声
まさか、親の車がマニュアルだったとは…。
この静岡のパーキングエリアに来るまでに3回エンストした。ギアチェンジってあんなに難しいんだな…ゲームをやり込んだだけでは無理があった。
あの時あんな馬鹿な発言をした俺を呪ってやりたい。調子に乗ってすみませんでした。
でも、それでもなんとかここまで来れた。
富士山は目と鼻の先だ。
休憩も済んだので、また車に乗り込む。
エンストはしなかったものの、少し焦った。
ギリギリセーフと言ったところだな。
取り敢えずLet's go だ。
いざ行かん!日本一の山、富士山へ!
……おい、目と鼻の先とか言ったやつちょっと出て来い。3時間走らせてやっとじゃねぇかよ。嘘吐くのも大概にしろよな。全く…まぁ、言ったのオレなんですけどね。着いたから良いじゃん。自分で自分に言い訳するのは、自分でやっていても哀しくなるな。
車を降りよう。そして富士山に登ろう。
こんなオレ1人しかいない世界でも車の鍵をかけるのも可笑しな話だが、なんとなくかける。
習慣みたいなものだ。…習慣もなにも車を運転したのは今回が始めてなのだが。
そろそろ自慢話をしてもいいかい?
見ろ、この登山用のトレッキングシューズを!
はい、そこ!盗んだとか言わない!オレしかいないのにそんな人聞きの悪い事を言うのやめなさい。
しかもちゃんとお金置きました。
お値段は2万と少ししました。高かったけど、その分歩きやすい。気がしないでもない。
あ、どうでもいいかもしれないけど、あまり運動をしていないオレなので5合目まで車で来ました。そこからは歩いてます。あとここら辺めっちゃ寒い。温度計はマイナスになっている。一応、ちゃんとした防寒具を着込んでいる筈なんだけど、やっぱり寒い事には変わりはなかった。ちなみにだが、この防寒具もさっき手に入れたばかりのおニューです。
…だからちゃんとお金払ってるって!
マジか、これは想定してなかった…5合目まで車で来て、かれこれ4時間も歩いているのにまだまだ山頂が見えない。
あれ?オレの予想ではこれくらいの時間に着く予定だったのになぁ。甘かったかなぁ。
2月なので陽が落ちるのも早い。既に辺りは暗くなってきている。そういえばもう6時か、どうする?
でもなぁ、折角ここまで来たんだ。山頂まで登りたい。オレしかいないし、誰にも迷惑かけないから登るとするか。
結局山頂に辿り着くのはその3時間後の9時だった。
やっと着いた…。もうダメだ。一歩も歩けん。疲れた〜。2度と山登りなんてしない。
そう思って見渡した世界は、とても綺麗だった。
とても、とても…………美しかった。
比喩ではなく本当に流れている星。
これがオレの生きている世界なんだと、誇らしささえ抱いた。
人がいないのにも関わらず、何も言えなくなるくらいに美しかった。いや、人がいないからこそこの世界は美しいのかもしれない。
そして、誰もいないこの世界でも街並みは綺麗にライトアップされていた。
何故だろう?そんな疑問も出ない程にこの景色に魅了された。
山登りもたまにはしてもいいかもな。
気が変わるのが早過ぎるオレ。でもそう思えるくらいこの景色はオレの脳裏に焼き付いた。
ん?これ帰りどうすんだ?次は歩いて下山か?
『当たり前だろ。お前は馬鹿か。』
「うるせぇ、馬鹿だけど本当の事を言うな。傷付くだろ。」
『開き直りやがった。お前は、本当に救いようがねぇな。」
「開き直って何が悪い。2度と山登りなんてしない。」
『何回気が変わるんだよ。」
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待て、ウェイトウェイト。
オレは今誰と話してた?辺りを見回したが回りには誰もいなかった。
そう、オレ以外。
『あ、やっと気付いた?気付くの遅いわ〜。』
何処かで聞いた事のあるその声は、確かにオレの頭に響いていて。
………あぁ、思い出した。この声は今でもよく聞いている。
よく通りそうなその声は
オレの声そのものだった。
どうもですです。くらげです。
大きく動き出しました(笑)。
これからも見守ってくれると頑張る活力になります!




