表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コーヒー砂糖ミルクあり  作者: 長谷川真美
9/15

【頑張るのは何の為?】

 悠人(ゆうと)に手料理のリベンジをしたくて(ひかり)さんに料理を習い始めた。母は出来ないことを探して文句を言うが光さんは私の数少ない出来る事を褒めてからゆっくりとできる事を教えてくれた。

 

 まずは一緒にスーパーにいくことから始めた。肉の違いすらわからない私に光さんは筆談用のメモに絵を描いて伝えていく。野菜は旬の野菜は安いだけではなく栄養素が高いという事も教えてもらった。魚料理も最初のうちは捌くのは置いといて切り身を買っていく。いくつもの料理を教わったが焼くだけ、煮るだけ、混ぜるだけの簡単なものだったが十分美味しいものができた。感動していると光さんが優しく微笑んだ。


 「好きな人にお弁当を作りたいです」と読話をしやすいように口を大きく空けてゆっくり話す。それを聞いた光さんは麻生(あそう)教授の太鼓判の梅オカカおむすびと出汁巻き玉子、ケチャップ味の肉団子とコールスローサラダを私と一緒に作ってくれた。慣れない作業にもたつく。出汁巻き玉子は難しかったが卵焼きのフライパンのおかげで三回目でようやく成功した。麻生(あそう)教授はその格闘する様子を温かい目で眺めていた。


 バッティングセンターでクリーンヒットとホームランばかり叩き出していた悠人は小学校の時から高専3年まで野球をしていた。そのため、大森君の所属する草野球チームの助っ人として試合に参加をした。大森君の彼女さんの遠藤梢(えんどう こずえ)さんと一緒に試合を見ていた。試合は勝った。


 朝五時から早起きして作った光さん直伝のお弁当を披露した。「知世さん、全部これ自分で作ったの!?」私の料理スキルの向上に悠人は驚く。大森君は笑いながら悠人に光さんとの料理教室の事を説明していく。内緒にしたかったが大森君が「何もしないでいきなり料理が上手くなる方が怖いよ。」とおどけたため渋々私の口から再度カミングアウトをした。悠人はどことなく安心をしていた。


 梢さんは鮭の南蛮漬けとブラウニーを作ってくれた。鮭の南蛮漬けが美味しかったため悠人と一緒にレシピを聞いた。悠人は料理が趣味なので梢さんのレシピをかいつまんで私に説明をした。大森君は一人暮らしなのにも関わらず自炊の話はきいたことがない。いつもコンビニ弁当とカップラーメン、出来合いの揚げ物ばかり食べている。そんな大森君に梢さんが「河口君の爪の垢を(つばさ)に飲ませたい」と皮肉を言う。大森君は何もなかったかのように悠然に振る舞う。

 

 お弁当はあっという間になくなった。ほとんど悠人と大森君が食べた。悠人から「ごちそうさまでした。全部美味しかったよ。」と言われた。あまりの嬉しさに浮かれてしまう。大森君と梢さんが他の人にあいさつ回りをしている間に悠人は私にそっとキスをした。頑張り屋さんのためのキスだよと悠人が囁いた。FIN.


知世さんの料理修行回でした。

知世さんは研究に特化している分、運動や器用さが求められる事が苦手です。 

意外と悠人は筆者本人も気付かなかっただけで人付き合い以外は器用にこなします。


『コーヒー砂糖ミルクあり』の夏はもうそろそろ訪れます。


2017年6月23日

長谷川真美

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ