表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/46

残念王子の執念(テリー視点)(2)

 夜会で見初めたご令嬢と運命の再会を果たし、二人は結婚して幸せになりました。めでたしめでたし。


 そうなるんじゃないかと考えていた俺も、シリアン様に影響されていつの間にか乙女思考になっていたようだ。


 夜会には、まだ婚約が成立していないと思われる貴族のご令嬢に広く招待状を出したが、参加の返事をもらえたのはわずかで、大半は何かしらの理由をつけて不参加だった。

 中には駆け込みで婚約したご令嬢もいると聞いている。


 これでは夜会が開催できないと慌てた陛下の側近が、代役でも何でもいいから人数を揃えろと各方面に圧力をかけてどうにかかき集めたらしい。


 きっとこの彼女も、頭数を揃えるために召集された一人だったのだろう。


 そんな彼女が困惑しながら何度も「困ります」「違います」と言っているのに、シリアン様はお構いなしに「私のシンデレラ!」と言ってグイグイ迫っていく。


 これではダメだ。

 我が主の恋愛経験の無さが痛すぎる。


 そもそも『シンデレラ』という物語の内容だって知らないだろうと思われる彼女からしてみれば「シンデレラって誰よ!?」だ。


「ほかの女性の名前を呼んではなりません」

 見兼ねてそっと耳打ちすると、シリアン様は小さく頷いた。


「きみはサクラ・デ・モブだろう?」


 夜会の日に聞き出したというその耳慣れない名を、シリアン様が確認するように言うと、彼女は何のためらいもなくあっさりと「その通りです」と認めた。


 偽名ではないかと思っていたんだが、その態度を見る限りどうやら本名のようだ。

 もう一度、王城の『貴族名鑑』を血眼で見なければならないな…。


 その後もシリアン様は、足腰の丈夫な女性は安産だの、自分の付きまとい行為は理にかなっているだのと、じゃんじゃか墓穴を掘って好感度を下げ続けた。

 

 我が主に代わり表情だけで謝罪の意を伝えると、彼女の方も「あなたこそお気の毒に」という顔で応えてくれたのだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ