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5-3 俺、こうなるとヤケで駄々をこねる。

 拳をこちらに向けて、なんだ殴り合いか?

 勝てるわけないじゃん。

 全然公平じゃないじゃん。

 お兄様ボッコボコにされる未来が見えるじゃん。とか思っていたが。


「あ、じゃんけんか」


 なるほど、これなら公平だ。


「じゃんけんかって一体なにで決着つけると思ってたの?」


「いや、リアルファイトかと思った」


 ―――なんでそんな呆れ顔をする弟よ。


「ハア、まあいいや。絶対にこの一発勝負だからね? 変な理屈こねくりまわしてもう一回ってのは絶対になしだからね?」


 そしてひたすらに俺を負かしたあとの逃げ道を塞いできやがる。

 正直な所俺が負けたとして、くっそきったねえ言い訳とかして勝負を有耶無耶にしようとしていたのはあったのに、コイツはどんだけ俺の扱いに慣れていやがるんだ。


「いいのか? お前が今言った言葉そのままお前にも当てはまるんだぜ? 知ってっか。今お前が言ったのは世間一般で言うところのフラグってんだ」


 だが、ここまで来たらもうやるしかない。

 生き物を食肉加工するのには禁忌的で冒涜的ななにかがあるが、もう辛抱たまらんくらいに肉を食べたいというのもまた事実なのだ。


「ちょっと待っててね。今から兄ちゃんがこのウサギを捌いてくれるから」


 弟がもう勝った気でコドモトカゲニンゲンに勝利宣言をしていやがる。


「ん‥‥‥」


 言葉は通じていないくせに頷くコドモトカゲニンゲン。


「よしっじゃあ、いくぞっ恨みっこなしの一発勝負!」


 俺と弟はお互いに構え、一発勝負に備える。

 弟は思考派。俺の手をひたすらに考えていることだろう。

 俺はといえば、直感型で出す手なんて直前まで俺も知らない。

 どちらがこのじゃんけんという競技において有利な思考かは知らないが、それも今決することだろう。


「じゃん、けん、ぽんっ」


 そうして俺と弟はその手に役を定めて、互いの敵に繰り出した。


 結果がどうなったかというと。


「いやじゃ~、やりとうない、捌きとうないよ~」


 俺の完全敗北だった。

 まず当たり前のように負けて、いや三本勝負だし? とごねて負けて、いや今の準備運動だよ? とごねてさらに負けて、負けて負けて負けて負けて負けて負けて今に至る。


「兄ちゃん‥‥‥」


 え、この後に及んでまだごねるの? さっき散々もうごねんなよってやり取りやったじゃん、とその顔が如実に語っている。

 肉を捌きたくないというのは俺の偽らざる本心だ。

 だけど、ソレ以上に負け続けて、それでもやらないと意固地になっているというのもあった。ここまできたらもう引けぬ。そんな感じだった。


「にいちゃん、そろそろ怒るよ?」


 弟の表情はあくまでも穏やかだ、ただ目が一切笑ってない。

 その言葉には怒りが孕んでいるのは明白だった。

 うぅやりたくないでござる。

 さてどうする?

 どうすれば切り抜けられる。

 果たして切り抜ける必要があるのかわからないがなんかもう意地を張ることにもう引けないというよくわかんない状況に陥ってしまっていた。


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