第38話 卒業試験編 (ミスリル鉱山編)
宿屋 光玉亭に戻ってきたシオン達は、部屋でのんびりしていた。
ギルドの中は噂が飛び交っている為、行きたくはない。
シオンは武具屋が無いか探しに行きたかった為、リシアに宿で休んでいるか聞いたところ、今日はお留守番をしているとのこと。
一応リシアには自動バリアを付与している。何かあっても大丈夫だろう。
なので、リシアを残し、宿のカウンターに行く。するとエリスがいたので、ちょっと聞いてみた。
「すいませんエリスさん。この町で武具屋のお勧めはありますか?」
そう聞いてみると、
「この宿に来る途中の大通りを、1つ手前で左に曲がったところにあるわ」
そう教えてくれたので、お礼を言って宿を出た。
教えてくれたように進んでいくと、右手に武具屋が出てきた。店の名前はベリルというようだ。
中に入ると40代の職人に話しかけられた。
「ん?お客さんかい?今日はどんなものが欲しいんだ?」
シオンは、鎧と剣のお勧めは無いか聞いてみた。すると・・・
「鎧と剣か・・・ここはミスリルの鉱石が出回ってるからね。両方ミスリルがお勧めだ。強度は硬く軽い。それでどうだい?」
ちなみに値段を聞いてみた。
「ミスリルのフルプレートなら金貨120枚。胸当てで良いのならば、金貨30枚ってところだ。ミスリルの剣もショートソードなら金貨60枚。ロングソードなら金貨80枚だな」
シオンは思案する。確かにミスリルの鉱石が流通しているだけあって、他で買うよりは安いだろう。しかし・・・ミスリル装備で固めるべきなのか?
シオンは迷った結果、一応店主に聞いてみる。
「ちなみにミスリルの折れた剣を、修復することは出来ますか?」
店主は実物を見せて欲しいと言うので、見せてみると・・・
「う~ん・・・直せないことは無いが、ロングソードを新調した方が安くあがるよ?金貨100枚はかかる」
どうやら手間がかかるようで、新品以上になるらしい。残念に思い、剣をしまう。
取り合えず検討しますと店主に言ってから、シオンは宿に戻っていった。
シオンが宿に戻るとリシアが聞いて来た。
「シオンどうだった?いい装備買えた?」
シオンは先程までのやり取りをリシアに話した。
「ふ~ん・・・やっぱりミスリルって高いのね。でもミスリルにこだわる必要はないよね」
シオンは確かにその通りだと答えた。ただ、自分の命を救ってくれた、この折れたミスリルの剣だけはどうにかしてあげたかった。
その日1日考えてみたが、結果は出なかった。
翌朝、シオン達は冒険者ギルドに向かった。まだ朝も早いこともあり、冒険者はあまりいなかった。
受付のセレスに査定は終わってるかどうか聞くと、
「カインさんからは査定完了のお知らせを聞いていますので、買取り場に直接お願いします」
シオン達はセレスにお礼を言ってから、買取り場のカインの下に行く。買取り場でカインを探して話しかける。
「いや~待ってたよ。討伐依頼の鑑定は終わっているよ。3体の危険種についても確認は取れた。その他のやつは、ハイオークが19体とオーク34体だね」
そう話してから、討伐の金額を話し出す。
「3体の危険種の金額は受付で聞いた通りで、オークキングが金貨100枚、オークジェネラルとオークハイマジシャンが各金貨50枚ずつ。ハイオークが1体につき金貨3枚で、オークが1体につき銀貨50枚だ。いやしかし・・・すごいね君達」
そう言って感心しながら、討伐代金を持ってくる。
「全部で金貨274枚だ。確認して欲しい」
そう言って渡して来たので、その場で確認し、半分をリシアに渡す。いつもの光景である。
無事に確認も取れたので、カインにお礼を言って、買取り場を後にする。
その後、ギルド本館に戻ってきたシオン達は、一度セレナに聞いてみた。
「すいませんセレナさん。ベリルの武具屋以外に武具屋はありますか?」
そう話しかけられて、セレナは答える。
「そうですね・・・ちなみにどういったものを希望していますか?」
そう聞いて来たので、鎧と剣を希望していて、ミスリルでなくても構わないと伝える。また、剣は折れてしまったので、修理をしたいと伝えた。
「それならベリルの武具屋がある通りを逆に歩いて行くと、ジストというお店があります。そこを訪ねてみてはどうでしょう?」
シオンはセレナにお礼を言ってから、リシアと共に冒険者ギルドを後にした。
そして教えて貰った通りに道を歩いて行くと、左手にジストという武具屋が見えてきた。ベリルの武具屋と比べると、こじんまりしている。
シオン達が中に入ると、明かりはついているが誰もいない。おそらく営業はしているようなので、中で品物を見せて貰うことにした。
ミスリル関係の品物を扱っているようだが、それでも4割程度である。どちらかと言えば、魔物の素材を使った武具がメインのようだ。
しばらく見ていると、20代の女性の店員さんが奥から出てきた。
「いらっしゃいませ。今日はどんなご用件でしょうか?」
シオンは何かお勧めの武具は無いか尋ねる。それとミスリルの剣が修理できないかも尋ねた。
「そうですね・・・鎧はどのようなものがご希望ですか?」
そう聞かれたので、壊れてしまったアクアトータスの鎧を見せる。
「これは・・・大分ひどくやられたようですね。ではこれをミスリルなどの鉱石と、魔物の素材を使って修繕するのはどうでしょうか?」
破損具合が酷かったので、直せないだろうと思っていたのだが、嬉しい誤算だった。ミスリルの剣も見せ、できれば修繕したいと言うと、
「刀身が折れてしまっているのですか・・・では持ち手の部分はそのままにし、刀身のみをそうですね・・・アダマンタイトなどにしてみてはいかがでしょう?」
アダマンタイトとは?と店員さんに聞くと、
「アダマンタイトは、ミスリルよりもさらに硬い鉱物で、熱に強く丈夫です。ここの鉱山はミスリルがメインではあるのですが、アダマンタイトも少量ではあるのですが、産出されるのですよ」
それを聞いて、シオンは思案している。アルスから譲り受けた剣を勝手に変えてしまっていいものかと。
考えている間は、リシアが店員さんと話している。お互いに名前を言い合ったようで、店員さんはレミアという名前らしい。
考えが纏まったので、レミアに費用を確認する。
「アクアトータスの鎧の修繕費用は、ミスリルを使うと金貨20枚。アダマンタイトを使うと金貨35枚。剣の修繕は、ミスリルを使うと金貨90枚で、アダマンタイトを使うと金貨170枚になります」
ちなみにすべてをアダマンタイトで作った剣は、いくらになるか聞いたところ、
「アダマンタイトソードは、金貨160枚になるわ」
やはり刀身が高いようだ。それと予算が足りない。どうしたものかと考えていると、
「レミアさん。そのアダマンタイトの剣をください」
シオンが思案しているうちに、リシアは剣を買ってきてしまった。
「シオンには傷ついて欲しくないから・・・これを使って!」
そう言ってシオンに剣を手渡して来た。しかし金貨160枚である。今回の討伐代金を差し引いても、金貨26枚の持ち出しである。
シオンはさすがに悪いので、自分もお金を出そうとすると、
「駄目!受け取らない!シオンもいつも私に、ギルドでの報酬を半分渡してくるでしょ。だからシオンも受け取って!」
そう言われては反論できない。ありがたく剣を戴くことにする。そのやり取りを見ていたレミアは驚いたが、くすくすと笑っていた。
シオンは少しばつの悪そうな顔しながら、レミアに依頼をする。
「鎧の修繕と、ミスリルの剣の修理をお願いします。鎧の方はアダマンタイトを使ってお願いします。剣の方はミスリルで修理してください」
レミアは任されましたと笑顔で注文を受けてくれた。ただ修繕には時間がかかるようで、2週間ほど待つことになる。
シオンは 光玉亭の宿泊を、さらに2週間延長するのであった。




