ぼっちのススメ(改)
「ん????」
「如月っちと最初に出会った日の合コンの後、記者に追われてたらしくて。まあ記事はあながち間違いじゃないんだけど、社長が大激怒でさ。
プライベート没収されました。チャンチャン。今度俺らの週刊誌デビューの記事持ってきてあげるよ。」
鼻歌でも歌い出しそうに満足気な表情で彼は話し続ける。
俺ら?の週刊誌、、まだ頭が理解しようと努力をしてくれない。
「そんでもって俺がプライベート没収されてる間に大月マネがぐいぐいに如月っちにコネクトしようとしてたでしょ。」
「う、うん?」
ぐいぐいに、かどうかは知らないけど。
「俺さ、お伽話の主人公に会えるって気持ちだったんだ。」
ん?急にお伽話?
「なんの話?」
「いじめられっ子を真っ向から守った女の子の話。
上履きを投げつけられる男子を自分のことも顧みず助けた少女がいて。その子はどんな口説き文句にも応じなくて。
そんなお伽話。知ってる?」
楽しそうにケラケラと楽器のように笑う彼の声。ああ、この猫のような笑顔が見たかった。
「知らないよ。」
「その女の子の名前は、如月って言うんだよ。」
ぽん、と頭に暖かい手が乗せられる。
「その勇敢で愉快な少女は大人になってどんな人になってるのか。見たかったんだ。
大月マネがね、酔っ払うと必ず話すんだ。中学時代の失敗談。そこに必ず登場するのが《如月》って名前の女の子だったわけ。
周りに染まらないほど強くて、恋には鈍感な少女。
合コンで見た瞬間に、この子だってわかったよ。」
そんな、初めから私のバックボーンがバレているなんてそんな恥ずかしいことあるだろうか。
ふと、一時期大月くんのとても仲の良かった友達がクラスのいじめのターゲットとなったことを思い出した。
そのいじめが見ていられなくて、誰も助けてあげない状況が耐えられなくて、私は彼に手を差し伸べた。そんなこと、忘れていた。
大月くんが少しばつが悪そうに葛城将平に中学時代の友達の話をする光景が見たこともないのにすぐに想像できる。
だけれど私は、強くなんかない。鈍感でもないはずだ。ただ、ずる賢い大人になってしまっただけで、お伽話の主人公なんて器にはなれない。
「俺、この2ヶ月すげーしんどかった。撮影が立て続いてたのもあるけど、如月っちの顔が全然頭から消えなくて。
如月っちの声が聞きたくって。
なのに大月マネが最近ウキウキしてて、如月っちと飯行ったとか言うし、さっきなんて告白したなんて呑気に報告してきて。
居ても立っても居られなくなって、撮影現場抜け出してきた。
ほんとに、会いたかった。」
一つ一つ、言葉を選びとって、絞り出すように大事に大事に話してくれる。
こんなにも、胸が張り裂けそうになることがあるだろうか。
見ないふりをしていた思いが、想いが溢れ出してしまいそうで。サラリと口から出てしまいそうで。
「如月っちは、俺のこと忘れられた?」
突然いなくなっておいて、忘れられた?はひどすぎる。こっちがどれだけあなたとの出会いによって気持ちを揺さぶられたか、考えたことあるの?
ひとりぼっちの方が楽
そんな鎧をつけていた私の心に無断で土足で入り込んできたくせに。どん底の気分を味合わせたくせに。
こんなにも幸せなことって現実にあるのだろうか。
会いたかった、なんて言葉で返してやるのは癪で仕方がないから私を見つめる2つの目に近づいて、
おでこに優しい口付けを落としてやった。
会いたかった。
あなたに、会いたかったよ。
そんな思いをたっぷりと込めて。
すっぽりとあなたの腕の中に収まらせてほしい。お伽話の主人公になんてなれないけど、あなたの少し後ろで一人の世界とは少し違った色の世界を見させてほしい。そんな貪欲な願いが浮かぶ。
私のキスにとっても驚いた顔をし、ゆっくりと笑顔になる元新人類。君との出会いで私の心は暖かさを取り戻せたよ。
「如月っち、好き。だいすき。」
そう言って、ふんわりとまた君の手の中に収まる。
初めから決まっていたみたいに。
すっぽりと。
「私も、好き。」
言葉と一緒に涙も溢れてとまらなかった。
二人の物語はここから始まるのだ。
とりあえず、、完結です٩( ᐛ )و
映画でとある若手俳優を見て、ありゃこれは久々にすごい!引き込まれる!と突発的に思ったことが物語のスタート!でした。
ところどころ補足せねばいけないところがあったり。如月ちゃん以外の視点からも物語を見つめたいな〜と思っていますのでサイドストーリーも少ししたら書き始めようと思います。
お読みいただき、ありがとうございました!




