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40.【錬成術】の実験

30分後───

ルマも落ち着いたところで第二回【錬成術】の付与実験を行うことにした。

「ルマ、確認したいが自動的に魔法が発動することは可能か?」

「条件にもよりますが可能です。 以前ご主人様からいただいた魔術書に説明がありました」

「今回付与してほしいイメージは最初に自動発動の魔法、次に【水魔法】と【土魔法】から壁のような魔法を同時発動だ」

「質問があります。 自動発動の条件は?」

「半径5メートル以内に火または風関連の攻撃を察知したとき自動的に発動する・・・かな?」

「少し条件が厳しいかもしれませんが多分大丈夫だと思います」

シフトは魔石を取り出すとベルに渡した。

「ルマ、ベル、2人共準備はいいか?」

「任せてください」

「いつでもいける。 ルマ、ベルが魔法を使うタイミングを言うから合わせて」

「ええ、わかりました」

ベルは魔石に手を置くと【錬成術】を発動させた。

しばらくすると手が薄く光った。

「ルマ、今!!」

「まずは自動発動の魔法」

ルマは魔法を発動すると魔石に魔法がどんどん吸い込まれていく。

「「・・・」」

突然魔石が光り輝いたがしばらくすると光が落ち着いた。

「ルマ、次の魔法!!」

「【水魔法】と【土魔法】の魔法を同時発動」

ルマは【水魔法】と【土魔法】を同時に発動すると魔石に魔法がどんどん吸い込まれていく。

「・・・くぅ、早く終わって・・・」

「・・・!」

再び魔石が光り輝いたがしばらくすると光が消えて何事もなかったように魔石がそこにあった。

ベルとルマは疲れたのかその場に座り込んでしまった。

「ベル、どうだい?」

「ちょっと待って・・・まず、自動発動魔法は・・・成功。 次に【水魔法】と【土魔法】の魔法は・・・2つ共同時に付与されてる! これも成功!!」

「や、やりました! やりましたよ、ご主人様!!」

ベルの成功という言葉にルマが大きな声で喜んだ。

「よくやった、2人共!!」

「・・・ぐす、もし・・・もし失敗したらどうしようかと・・・」

あまりのプレッシャーにルマは泣き出してしまった。

「ちょっ?! ルマ?!?!?!?!?!」

「ご主人様、ルマちゃん泣かしちゃダメでしょう! 言葉だけじゃなくちゃんと労ってあげないと!!」

「そうだぞ、ご主人様」

「功労者である2人に感謝するべきですわ」

フェイにしては珍しくシフトに苦言を呈した。

ローザとユールもフェイと同じらしく首を縦に振った。

(・・・ふぅ・・・やれやれだな・・・)

シフトは2人に抱き着くと、

「2人共、頑張ってくれてありがとう」

ルマが落ち着くまで2人を抱き続けたシフトだった。


10分後───

場が落ち着いたところで魔石に付与された能力が発動するか検証することにした。

といってもルマもベルも魔力がほとんど残ってない。

シフトの[鑑定石]で魔石を確認しつつ、ローザが【火魔法】、フェイが【風魔法】を魔石に向かって放つことにする。

まずは魔石を鑑定した。


魔石(【水魔法】【土魔法】付与済)

品質:Cランク。

効果:許容量 0/5000ポイント。 維持費に毎秒1ポイント。 半径5メートル以内に火または風関連の攻撃を察知すると毎秒20ポイント消費して水と土の壁を展開する。 許容量を大幅に超える魔力を注ぐと耐え切れず壊れる。 現在魔力不足で発動できない。


まず、シフトは魔石の限界まで魔力を注いだ。

鑑定すると魔石の許容量は5000近くまで回復した。

そこから時間が1秒経つにつれ1ずつ減少していく。

まずはローザが5メートル以上離れたところから【火魔法】を放つ。

5メートル以内に火を察知した魔石が光って火の目の前に水と土の壁が同時に展開された。

火は壁にぶつかると消えて、そのあと火が範囲内から消滅したことを確認すると壁が自然に崩れ落ちていく。

フェイがローザと同じ条件で【風魔法】を放つ。

結果はローザと同じで風は壁にぶつかり霧散すると自然に崩れ落ちていった。

ついでに風の余波は該当するのか試したが壁は作成されなかった。

(よかった・・・微風でも反応したら使い物にならないからな・・・)

次に5メートル以内で魔法を使おうとすると魔力を感じたのか即座に壁が展開された。

どうやら範囲内で火と風関連の攻撃を察知すると攻撃前に自動的に展開されるらしい。

今度は2人共別々の位置から【火魔法】と【風魔法】を時間差で放ち、ついでにシフトが火を纏ったナイフで別方向から攻撃を仕掛ける。

すると察知した3ヵ所に壁を展開して防いだ。

ただし、消費量も3倍に跳ね上がっていた。

最後にそこら辺にある石を拾って魔石に投げたが風の攻撃と判断されずに壁は作成されなかった。

実験結果をまとめると、


・5メートル以内の火または風の攻撃または魔法を察知すると自動的に水と土の壁が展開される

・攻撃とは判定されない火または風には反応しない

・2ヵ所以上から攻撃されても対応して防ぐことができるが壁の枚数により消費量が増加する

・魔力容量が5000ポイントあった場合は1枚の壁を最大238秒≒4分まで発動可能である


この魔石を鎧などの防具に付ければ【火魔法】と【風魔法】を自動的に防げる。

「みんな聞いてくれ。 明日からアクセサリーを作っていくが自分が身に着ける物に付与する魔法・スキルを考えておいてくれ。 ルマ、ベルには悪いが今日みたいな負担をかけてしまうが・・・」

「いえ、お気になさらず」

「ベルもやる気十分」

ルマとベルは笑顔で応えた。

「ローザ、明日から指輪、腕輪、ネックレス、イヤリングあたりの銀細工を人数分作ってもらう。 他にアクセサリー関連で必要なものがあれば素材が許す限り作っていいぞ」

「任せてくれ」

「ルマとベルが魔力切れだしこれ以上無理させられないので、今日の残りの時間は自由行動で」

シフトの一声に各々自由に動き始めた。






今日はご主人様の命令とはいえ、魔法の同時発動を使って魔力切れを起こすとは思いもしませんでした。

明日に備えて今日は早めに休もうかと考えていると・・・

「「ルマ(ちゃん・さん)、ちょっといい(かな・ですか)?」」

「フェイとユール、どうしたの?」

「実はルマちゃんにお願いがあって・・・」

「先ほどルマさんが使った異なる魔法の同時発動についてアドバイスがほしいのです」

2人は私にコツを教えてほしいと頭を下げてきた。

「同時発動の?」

「うん、実は【闇魔法】に魔力を外部から吸収する魔法と相手に魔力を譲渡する魔法があるんだけど、こんな感じのやつ」

フェイは何もない空間に手を向けると【闇魔法】を発動して空気中の魔力が手に吸い寄せられていくがその量は微々たるもの。

次にフェイは私に向けて【闇魔法】を発動すると私の失った魔力が少し回復した。

「なるほど、この2つの魔法を魔石やアクセサリーに付与すれば・・・」

「そう! その空間に魔力がある限り魔力切れを心配せずにバンバン魔法が撃てるわけ!!」

「わたくしもフェイさんと同じ考えですわ。 2つの相性が良い魔法を組み合わせれば相乗効果を生むのではないかと」

「・・・わかりました。 ただアドバイスと言いますが、一言で頭の中でイメージするだけですよ?」

「それが難しいんだよ」

「わたくしも先ほどちょっとやりましたが中途半端な集中力では会得できないのです」

「お願い、ルマちゃん!!」

フェイはいつになく真剣に頭を下げてきた。

それは首都ベルートでの任務失敗をいまだに引きずっているのだ。

ユールもその破格の性能がいまだに活かされていないことに歯痒い気持ちなのだろう。

同じ人を愛しているからこそ解かることだ。

「うふふふふふ・・・」

「「?」」

私が突然笑ったことにフェイとユールは怪訝そうな顔になる

「ごめんなさいね。 私も同じことがあったものだからつい・・・2人共わかったわ。 早速始めましょう」

「「よろしく(ね・お願いします)! ルマ(ちゃん・さん)!!」」

私は2人に訓練に付き合うことにした。


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