8話 ハルトは邪魔者の排除を決定した 後編
最近尻から少し上の骨が痛い・・・(´・ω・`)立っていれば大丈夫なんだが
「━━ふわぁ・・・眠いですね、この時間はさすがに」
アリアンナはハルトに謝りながら起こされ、アリアンナの能力とハルトの眼でこの学院の近場にあったこの森林の中の洞窟の出口の前で瞼の重さに耐えながら、眠気覚ましに身長ほどはある両刃斧を軽々と回しながら来るかもわからない敵を待っている。
「絶対に離れないとは言いましたけどこうも暇だと━━さて、そこの君は中のやつらのような無機質な敵意が感じられないけどなに?」
「察知能力高いようだね、拙者の気配遮断は教団1なんだが」
木の影からカナが姿を見せる、その手には赤いボタンがついた機械的な剣を手にしている
「あー、やっぱりあそこなんだね、教団とか言っちゃうし」
「別に良いだろ、拙者によっておぬしは死ぬのだからな!」
カナの姿が一瞬でアリアンナの視界から消える、この夜の暗さもあり、速さも相まって眼では追いきれない速度だ、アリアンナは斧を回すのをやめて、両手で構える。
「ハルト君からは殺すなと言われている娘だろうね、そしてあの剣はドラゴニュートの鱗も斬れると予想できる、まぁ当たればだけどね」
「暗影斬!」
そう叫び、カナのその背後からの一振りは、目をつぶったまま横に避けられた。
「なっ!?・・くっ」
その後も右から、左からと黙って攻撃するもさせられてしまう。
カナの表情に焦りが現れ、今度は真上から攻撃するも、それも避けられ剣が地面に刺さってしまう。
「あ、くそ・・抜け━━」
「間抜けね、そい!」
アリアンナはカナの首筋に一発斧の柄で叩くとそのままカナは気絶して地面に倒れる。
「さて、こっちは終了かな、あとはここで待機ね、頑張りなさいハルト君」
そしてアリアンナは再び斧を振り回し始める。
・
自分はゼルに寮に待機させ、単身で目的の場所、アルスマグナのアジトまできていた。
「やぁ、夜の警備ご苦労様」
自分が洞窟の入り口を護る警備らしき二人・・・これは人間か、それなら手加減は必要ないな、そいつらに軽いねぎらいをすると、警備二人は向かってくるが、自分はあらかじめ出しておいた魔剣で少し肩や膝などを切ると、断末魔をあげて地面に崩れ落ちる。
魔剣 フェイタル・ペイン、効果は痛覚の増大、今は2から4倍程度しか上げれないが十分ショック死させるには十分だろう。
そのまま自分は洞窟の中に走っていく。
ざっと30人の人間を倒しながら奥までたどり着き、大きな扉を切り裂いた。
その先には大きな石像と、多数のホムンクルスに護られた人間一人がいた、どうみてもあれが教団のボスだろう。
「さて、おとなしく死んでくれないか?」
「ふふふ・・飛んで火に入る夏の虫だな、今の状況をわかっていないようだな」
そうだな、後ろから右左から隠れていたホムンクルスざっと50人に囲まれている程度だな。
「ずいぶんと造ったようだな、人間より多いんではないか?、あ、そんなに集まりが悪いのかな、他3つの教団にいっていてね」
「黙れ、貴様はここで死ぬか、私の下僕になるのだからな!」
懐から教団のボスは宝石を取り出して投擲する、狙いはもちろんハルト、それを自分は素手て受け止めると、宝石から何か意識的なものが入り込もうとするがそれを軽くはねのける。
「なっ!?・・・バカな、そんな簡単に・・」
「この程度なら拍子抜けだな、さて・・・」
自分はフェイタル・ペインをしまい、新たに聖剣を出す、それを掲げると強い光が放たれてホムンクルスの宝石、もとい教団のボスと意識を繋げるパスを断ち切った。
「今度はなんだ!?」
「聖剣 ディスペラード、邪な力を断ち切る力の光を放つ聖剣さ、ホムンクルス達、もう逃げれるぞ」
ホムンクルス達は驚きつつも、一斉にこの場から逃げ出して、残ったのは教団のボスと自分だけだ。
「さぁ、 まだ抵抗するか?」
「━━━良いだろう、最終手段だ!」
教団のボスは石像の下の黒いクリスタルを手にして、それを掲げると黒い煙がクリスタルを包み、それが浮き上がっていき、巨大な角の生えた悪魔の姿を形作る。
「おー、グレーターデーモンとは珍しいな」
「ははは!、これで貴様も終わ━━」
そのグレーターデーモンを、教団のボスが瞬きをした瞬間、自分はデーモンの首を切り落として、教団のボスの前に転がす。
「━━へ?」
「まだ残っているなら早いとこ見せろ」
「━━うわぁぁぁ!!」
教団のボスは泣きながら裏口に逃げようとするが、誰かにぶつかり、しりもちをつく。
「もう終わったみたいですね」
「・・・アリアンナさんか」
「ひぇ・・・お助け・・お助けを」
「・・・まぁ別に殺すつもりはないな、情報全部吐いてないし、さぁ吐け、全部吐け」
「ひぃ、吐きます、吐きま━━」
その教団のボスの言葉は続かなかった・・・突然岩肌を通り抜けてきた光の矢によって教団のボスの頭は貫かれてそのまま絶命した。
「今のは・・・」
洞窟の中なのに対してこの精密さ、そして光の矢・・・自分が知る限り一人しかその芸当が可能なのはいないな」
「凄まじいな、メアリー」
「死んでしまいましたね、残念です・・」
「・・・いや、まだ話は聞けるぞ、なぁ・・偽者さん」
自分はアリアンナに似た何かに剣を首筋に当てる。
「どうしたんだい、そんなことを言って」
その言葉は音程はなく、ただ機械のように喋っている。
「まだとぼけるなら首を落とすぞ」
「━━━いやぁ、やっぱり浅はかだったねぇ、失敗失敗」
アリアンナの身体が顔が歪んでいき、その姿は黒いスーツを着た笑顔の仮面をつけた男性らしき者に変わった。
変身魔法、それもかなり高レベルの者だろう、心もアリアンナそのものだったが・・。
「アリアンナさんは絶対に場から離れないと言っていたんだ、普通ここまでこないさ、というよりばれる前提できたな貴様」
「ははは、そうだね、一応ここで自己紹介でも、わたくしはニャルラウト・ホテップス、三大アルス教団、アルス・パウリナの五人の司教の一人を勤めておる者ダよ」
「それはまた・・」
「さて、ここでねたばらしを、じつはアルスマグナはワタクシがそこの死体を唆して作らせたのです、ふふふ、上手くいかないんですねホントホント・・」
「そうか、死ね」
そのまま無慈悲に剣を振るも、タプンという音と共にすり抜けていく━━スライム、それも上位種のショゴスときたか。
「あふふは、危ない危ないよぉ、死んだらどうするよさぁ」
「・・・こういうのはマエラの仕事だったからな、さてどうするか・・」
「あふふ、さて僕はもう逃げさせてもぉらぁうよぉ、それではまたね、ハルト君」
ニャルラウトは完全な溶体となると、地面の中に消えていった。
「・・・アルス・パウロナか」
一つ、いや2つの不安を残し自分は本物のアリアンナと合流、地面に倒れたカナを運んで学院に戻っていった。