如月の昔話3
遡ること12年。え、12年て干支が一周しているんだ。じゃあ今の中学生と私ってひとまわりも違うのか。と少しショックを受けながら、遡る遡る。
中学3年生の私は、今と変わらず地味だった。地味だけれど無駄に華やかな名前からからかわれることが日常茶飯事。
少し派手やかなグループ、言うなれば真由華のグループによくちょっかいをかけられていた。
それは本当に些細なことで、思い出せないほどだけれど、もしくは思い出したくないことなのだけれど、なんとなく嫌というモヤモヤの記憶と共に「思い出したくないフォルダ」として脳みそに整理されている。
その中でも真由華は私が見た派手グループ女子の勢力図では一番下っ端のような存在で、一緒に教室掃除を押し付けられたり、勉強を教えあったり、下校を共にしたりしていた気がする。
だから未だに仲がいいのかは定かではないけれど。彼女がここまで派手やかに健やかに(?)成長したのはあの少しグレーな中学時代なあったからだと思う。
そんな時代の夏休みが明けた頃、いよいよ受験だと勢いがつき始めたあたりの出来事。
放課後、地元の図書館で真由華と勉強していた時のこと。
当時、進んでいる子が持ち始めた携帯電話をもれなく真由華も持っていて途中友達と連絡を取り始めた。
「ここに男子合流してもいい?」
当時の私も「ダメ」と言ってトラブルになることが面倒だと考え始める年頃だったため、とくに感情をもたず、「いいよ」と答えた。
そこからの記憶は定かではなくて、気づけば帰り道、クラスのムードメーカー大月くんと二人きりになっていた。
「如月って彼氏いるの?」
「好きな人は?」
「俺とかどう?」
確かそんなような普通の男女がするような会話をして家まで送り届けてもらった。だけれど、その質問の一つ一つに男子に慣れていない私はドギマギして答えてしまっていた。
それがすべていけなかった。と、思う。
翌日、クラスの中では休み時間に冷やかしの対象とされた。大月くんが真由華に私との帰り道の会話を話したのだ。
それを真由華がグループの女子に話した。そこからはもう冬休み近くまで「”大月如月”という名前になったら面白い」というフレーズがことあるごとにピョコピョコとクラスを飛び回った。
それにも懲りず、大月は告白紛いの冷やかしまでしてきた。
こんなにも名前が憎らしいことは一生ないのではないか。
こんなにも人に腹を立てたのははじめてだ!
と、現実から目を背けた結果こんなに荒んだ27歳女の現在となった。
そして「思い出したくないファイル」に仕分けをして蓋をしていたはずだった。
ブワッと思い出される記憶に頬が熱くなる。
ああ、帰りたい。
人のせいにはしたくないけれど、私を卑屈にさせた一端を担う2人となぜお酒の席を共にしているのだろう。




