朝が来て、起きたらお昼でした。
誰にも起こされないまま自然に目を覚ますと、既に昼近い時間になっていた。
「みんな、おはよう。」
「おはようにゃー。」
「「「「「おはようございます。」」」」」
「やっぱり、あの二人はまだか・・・。」
「そうにゃねぇ。多分今日一日は無理だと思うにゃぁ。」
「さっき部屋の前を通ったけど、うめき声しか聞こえませんでした・・・。」
「村長たち大丈夫かなぁ・・・?」
「赤竜すら倒す村長達がうめき声を上げて起きてこれないってどんだけ辛いんだよ・・・。」
「ん~。クラスアップは簡単に言えば種族としての進化だからある意味自然と言えば自然なんだけど、俺がいない長い間に種族としての限界を超えすぎた為に多分連続してクラスアップしてる可能性があるな。」
「つうか、領主のあんちゃんが居ない間ってどんだけ放浪してたんだよ・・・?」
「どんだけと言われても正直俺にもわからん。
偶々迷い込んだダンジョンから出てきたら何百年も経ってたからなぁ・・・。」
「何百年って・・・。」
「あぁ、そのダンジョンは踏破したからもう普通のダンジョンになっちまってるぞ?」
「昔の神様の悪戯なのか、中と外じゃ時間のズレが酷かったんだよ。
最初は何度か補給に出入りを繰り返していたら入る度にダンジョンの様子が様変わりするんだよ。
そのかわり、潜っている間はそこまでというか全くと言って良いほど変化は無かったんだ。」
「へ~。そうなんだぁ~。」
「で、実際に踏破するまでにどの位かかったのさ?」
「必要最低限の荷物と、出来る限り軽量化して最大まで詰食料を詰め込んだアイテムバックを持ち込んでその食料が尽きかけていよいよやばいかもって所で最後のフロアに到達って感じだったな。」
「へ~、じゃぁ半年位?」
「持ち込んだ食料だけなら半年が限界だったぞ?だがオレは冒険者だぞ?」
「って事は・・・?」
「当然喰える魔物は食料にして、食える魔物が居ない時だけ持ち込んだ食料を喰う様にしてたさ。」
「ダンジョンの癖に、フロアによっては雨や川もあったりしたしな。」
「それじゃぁ、どれだけ居たのさ?」
「あ~、正確には数えてなかったが、とりあえず二年以上は潜っていたと思う。」
「てか、アイテムバックの食料がそんなに長く持つ訳ないじゃん!」
「あぁ、言ってなかったか?俺のアイテムバックのうち何個かはアーティファクトだぞ?」
「え!?アイテムバックのアーティファクトってもしかして・・・。」
「あぁ、時間停止型のが少しだがあるぞ。後は時間の経過がかなり遅くなるレベルの物もな。」
「マジかよ!遅延型すら王家に一個あるかもしれないって噂レベルなのに・・・。」
「ちなみにそのダンジョンの最深部でも遅延型が一つ手に入ったぞ。
容量自体は少し少なくて荷馬車が丸ごと一台ギリギリ入るって位だ。」
「あんちゃん、それ売ったら城どころか国が買えるぞ?」
「なんで売らなきゃいけないんだよ。」
「じゃぁ、なんで売らないんだよ!」
「あ?何で売らないかって?そりゃ、そこまでの遅延型ではないがお前らに一個づつ渡したから
オレの手持ちが減ったからだろ!」
「「「「「へ!?」」」」」
「へ?じゃねぇよ!卒業祝いにアイテムバック毎配っただろ!
もう忘れたのか!まさか捨てたわけじゃねぇだろうな?
いくらオレが凄腕でもアイテムバッグは早々簡単に作れねぇぞ?
まぁ、物が入るだけの袋なら作れない事も無いが容量もすくねぇし。」
まぁ、手間が面倒で作る気が無いだけなのだが、
「いや、みんな大事に使ってるけどコレってそんな凄いものだったのかよ!!」
「凄いって言っても、たかだか時間経過が三分の一位になるだけだぞ?」
「あんちゃん、たかだかって言うけどそれは一般常識じゃねぇぞ?
俺達にくれたコレですら、王家にばれたら即没収で断れば不敬罪で死刑だぞ?」
「あぁ、大丈夫だぞ?それはお前ら専用のマーキングがしてあるから
他の奴が手を突っ込んでも見た目どおりの袋でしかねぇからな。
お前らが死んだ時は自動的にオレの手元に転送されるように仕込んである。」
「あんちゃんってどんだけ規格外なんだよ・・・。
今言った事が出来る人間なんて伝説の中の人物しか聞いた事ねぇよ?」
「へ?そん位の腕の錬金術師なんてそこら辺に腐るほど居るだろ?」
「あぁ、そうか!あんちゃんが本来生きてた時代って遥か大昔で俺らからすれば伝説レベルの時代って事か・・・。
だから、アイテムバックもあんちゃん達の時代にほとんど取り尽くされて今では手に入らない。
そんで持って、作れる職人が減るまでは気がつかず徐々に職人が減り気がついた時には
大事な事は失伝されてたって事なんだ・・・。」
「お前らガキの癖に頭良いなぉぃ。あんちゃんびっくりだわ・・・。」
「俺らってどんだけ馬鹿だと思われてたんだ・・・?」
「ん?魔王の次ぐらい?」
「そこまで酷くねぇよ!!!!」
「お前らも十分ひでぇわ。」
などと、雑談を続けていたところで、五部一達の部屋で不安定に渦巻いていた魔力が一瞬消えたかと思った途端安定する。
「おい、にゃー。」
「わかってるにゃよ?」
「まぁ、さすがに気がつくわな。」
「なんだ?」
「今度は何が起こるって言うんだよ?」
「また何か出てくるのかよ・・・?」
「あぁ、ちげぇよ。あいつらの進化が終わったんだよ。
だから、にゃーに様子を見に行って貰ったんだよ。」
「にゃーさんはなんとなく納得出来るけど、なんであんちゃんはわかるんだよ!」
「ん?オレがわかっちゃおかしいのか?」
「だって、あんちゃんは人間だろ?
獣人とかは野生の勘ってわけじゃないけどそうゆうのには敏感なのはわかるけど・・・・。
人間ってそんなに何でもかんでも出来たりわかったりしねぇと思うんだよ。
人間なのに、にゃーさんや、セバス様、黒棺さんより強いって聞いたけどマジ?」
「魔物や魔族が自分より弱い相手の下につく訳ないだろ?
それが証拠さ。自分より強い相手に付き従って強さの欠片でも手に入れて自分がもっと強くなるようにって欲望が強いのが魔物だったり魔族なのさ。
人間は、金や権力に固執しすぎなんだよ。
金や権力なんてものは自分から求めたってロクな目にあわねぇぞ?
勝手に手に入っても分相応なものに関しては放棄するのが一番だ。
だから、オレも領主なんてのは真っ平御免だ。」
「俺たちもそんな台詞言ってみたいよ・・・。」
「でも、お金がに固執って駄目なの?お金がなけりゃ何も買えないよ?」
「だが、よく考えてみろ?この街には金が無くてもみんな生活できているだろ?
みんなが、自分の役割を全うすれば十分回っていくんだよ。
金なんて物は貯め込むやつが居るし、権力なんてそれだけでロクな事にならん。
お前らも大人になるまでにはまだまだ時間があるんだ。
よく考えてみる事だな。」
「あんちゃんに難しい事を言われるのはなんか納得いかないけど、勉強になった気がする。」
「余分な事は言わないようにしたほうがいいぞ?
貴族様相手に無礼な事をしたらそれこそ死刑になってもしらねぇぞ?」
「あんちゃんみたいにはならないようにする!」
「オレの扱いどんだけ酷いんだよ!」
「まぁ、あんちゃんには感謝してるのは事実だよ。
あんちゃん達の手助けが無ければ俺たちだけじゃなくて村のみんなだって多分生きていけなかっただろうしね。
鬼の様な修行のおかげで俺達だって強くなれたんだ。これからももっと修行しなきゃね!」
「お前らが、きつい修行って言ってるけどまだ準備体操も始まってないぞ?」
「嘘だ!あれ以上キツクされたらそれこそしんじゃうよ!!」
「まぁ、修行はこれからも定期的にやっていこうとは思う。
最低でも単騎で赤竜程度までは倒してもらわないといけないからなあ。
目指せSランクパーティーだ!」
ガキ共に発破をかけつつ、にゃーが戻るのを待つ。
何度経験してもこの待ち時間が辛いんだよなー。
進化と言っても思ったほど強くなれず、一から修行のやり直しにもなるしな。
さて、もうそろそろにゃーも戻ってくるだろうし今のウチに色々準備しておかないとな・・・。
「
なんとか更新する事が出来ました。
しかしながら眠気の限界と戦いながらの為誤字脱字あればご指摘願います。