第51話 卒業試験編 (火山帯編)
シオン達は4日を掛け、火山帯の手前の所で野営していた。
夕食の前にいつものように風呂を作り、のんびりしていると・・・ソニアが乱入してきた。
「ご主人私も入るのじゃ!」
そう言って湯船に飛び込んできた。勿論何も着ていない。流石にペットのように扱う訳にもいかず、仕方がないのでシオンは出ることにする。しかし・・・
「ご主人も一緒に入るのじゃ!出ていくのは駄目なのじゃ!」
そう言って出ることを妨害される。仕方がないので、収納からタオルを出し、それを体に巻くように指示をする。
不満そうにしているので、タオルを使わないなら入らないぞと言うと、やっと大人しくなる。
静かになったのでゆっくりしていると、ソニアがくっ付いてくる。
どうやら最初の仮説が正しかったようで、創造神の加護の影響を受けているようだ。
最近シオンとくっ付いて寝るようになり、体の調子が良いことに気付いた。そう・・・気付いてしまった。その為、何かある度にくっ付いてくる。
いかにドラゴンとはいえ、今は少女の姿である。ましてや体つきや体形はかなり育ってきており、何というか・・・色々不味いのである。
ソニアがいなくなったのを不審に思い、リシアがシオンに声を掛けてきた。
「シオンちょっといい?ソニアがいないんだけど、どこに行ったか知らないかしら?」
シオンは焦った。さすがに一緒に風呂に入っているとは言えない。どうしようかと考えていたら・・・
「私ならシオンと一緒に風呂に入っているのじゃ!気持ちが良いのじゃ!」
ソニアが先に返事をしてしまった。その為、リシアが扉を開ける。そして・・・
「ちょっとシオン!何でソニアがいるのよ!?私は駄目って言ったのに!私も入るから!」
そう言って服を脱ぎ出そうとする。説明をしている暇がない!・・・ここは!
「空間移動!!」
シオンは野営地点より1キロ程離れた所に緊急避難。遠くからリシアの叫び声が聞こえたような気がした。
少ししてシオンが野営地に戻ってくると、リシアがぶすっとしていた。これはおかんむりである。
何故か浮気現場を見られた旦那の気分である。リシアに色々説明したいから、話を聞いて欲しいようにお願いすると・・・
「わかっているわよ・・・シオンが私の事を大事に思っていることは・・・」
そう言って話を聞いてくれるようだ。最初にすまないと謝ってから、今回の件を説明した。ただ、完全には納得できないようで、
「次からはソニアと入るなら、私も一緒に入るからね!これは約束よ!」
どうやらソニアにライバル意識が芽生えてしまったようだ。シオンを取られかねないと思ったのだろうか?
夕食の最中リシアはシオンから離れず、テントに戻っても抱き着いたままであった。
翌日3人は火山帯に差し掛かる。今は3人とも自動バリアで包まれているため、高温の中でも変わらずに行動できる。
魔物が少ないところを指定し、ソニアにそこに降りて貰う。
「ここから火山帯の洞窟に向かう。一応私の索敵で見た感じ脅威はない。ただ、リシアにとっては強力な魔物もいるから、離れないようにしてね」
そうシオンが注意すると、わかったわと従ってくれる。ソニアはシオンに強さを認められたと思ったのか、得意げの顔である。
シオン達は手近なところにある洞窟に進んでいく。
「リシア!後ろの敵をけん制してくれ。ソニア!前の敵を薙ぎ払ってくれ!」
リシアは後ろから迫ってきていたマグマビートルをアイスウォールで足止めしつつ、抜けてきたものをアイスブレードで突き刺し、絶命させる。
ソニアは前から迫って来ていたレッドリザードの集団を、雄たけびを上げ怯ませ、その隙に氷のブレスで薙ぎ払った。
さすがはドラゴンである。人化して能力が半分になっていても、あの高威力のブレスである。魔物にとってはたまったものではない。
シオンは2人を労ってから魔物を回収して、どんどん進んでいく。魔炎石も一度現物を直接見たので、索敵で見つけることが出来た。
ただミスリルの時と同様で、魔炎石にも純度があり、純度が高いものは火口に近い所まで行かないと駄目なようだ。
そう考えながら進んでいくと・・・そこそこ大きい空洞にでる。これは・・・シオンは1キロ圏内の索敵を高密度に展開する。すると・・・
「やっぱりか・・・2人とも強力な魔物のお出ましだぞ」
シオンにとっては青がかった緑であるが、人化ソニアには黄色、リシアに至っては赤である。
2人に注意を呼び掛けると、マグマンゴーレムとマグマトータスが地面を揺らしながらやってきた。
しかも2体ずつである。リシアにすぐに魔法障壁を展開するように指示し、ソニアに牽制するように指示する。シオンは2人に自動バリアを念のために再展開する。
ソニアは全体に、部屋の上空から氷のブレスで牽制している。そしてリシアはアイスウォールで足止めをする。
シオンはその隙に創造を使い、地面を氷一面に変化させる。足元を取られたマグマンゴーレムがひっくり返る。マグマトータスは甲羅に籠る。
シオンはその隙をついて、マグマンゴーレムの1体のコアを破壊すると、活動が停止する。それを足場に使い、もう1体も倒そうとするが、腕を振り回して来た為、剣でガードする。
上手く力を受け流し、その反動を使って、今度は殻に籠っているマグマトータスに剣を突き立てた。
「ギェェェェェェ!」
ダメージは通っているようだが、剣が体の内部まで刺さらない。ならば・・・
「2人とも!魔法でこいつらをひっくり返してくれ!」
シオンはそう指示すると、創造を使い翼を作り、上空に逃げる。それを見計らって、
「アースブレイク!」
「アイスウォール!」
リシアが地面を陥没させ、ソニアがマグマトータスを巻き上げる。空中で動けなくなっているマグマトータス達の腹をシオンが切り裂く。
「グェェェェェェェェ!!」
「ギエェェェェェェェ!!」
叫び声を上げながら落下し、2体は動かなくなる。最後のマグマンゴーレムは、リシアが氷魔法で牽制している間に、ソニアが一撃でコアを破壊したようだ・・・さすがはドラゴン。
念の為、索敵で周囲を確認すると、どうやら近くには魔物はいないようだ。おそらくこいつらがこの辺の階層主だったのだろう。
2人を労った後に、魔物を回収する。すると・・・マグマンゴーレム【魔炎石 高純度】と表示されていた。
無事に魔炎石を回収した為、シオン達は昨日野営をしていた場所まで空間移動し、火山帯を去って行くのであった。




