早くこいつの口を塞げ。両手両足も縛って動けないようにするんだ。後手荒なことをすると値段がつかないし、面倒でも傷をつけないようにしろ」


そう言って2人がかりで抑え込もうとする。さすがに見過ごせるわけもなく、自動防御も起動し、背後からミスリルの剣の鞘で峰撃ちする。


男がゆっくりと倒れる。それを見たもうひとりが周りを警戒する。しかし周りには連れ去ろうとしている少女しかいない。


次の瞬間にはもう一人の男の意識もなくなった。


男たちが倒れたことにキョトンとしている少女の前に絶対隠蔽を切ったシオンが現れる。


少女は最初びっくりして叫んだが、シオンが何もしないと分かると安心したのかぐったりしてしまった。


さすがにこのままにするわけにもいかなかったので、一応2人組は縛り少女は騎士団の詰め所に連れて行った。


騎士団の方で少女の捜索が行われていた為、大いに驚かれ感謝された。お礼をしたいのでと言われたが、特にすごいことをしたわけでもなかったので、辞退させて頂いた。


その後、縛り上げた男達の場所に騎士団を連れていき、男達は気絶したまま御用となった。


ここ最近少女を誘拐し、売り飛ばすといったやり口の盗賊だったらしい。下っ端ということもあり、死罪ではなく鉱山奴隷として連れていかれたようだ。


こうした事件に巻き込まれたことによって、シオンは少女リシアと出会うのであった。


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