~第七十七話~元勇者、同僚と再び出かける2~
はい、続きの話となります。
う~ん、次話から数話程度別視点の話とかしようかと考えてますね。
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本日の仕事が終わったので、私とタマコは、バイトール王国の中を散策する事になった。
まず……何処に向かうか相談して、中央広場の方へと向かう事にした。そう言えば……タマコと二人きりで歩くのって、久しぶりな感じがする。これってデートのようなのだが……まあ、タマコはそんな風には思ってはいないと思う。私も娘のリアネがいるし。
バイトール王国の国の中を二人で歩いて数十分後、中央広場に辿り着く。この中央広場は、出店が立ち並んでいて、結構賑わっていた。
「ナナさん、何か買いたい物ってありますか?」
タマコがそう聞いてきたので、ちょっと考えてみる。買いたい物か……
この場所では、いつも食材を購入しているので、今回も食材などの購入などかな……と考えて
「とりあえず……食材かな」
「食材ですか……この場所には色々ありますけど……そう言えばナナさん、手持ちってどのぐらいあります?」
「手持ち? そうね……とりあえずこれくらいかしらね」
「なるほど……このぐらいあったら、一通りは購入できますね。なら、ナナさん? 私のお勧めの食材でもいいですかね?」
「……タマコがそう言うのだったら、任せてもいいかしら?」
「はい、任せて下さい! それじゃあ……まずは……」
タマコがそう言って来たので、とりあえず任せてみる事にした。
タマコが選んだ食材は、肉中心だった。その中で気になったのが、黄金色に光っている肉の塊があるんだけど……これ、初めてみるので、私はタマコに
「タマコ……この黄金色のお肉って」
「これはですね、黄金牛って呼ばれる生物の肉ですよ。最近知ったんですけど、この国でも最近販売されるようになった肉です。見た目は派手ですけど、この肉の凄い所はですね? 焼かなくても食べられるという事なんですよね? ちょっとナナさん、食べてみて下さい」
そう言ってタマコが、黄金牛の肉を切り取って、渡して来た。
肉って焼いて食べたりするのが一般的なのだが……まあ、タマコがそう言って来たのだし、そのまま食べてみる。味に関しては、普通に美味しい。確かにこれなら、生でもOkなのかもしれない。娘のリアネにも食べさせていいかもな……と、思ってしまった。
「どうですか? ナナさん」
「うん、なかなかいいと思うわ」
「それは良かったです、私も大好きな品なので、気に入ってくれて嬉しいですね」
タマコが笑顔でそう言って来る。なんか可愛いじゃないか……この子。
確かに見た目的にも、タマコは可愛く見えるし、交友関係は分からないけど、モテるんじゃないか……って思う。付き合ってる人とか一回も見た事は無いけど。そんな事を思っていると
「あ、ナナさんとタマコさんじゃない」
私達に話しかけて来た者がいた。話しかけて来たのは、このバイトール王国で出店をやっているエルさんだった。エルさんの格好が、荷物を背負っているので、何所かに向かうのかも知れなかった。
「エルさん、何所かへ行くんですか?」
「ええ、これから仕入れの旅に出かけようと思ってね、とりあえず……セレンディア王国へ行って見ようと思っているのよ。あ、それと……ナナさん」
「はい?」
「実は……前にこの国で商売している時に、ナナさんの事を聞いてきた女性がいたのよ。ナナさんのお知り合いかしら?」
「私の事ですか? それは……どのような女性ですか?」
「えっと……名前はユーノさんって言って、黒髪をした綺麗な人だったわよ? なんか……ミステリアスな感じがしたのよね? ナナさん、ユーノさんって知っていたりする?」
そう言われて考える。ユーノ……? 全く聞いた事が無い。それに黒髪の女性ねえ……
今まであった人物の中にユーノと言う女性にあった事は無かったので
「いえ、全く知らないですね? その人が私の事を探していたのですか?」
「ええ、とりあえず……あの勇者様のお仲間じゃないと言っていたけど、貴方の事を探しているから、まだこの国にいるんじゃないかしらね?」
「そうですか……知らせてくれてありがとうございます、エルさん」
「別にいいわよ、あ、じゃあ私はそろそろ行くわね? それじゃあ」
そう言ってエルさんが、離れていった。エルさんが離れた後、私はタマコに
「タマコ、ユーノって言う女性、知ってる?」
「私ですか? う~ん……知らないですね? そもそも黒髪の女性の知り合いって、私、リアネちゃんぐらいしか知らないですよ?」
「そう……とりあえず……そろそろ暗くなるし、戻る事にするわ、タマコ、付き合ってくれてありがとね?」
「いえ、私も結構楽しかったですし、全然問題なかったですよ、それじゃあまた仕事場で会いましょう? ナナさん」
「ええ」
タマコと別れた後、私は自宅へと戻る事にした。
ちなみに娘のリアネに黄金牛の肉を食べさせると、美味しいって言ってくれたので、私としては満足だった。それにしてもユーノね……誰だか知らないけど、この国にいたら、いずれ会うのかな……と、私は思っていたのであった。