意欲的
ハルさん視点です。
圭君の家にお邪魔してすぐ、いつものようにお昼ご飯を頂きました。
ちなみに今日のお昼ご飯は、アラビアータという名前の少し辛いトマトスパゲッティでした。
美味しかったです。
これからはちゃんと、料理名と味を覚えていきますね。
そして今日は、昨日お願いしていた野菜も一緒に食べれるお菓子の作り方を教えてもらいます。
ちゃんと料理名と料理の特徴を圭君が教えてくれています。
「ケークサレはケークが"お菓子"で、サレが"塩"という意味になります。名前の通り、塩味のお菓子の事です。なので、特に決まってる食材はありませんよ。入れたい野菜をいれて下さいね」
「はい」
今回も圭君は一緒に作ってくれてます。
説明してもらうだけでもいいかと思ったんですが、勉強の息抜きもかねて一緒に作ってくれるそうです。
「切った時の断面が綺麗になるように、人参とほうれん草を入れますね。あとは玉葱と、ベーコンかな……」
「キャベツとかも入れてもいいんですよね?」
「大丈夫ですよ。でもあんまり色の薄い野菜だと、生地と一緒になった時に見えにくくなりますけどね。味は美味しいと思います」
味だけでなく、切った時の断面まで気にしているとは……
そういえば前のフィナンシェの時も、家で作ると金塊の形じゃないからフィナンシェじゃないって言ってましたね。
圭君にとって、料理の見た目というのはとても大切なんですね。
さっきのアラビアータとかも、綺麗に盛り付けてありましたしね。
「圭君は結構、料理の見た目とかも大切にするんですね」
「そうですね。やっぱりどれだけ美味しく作っても、美味しそうだと思ってもらわなければ、食べてもらえませんからね。できるだけ美味しそうに見えるように、見た目も気を付けてはいますよ」
「流石ですね」
もう本当に、圭君なら料理のお店が開けると思いますよ。
私は食に対して、そんなに関心があるわけでもないですが、圭君のお店なら毎日通いそうです。
「最後の仕上げにチーズとか乗せて焼けば完成です。一応焼く前に2、3回軽く落として、空気を抜いておいてくださいね」
ケークサレの工程は、先に野菜等の具材に火を通してから生地と混ぜて焼くだけでした。
簡単ですね。
フィナンシェのような難しい工程はありませんでした。
クッキーから始まりましたが、料理って作れば作るほど楽しくなってきますね。
自分の好きなように、アレンジとかもできますからね。
将来的には圭君や、友人達が好きな料理を作れるようになれるといいんですけどね。
チーン
「出来ましたよ」
「わー、いただきます」
ケークサレが焼けて、圭君が切り分けてくれました。
圭君が作ってくれたケークサレは、人参のオレンジ色や、ほうれん草の緑色が切った断面から見えて、色鮮やかでとても美味しそうです。
確かに料理は見た目も大切ですね。
すごく美味しそうです。
食べてみると、不思議な感じでした。
フィナンシェのようなしっとり感も無いですし、そんなにたくさん食べたわけではないのに、食べた~って感じがしますね。
生地がしっかりとしていたから、余計にそう思うのかも知れないですね。
「これは、少しでも結構お腹いっぱいになりますね」
「そうですね。米粉とか使って作ると、もっとモチモチした感じのが作れますよ」
「なるほど~、具材だけじゃなくて粉の方でもアレンジできるんですね」
モチモチになったらもっとパンっぽくなりますかね?
今はパンというほどパンでもないですし、スポンジケーキっぽくもないです。
なんとも表現しがたい感じでした。
「これは、あんまりお菓子って感じじゃないですね」
「そうですね、おかずですね。日持ちもする方なので、前日に作ったケークサレを、翌日の朝食とかに食べるのも丁度いいと思いますよ。明日もケークサレを作りますか?」
「そうですね」
工程もフィナンシェほど難しくはなかったので、もう私1人でも大丈夫そうですからね。
それにいい感じに全卵を使用したので、卵黄や卵白だけが余ってしまうのも防げますよね。
具材を変えるだけで全然違うケークサレが作れそうですし、楽しいですね。
でも、なんというか……甘いのも食べたくなります。
お昼ご飯が辛めトマトスパゲッティで、お菓子が甘くないこのケークサレというのは……
あ、我が儘ですみません……
「ハルさんもしかして、甘いのが食べたいですか?」
「えっ……そうですね」
「今日もデザートありますよ。ちょっと待ってて下さいね」
なんと、圭君に心を読まれました。
私の欲望はそんなに顔に出てましたか?
前はご飯は無くても良かったのに、ご飯を頂いた上で、デザートまで欲しがっているとは……
自分でも驚く位、私は変わりましたね。
「どうぞ、今日はエッグタルトです」
「ありがとうございます」
エッグタルト?
きっとこれも、余った卵黄を有効活用してくれたんですよね。
ありがたいですね。
それにしても、お昼ご飯をもらって、ケークサレの作り方も教えてもらい、デザートももらう……
これはもらい過ぎです……
それにこれだと、間に食べているケークサレは何ご飯になるのでしょうか?
「あの……圭君さえよければ、明日は私が作るケークサレをお昼ご飯としてもいいですか?」
折角ならお昼ご飯にしてもいいのでは? と思い、提案させてもらいました。
今日の一切れだけでも結構お腹いっぱいになりましたし、今日の分を取っておいて明日作るのも合わせれば、結構しっかりとしたお昼ご飯になると思うのですが……
圭君は少し驚いたみたいでしたが、すぐに優しく笑って、
「はい。是非お願いします」
と、言ってくれました。
「ありがとうございます。では明日は少し早く来れるようしますね」
「無理はしないで下さいね。お待ちしてます」
明日のお昼ご飯、任せてもらいました。
とりあえず、キャベツとか入れたいと思います。
張り切って作りますよ~!
読んでいただきありがとうございます(*^^*)




