第79話 復興編 (警備隊勧誘編)
後日ロレンツの不正が暴かれ、ベリルの店主は知らなかったとはいえ不正に加担していた為、罰金が科された。当のロレンツはギルドから横領した罪で、犯罪者として町での強制労働となった。
そしてバリオスからはお礼を言われ、パレットの町に移籍する件になったのだが・・・
「シオン様すみません。スマトラのギルド職員の総意で行かないで欲しいと言われてしまいまして・・・移籍してもよいという優秀な職員を派遣しますので、それでご容赦して頂けないでしょうか?」
そう言って、ミスリルもお返ししますので、どうかご容赦をと頭を下げてきた。ギルド長候補の者がいましたので、そちらは辞令として移籍させて頂きますと伝えてきた。
バリオスが来れないのは残念だが、それなら仕方ないねとシオンは了承した。その後、ギルド長候補のライズや移籍する職員を紹介された。
出発はパレットの町の都合に合わせてということになり、準備が出来次第連絡をするとバリオスに伝え、シオン達は商業ギルドを後にする。
シオンはまず武具屋ジストに向かった。カーミラの服はシオンが創造で作り出した適当な物だったので、センスが無かった。
武具屋ジストに入ると、レミアに声をかけられる。
「あらシオン君こんにちは。今日はどんな御用かしら?」
シオンはカーミラの防具一式を見繕って欲しいと頼む。予算は特にないのでと伝える。すると・・・
「カーミラさんはかなりスタイルも良いみたいだし・・・燃えるわ!」
そう言って採寸を始めた。1週間ぐらいで出来るという話なので、それで良いと返答した。
シオンはその件とは別に、レミアに相談してみた。移籍の件である。すると・・・
「新しい町の武具屋?いいわね!しかも表通りの立地の良さそうな場所だし、お店も広いのよね?私はどちらかと言うと魔獣の素材を扱った商品の方が得意だし・・・うん良いわ。移転することにするわ」
そう言って快諾してくれた。家族の事は任せておいてとの話である。取り合えず日程を調整しなければならないので、一ヶ月程待ってもらうことにした。
シオン達は一度パレットの町に戻ることにした。いつものようにカーミラに騎乗し、空を飛んで行く。
翌日の昼頃に到着し、ギルドに向かう。中はそれ程忙しそうではないようだ。シオンはホフマンを見つけ、取り合えず今までの事の擦り合わせを行う。
「なるほど。エウリーの町のハンス商会と契約を結び、スマトラの町から商業ギルドの職員をスカウトしましたか。後は冒険者には有難い武具を作成できる方をスカウトとしたと」
確かに理にかなっていますねとホフマンは納得してくれた。後は・・・と考えた時に、警備部門である。
スマトラの町のクラウスに来てもらえれば間違いはなかったのだが、生憎彼は警備責任者の為、引き抜いてしまうとスマトラの町が心配になってしまう。
そこでシオンが考えていたのは、冒険者を騎士団として雇用しようというものである。
基本的に冒険者は魔物を狩って生計を立てている。それは父アルスも同じことである。それを固定給を毎月払う代わりに、治安を守ってもらうのである。
そこで白羽の矢が立ったのが、同期の友人のレイルであり、彼を騎士団の副団長にする予定である。なぜ団長じゃないのかって?団長は他に決めている人がいる為である。
さらにホフマンのサポートとしてアイラを呼び、内政をしてもらう。メイアには町の情報収集に当たってもらうつもりである。
その件をホフマンとリシア達にも伝える。リシアは久しぶりに会える友人達に喜び、ホフマンは良い采配だと思いますと納得してくれた。
一週間程パレットの町で休養を挟んだ後、シオン達はエウリーの町に向かって飛び立っていった。
2日後エウリーの町のハンスに会う為に商会を訪れると・・・ハンスの印が無い。一応中の店員に話を聞くと・・・
「旦那様はパレットの町に出発なされております。これをシオン様にお渡しするようにと預かっておりました」
中を読んでみると・・・エウリーは副店長を代理として立て、自分自身はパレットの町に支店を立てると書いてあった。どうやら行き違いになってしまったようだ。
店員さんにスマトラへの輸送代金はどうしたら良いか尋ねると、ハンスに直接渡して欲しいという事であった。
シオンはハンス商会でやることは終えたので、索敵を行う。すると・・・エウリーの冒険者ギルドにいるようだな。
シオンはお目当ての人がいるのを確認してから、冒険者ギルドに向かう。
そして中に入るとかなりの賑わいを見せていた。その中でお目当ての人を探すと・・・すぐに見つかったので声を掛ける。
「こんにちはグランさん。お久しぶりです」
声を掛けられたグランは振り向く。
「シオンじゃないか!最近あまりお前の話を聞かないから退屈していたところだ」
そう言ってがははと笑っている。シオンは話したいことがあるので、少し良いですかと尋ねると、雑談スペースに移動してくれる。
「それで?改まって俺に話っていうのは?」
シオンは新しい領地の警備部門のトップをやって貰えないかと頼み込む。グランは難しい顔をしている。そして少し条件を付けてきた。
「シオンの頼みならできれば聞いてやりたいが・・・俺にはエウリーの町の臨時講師もあるからな。月に1度か2度は学園に顔を出さなければならない。その件がネックだな」
他の待遇面に関しては問題ないという。移動時間さえクリア出来れば問題はないかとシオンは確認した。
「問題は無いな。学園に顔を出す日を予め決めておけば、問題はないからな」
それを解決出来る手がありますと、シオンはグランを連れてエウリーの町から離れた所にやってきた。そして・・・カーミラを竜化させる。
「ズズズズズズズズズ・・・」
それを見てグランは唖然とした。ソニアに続いて2体目である。グランは乾いた笑いしか出てこなかった。
「ははは・・・まさか2体目とはな・・・これは驚いた」
そう言って目が死んでいる。そのグランにシオンは畳みかける!カーミラをグランさんに貸し出しますので、警備部門のトップをやって頂けないでしょうか?と。
カーミラからは「んな!?」と寝耳に水の話だと抗議を受けたが、シオンの決定は覆らない。グランはそのシオンの話を聞いて、目に光が戻る。そしてシオンに聞いて来た。
「本当にそのブラックドラゴンの嬢ちゃんを借りていいのかい?それなら俺も狩りに行きやすいし、大助かりだが」
シオンは構わないと伝える。グランは迷ったようだが、どうやらこちらの頼みを聞いてくれるようだ。
ただ学園の事情もあるので、手続きに少し時間がかかるようだ。1ヶ月以内に迎えにくるので、朝の時間は冒険者ギルドに顔を出すようにお願いした。
その間に、冒険者で実績があり、素行に問題が無い人物の勧誘もお願いしたところ、流石に苦笑いをしていたが、2つ返事で引き受けてくれた。
その後、シオンはグランをエウリーの町に送り届け、次の要件に取り掛かるのであった。




