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2コドモトカゲニンゲンのはなし

ここから子育て編になります。

よろしくお願いします。

「うわぁぁぁぁぁぁぁ」


 耳を劈くようなこんな悲鳴で目を覚ました。

 結局俺は寝てしまったようだ。

 いや、日が登り始めた所くらいまではうすぼんやりと記憶がある。

 若干明るんできた空を見ながら安心して寝落ちしてしまったようだ。

 それはともかく悲鳴である。

 声質は高く、俺の寝言や弟の悲鳴でないことは明確だ。

 と、すればなんなのか‥‥‥あ、コドモトカゲニンゲンか‥‥‥。

 周りを見渡してみれば。


「あ‥‥‥」


 ちょっと離れた所にいた。いや、これは「あった」とか過去形になるのかな。

 地面から突き出た巨石にべっとりと赤い液体が付着している。

 その巨石の足元にはぶっ倒れたコドモトカゲニンゲン。おでこはひどく腫れていて血のりがべっとり。

 巨石に頭から突っ込んだのは明白だった。

 近づいてみると、血走った眼を見開いたまま事切れている。


「あ~あ」


 思うところは意外とない。

 肉親ならともかく、友人ならばともかく、共有した時間の薄い所詮他人の死に感じるものはあんまりない。っつーかこの世界には無慈悲な死が溢れすぎてて麻痺しちゃったよ。

 それよりも、ここまで苦労して運んできたのにこんな簡単に死んでしまったことに怒りすら覚える。何勝手に死んでんねん。

 さて、どうするか?

 せっかく運んできたのに、弟のご機嫌取りにためにくっそ重いなか運んできたのに。

 なんか固いウロコとかが当たって痛くても運んできたのに。

 それにしても、弟が起きてこねーな。

 見ると、あんだけバーサーカーモードで暴れ回ったせいかまだ眠っていた。


「よし、捨ててくるか」


 弟に知られる前に無かったことにしよう。

 俺の努力が一つ無駄になってしまったが、それはもうしょうがない。諦めよう。

 捨てて‥‥‥埋めるほうが早いか。

 なんて思案していると、コドモトカゲニンゲンがビクンと震えた。

 ばね仕掛けの玩具みたいだ。


「うおっ、怖ぇ」


ビクンビクンと暴れる。

 エクソシストみたいにブリッジしたまま暴れる。

 戦慄である、一歩間違えばB級ギャグ認定されそうな動きではあるが、筋肉的に不可能な動き、白目のくせにカッと見開いた瞳。

 捨てるどころか触るのも戸惑われる。

 しょうがないので、成り行きを見守ることにした。

 がくがくと震えていたが次第に収まってきた。

 それと共に体が発光しはじめる。光の色はさきほど弟が奪い取った命の輝きの色。

 発光とともに致命傷たるおでこの腫れが引き傷が塞がっていく。

 そして血の気が失せていた顔に赤みが差す。

 ようは死人から生人に戻っていく様だった。

 あれだけの人の命を押し込まれたのだ、生と死は同価値ではないにしろ、一回で生を使い切れるというわけではないようだ。実にファンタジーである。

 なんやかんやで傷は塞がり、呼吸も整い、なんやかんやでコドモトカゲニンゲンは再びこの世界に息を吹き返したのだった。



「望むにしろ、そうでないにしろ。だけどね」

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