第76話 復興編 (スマトラの町勧誘編)
シオン達はいつものようにスマトラの町の直前で、一度カーミラに降りて貰い、人化してから絶対隠蔽を解除する。
そしてスマトラの町の入り口近くに空間移動をして、入場待ちを行う。しばらくするとシオン達の番になったので、ギルド章を見せる。
「あ・・・あなたは!上司のクラウス様からお噂は伺っております。どうぞお通りください!」
何故か今回はリシアではなく、シオンの方がやたらと注目されている。何かあっただろうか?
取り合えず先に用事を済ましてしまう為に、シオン達はスマトラの商業ギルドに向かう。シオン達が中に入ると・・・かなり揉めているようであった。
「いつになったら品物が入ってくるんだ!これじゃ商売あがったりだよ!」
「あんたの所はまだいいだろ!商品も品薄とはいえ残ってるんだから!」
「こっちなんて3週間も入荷を待ってるんだ!こっちが先だ!」
どうやらカーミラのせいで流通が遮断されていたようで、食料品関係が悪化しているようだ。シオンがカーミラを見ると、カーミラは目を反らした。
シオンは取り合えずハンスの要件を済ます為に、その集団の中に入って行った。
「すいません。エウリーの町から品物を輸送してきたのですが、担当者の方はいらっしゃいますか?」
それを聞いたさっきまで騒いでた商会の担当の目が変わった。自分の所に優先的に回させる魂胆なのだろう。
担当者がやってきたので、どこに置けばいいか確認すると、すぐ近くの一画が空いているので、そこに置いて欲しいと言う。
その場所は先程の場所から見えるところにあり、シオンはどうしようか考えた結果・・・全て一気に出した。
「ズズン!!!」
真っ先に自社の分を確保しようと動こうとしていた商人たちの動きが止まった。ギルドの職員は固まっている。
沈黙が場を支配する。シオンは呆気に取られているギルドの担当者に、受領のサインと料金を支払って貰うように催促する。
すると・・・今だ心ここにあらずといった感じだが・・・持ってきた売却金は確かにあっている。
シオンがそれじゃとリシア達を連れて外に出ようとしたその時・・・シオンに声がかかった。
「ま・・・待ってくれ!少し話をいいだろうか!?」
そう言って30代後半ぐらいのギルド職員らしき人が声を掛けてきた。シオンは何か?と尋ねると、自己紹介を先にしてきた。
「私はここのギルドで副ギルドマスターをしているバリオスという。君に力を貸して欲しい!少し話を聞いて貰えないだろうか?」
そう言って奥の部屋へと移動を促して来た。他の商人たちもその声を聞いて話し出す。
「さっきの・・・何だあれ?いきなり何もない所から品物が出て来たぞ?」
「それもそうだがあの量はおかしいだろ!一体どれだけあるんだ・・・」
「あの力があれば・・・輸送コスト何てあってないようなものだ!」
「ウチで働いて貰うように交渉しなければ・・・」
そのような話が飛び交うようになったが、シオンの予想の範囲内であった。インパクトを与え、商人たちをパレットの町に引き込むつもりであった。
シオンはバリオスの話を聞くために、奥のギルドマスター室に入って行った。リシア達には雑談スペースで待っているようにお願いする。
部屋の中には商業ギルドのギルドマスターも当然ながらいて、バリオスに誰だそいつは?と尋ねた。
バリオスは先程あったやり取りを説明し、依頼をお願いしてはどうかと提案する。しかし・・・
「それは・・・採算が取れるのか?見た所まだ少年じゃないか。それに例え輸送する魔法が使えたとしても、戦闘能力がないのではないか?」
そこは冒険者を雇えばいいじゃないですかとバリオスが交渉するが、反応は芳しくなさそうであった。
シオンはあまり乗り気でなかった為、敢えて自分の冒険者ランクなどは報告していない。
なぜならこの商業ギルドは、目の前にいるギルドマスターに私物化されているように見えたからである。
外観はミスリルで作られ立派に見えるが、中の職員が仕事をする場所は質素なのに対して、ギルドマスター室はものすごい派手な調度品がこれでもかと飾られているのである。
その上仮にも依頼するかもしれない者がいる場所で、金の話を真っ先にするあたり・・・おそらくはシオンの推測通りだろう。
それに対して副ギルドマスターのバリオスは、何とか利益を出そうと頑張っているように見える。
シオンは話が合わないようなので、これで失礼しますと声を掛け、部屋を出て行った。
それをバリオスは追いかけてきて、何とか依頼を受けて貰えないかと交渉してきた。
それを聞いて、シオンは何処か静かに話が出来る場所はないかと尋ねる。奥の応接室が空いているので、ついて来て欲しいとバリオスに頼まれる。
シオンはバリオス頼みを聞くために、後について行くのだった。




