↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

第一章4 『星の英雄鐔』

『星の英雄譚』

むかし、遠い海の向こうから、

人々を乗せた船がやってきました。


長い旅の果てにたどり着いたその土地は、

緑豊かで、美しい場所でした。


人々は船を降り、

そこで新しい暮らしを始めました。


その土地には、不思議な者たちがいました。

小さな身体に光を宿し、人々にはない、不思議な力を持っていました。


はじめは互いを恐れていましたが、

やがて言葉を交わし、助け合うようになりました。


けれど、その土地には、

決して近づいてはいけないものもありました。


古い建物や遺跡に現れる、

" 精霊" と呼ばれる者たちです。

精霊は、ときどき人々に声をかけました。

その声に耳を傾けた者は心を奪われ、精霊のあとを追うように、どこかへ歩いていってしまいます。


そして中には、

二度と帰ってこない者もいました。

だから人々は、子どもたちにこう教えました。

「精霊の声に、耳を貸してはいけないよ」


そしてもう一つ。

人々の暮らす土地の外には、恐ろしい闇の生物たちがいました。

闇の生物が現れるたび、人々は家を失い、暮らす場所を追われました。


そんな人々を守ったのが、あの不思議な者たちでした。彼らの持つ光には、闇を退ける力があったのです。

人々と彼らは力を合わせました。


闇を退け、 少しずつ、少しずつ、 安心して暮らせる土地を広げていきました。

やがて家が増え、

人が集まり、

豊かな暮らしが生まれました。


そんなある日。

これまでにないほど大きな闇が、人々の暮らす土地へ押し寄せました。

人々は恐れました。

このままでは、ようやく手に入れた故郷がなくなってしまう。


そのとき、不思議な者たちは、人々の前に立ちました。彼らは自らの光を使い、闇の生物たちと戦いました。


長い戦いの末__

闇の生物は、すべて姿を消しました。

人々は喜びました。

これでもう、闇に怯えることはありません。

けれど、、

不思議な者たちもまた、すべての光を使い果たしていました。彼らは人々に未来を残し、その姿を消しました。


人々は、彼らが守った土地で暮らし続けました。やがて人々の暮らしは大きく広がり、 長い年月をかけて、 この地には新たな文明が築かれていきました。


そして人々は、

自らの光と引き換えに、この地を守った者たちのことを__

「のちに、

『星の英雄』と呼ぶようになったのでした。」


「おしまい」


パタン、と本を閉じる。


「……」

ひなは、じっと本を見つめていた。


「?」

「もういっかい!」


「え」

「もういっかい、よんで!」


目をきらきらさせながら、本を指さす。

「いやいや、もう遅いから」

「もういっかい!」


「だーめ」

「えーー」


「今日はもう寝るよ」

「...」


ひなは少しだけ残念そうに、本を見る。

「また、よんでくれる?」

「うん。また明日ね」

「わかった!」


さっきまで駄々をこねていたのが嘘みたいに、あっさり頷いた。

「じゃあ、おやすみ」

「おやすみー!」

ひなは布団にもぐり込む。


「...」

「ハク」

「なに?」

「おやすみ!」

「...うん。おやすみ」

ひなは満足そうに目を閉じた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。