私の名はレイダー
私の名はレイダー、主人サマンサ様に永久の忠誠を誓うオセロットのオスだ。
今日は久し振りに故郷のエルピス国首都に来ている。
「‥‥‥レイダーじゃない、貴方今までどこにいたのさ?」
「レインか、久し振りだな」
ラクドール種のメス、クリムゾンナイツの四天王の一匹であるレインが私に近付いてきた。
「心配してたんだよ、貴方がロックモールに出向いてから戻らないから‥‥‥」
レインの言葉に、私は少し申し訳ない気分になりながら答えた。
「‥‥‥レイン、私はクリムゾンナイツを抜けたのだ、今は主人であるサマンサ様に永久の忠誠を誓った騎士だ」
私がそう言うと、レインの表情が見る見ると怒りの表情へと変わる。
「貴方! 仲間を裏切って敵に寝返ってたって言うの!?」
「すまないレイン、しかし私は決めたのだ、あの方こそがこの猫世界に真の平和をもたらす猫だと気付いたのだ」
私の言葉に更に怒りを増したレインが、その怒りを抑えながら静かに言葉に乗せて言ってくる。
「‥‥‥サマンサってメスガキね、貴方をたぶらかしたイヤらしいメス猫は」
「違う、それは違うぞレイン!」
私の言葉など聞こえないかの様にレインが叫ぶ。
「私がサマンサを叩き潰す! そして貴方を取り返してみせるわレイダーッ!」
そう言って背を向けると走り去っていった。
「これは不味いな、主人に報告しなくては」
ふと私が空を見ると雨雲が辺りを暗くし始め、これからのもっふもっふ団に襲い掛かる暗雲を予測しているかの様に見えた。




