1-10 振り返ってみればこんな惨劇も日常になりつつあるとあきれた1日の終わり
程なくして火がくすぶりはじめ、くべた枝にも火が移りぱちりぱちりと小気味いい音があがり始めた。
なんでたき火ってのはこんなに見てるだけ落ち着くんだろうなぁ‥‥‥。
いわゆる魔獣と呼ばれるような野生動物も火を恐れてか近づいてこないし。あ、でも夜盗が来たことはあったなぁ。あんときは弟が程々にボコして追っ払ったけ。
起こりえる緊急事態に弟をいつでも起こせるように弟へ手を伸ばせるよう気を張る。
何度も思うことだが、俺が強ければ、異世界モノのテンプレ無双できればこんなクソみたいな心配しなくてもいいのに。
まずこの異世界モノなのだが。
ココロ躍る冒険が無い、この世界に夢や希望があった瞬間を俺はまだ拝めていない。
倒すべく巨悪がいない。圧倒的にいるのは世界を構成する日本的な道徳観に欠けた人々だけ。
ここはあくまでも異世界で遠いどこかの倫理観を物差しに語られても困るのかもしれないけど。
まぁ独白くらい好きに言わせてほしい。
極めつけに俺達をこの世界に拉致ったやつの目的もわからない。そもそもこんな召喚は誰か、或いは何かによるものではなく、ただこの世界特有の超自然現象とかなのではないだろうかとすら思い始めた今日この頃。
まぁ話がものっそい脱線した。
戦力としてまったく期待できないコドモトカゲニンゲンはともかく、最大戦力である弟が起きるまで俺は火の番もとい見張りをしていなければいけない。
弟の顔を見るとまだ未成年故の緩んだ表情で眠っている。
これがあの惨劇を作り出した本人であるとは実際に見なければとても信じられないだろう。
恐らく弟が目覚めても、あの村に入ったあたりのことは覚えていないだろうと思われる。
どうにも心の均衡を保つためか、バーサーカー化した時のことはあまり覚えていないのだ。
だから罪の意識に苛まれることもなくここまで生きてこれた。
ヒトの心というのはいい加減に出来ているというのに、案外うまくできていると思うわけだ。
「はぁ‥‥‥眠ぃ‥‥‥っといけね」
眠らないために思考を止めてはいけない。
うっかり眠って殺されてしまいました。それはやりたくない。
うっ殺はしてはいけないのだ。
夜は長い。
こんな野営生活し始めの時は物音に脅えながらビクビク起きていられたものだが、なんだかんだでヒトは慣れる生き物であって。結局、弟がなんだかんだと事態を治めてしまうということもあってか、今では油断するとうっかり眠ってしまうようにすらなってしまった。
じゃあもういっそ開き直って寝てしまえと思わなくもないのだが、たまに見かける野営中なんらかのトラブルに襲われて全滅し白骨化したパーティーをチラチラ見かけてしまう以上油断はできない。
そんなこんなで、朝が来るまでうつらうつらと火の番をしつつ、朝を待つのだった。
ここで一旦キリで次からは子育て編になります




