森の聖雫 七話 体力回復
―― side you ――
オレは急いだ! 濡れた手を拭く時間も惜しんで! まぁ結構な時間、手を洗わされたけどな。
獣耳娘の部屋の前に着いた時、部屋の中からマイとウイが出てきた。
「どうしたんだ?何かあったのか?」
「彼女達のお見舞いに来ただけだよ。」
「そ、そうか」
「ウイ兄に言われて、新しい回復魔法を使ってみたんだ。」
「間に合ってよかったね。」
ふむ、またマイは新しい魔法を覚えたのか……羨ましいぜ。
「でも、二人も回復させると、かなり疲れたわね。こんなに疲れたのは始めてかも。」
「魔素を沢山使っただろうしね。ボクもお腹も空いたし、ご飯にしよっか。アーズさんがきっと美味しい物を作ってるよ。」
「確かにお腹空いたわね。 ユウもご飯食べたいんじゃない?」
「あぁ、そうだな……。 でも獣耳娘達は大丈夫だったか?」
「うん、何ともないわ。 最初に見たとき青白かった顔も、ちょっと赤みを取り戻したし。やっぱりアタシの回復魔法は凄いわ。」
「……確かにな。」
『ヒーリング』もオレの怪我がすぐに治ったしな。 他人の怪我がすぐに治せるとか凄いよな……。
「ユウも疲れた見たいね。顔色が少し悪いわよ? ふふふ『りざれくっしょん』してあげようか?」
「いや、オレはメシを食ったら大丈夫かな。」
「そ、そうだね。その魔法は元気な人にはしない方がいいかもね。」
なんか、ウイが焦ってるな。 なんか裏でもあるのか?
「そ、そうよね。元気がありすぎると困る事もあるからね……。」
なんで、マイまで焦ってるんだ? なんか裏でもあるのか?
「あとユウは、ホールに脱ぎっぱなしのパンツを、穿いた方が良いと思うよ。」
「あ……ぉぅ。 でも、パンツならもう一枚穿いてるぜ?」
「そう言う問題じゃないでしょ……あと、マインとアイルの前で、ドロワ脱いだり、スカート捲りあげるの止めて貰えない? 二人がマネするのよね……」
「ぉぅ……でも、あれは緊急事態で仕方なくだな……。」
なんか、マイが面倒臭くなってきたぞ……。
「ちょっと、獣人達が心配だから診てくる! 先に行ってメシを頼んどいてくれ!」
「はぁ……次からは気をつけてよね!」
オレは部屋の中に逃げた。 やっぱり暑い。
クーリクを見る。 青白かった顔色は大分よくなってるな。
呼吸も確認してみる……大丈夫そうだな。
チュウも見てみる。 うん。 大丈夫そうだ。
二人とも普通に寝ているだけだな。
と言うよりも、他の三人よりも顔色は良くなってるな。 回復魔法はやっぱ凄いな。
コンコンッ。 ドアのノックがした。
「入るよー」 モルッタが入ってきた。「どうさね?」
「大丈夫そうだな。」
「そうかい。 お、顔色もだいぶ良くなってるじゃねぇか。 ユウの看病のお陰かねぇ?」
「マイが回復魔法で体力を回復してくれてな。」
「なるほどねぇ。 でもユウが、ちゃんと看病してたから良くなったんだと思うよ。」
「そうかな?」
「そらぁそうさね」
「なら、いいんだけどな。」
「アーズがメシを作ってるはずだから、ホールにいこうか。」
「わかった……。けど、獣人達は大丈夫かな?」
「顔色を見る限り大丈夫そうだし。 メシ食ってる時間くらいは平気さね。 それにユウが倒れても本末転倒さね。」
「そ、そうだな。」
とりあえずは安心そうだし、腹が減ったしメシを食おうか。
―― side my ――
ホールに戻ると、ご飯の用意が着々と進んでいたわ。
料理を運ぶのを、マインとアイルの二人も手伝ってたみたい。 根は良い子達なのよね。
「あ! マイ様なのじゃ!」
「お帰りなのじゃ!」
「ただいま」
「獣人達の具合はどうだった?」 心配そうなアーズ。
「今はみんな寝てたわ。」
「じゃぁ、まだ食事は無理だな。」
「そうね。」
「とりあえず、食事を用意したから食べてくれ。」
「あれ? 二種類あるの?」
「材料が足りなくてね。 こっちがマイの分で、これがマインとアイルの分。こっちのテーブルのがウイとユウの分ね。 あとドワーフが来たら、こっちのテーブルのを食べるように言っといてくれないか?」
「あら?アーズは食べないの?」
「ちょっとフェリーフの様子を見てくるよ。」
アーズはそう言うと、厨房の方へ戻っていったわ。
まぁ、エルフの事は、よく分からないし首を突っ込むのも無粋よね。
さて、ご飯をいただきますか……って、あれ? アタシのだけ何か違うような……。
っていうか、ドワーフのと同じなんですが……。 なんか嫌な予感がするわ。
「ねぇウイ兄」
「なに?」
「ご飯、交換しない?」
「ボクのは熊肉の燻製だよ? そっちのスープの方がいいんじゃない?」
「そ、そうかな?」
「その肉柔らかそうで、美味しそうじゃないか。 本当に交換してもいいの?」
ぅぐ。 そう言われると、交換したくなくなる。
ユウのも燻製っぽいし……。 確かにこっちの方が美味しそうではある。
でも、ドワーフ達のと一緒というのが、凄く気になる。
「それにさっき魔素をいっぱい使ってたし、スープの方がきっといろいろ良いと思うよ。」
なんか、気になる言い方だけど、特に熊肉の燻製が食べたいわけじゃない。
燻製はたまに食べてたしね……。
「まぁ、折角の料理を無下にするのも悪いわよね。」
「そうだよ。 あ、ユウ! ここだよ。」
ユウがドワーフ達と一緒にきたわ。
「あぁ! やっぱりまた肉かぁ。」
「ユウは肉が嫌いなのかい?」
「嫌いって訳じゃねぇけど、こう毎回肉だと飽きないか?」
「アタイは慣れてるからねぇ。」
「じゃぁアタシのスープと交換してあげるわ。」
「スープなぁ……」 テーブルを見回すユウ。 何かに気が付いたみたい。
「やっぱオレも燻製でいいかな。」
「そ、そう……」
「マイ様は燻製が食べたいなら、アチキのを分けてあげるのじゃ。」
「ワッチのを分けてあげるのじゃ! あ~んなのじゃ。」
しまった! アタシの口に燻製肉を押し当ててくるマインとアイル。 それ大きすぎるから!口に入らないから!
「あとユウは食事の前に、これを着たほうが良いと思うよ。」
ドロワと銀のビキニを指差すウイ兄。
「ぉぅ」
ドロワだけ着るユウ。
……食事前の光景じゃないわよね……。
あぁ、もっとカラフルな食事を楽しみたいわ。
解説しよう! 『リザレクション』とは復活、蘇生を意味します。




