第9話 チュンの落し物 中編《ちゅんのおとしもの ちゅうへん》
玄関に飛び込むと、お母さんのいる台所へ一直線に向かいます。
「ただいま! お母さん、お母さん、お友達のチュンがキラキラをなくしたの! どうやって探せばいいの? ヘラコプターでお空から探せばいいのかな!?」
るいが一生懸命に話すので、お母さんはびっくりしながらも、優しく問い掛けました。
「あらあら、るい、どうしたの? ヘリコプターじゃお空が高すぎて見えないわね。……そのキラキラって、なぁに?」
「チュンの、とっても大切なもの! 朝日が昇ると溶けちゃうの!」
お母さんは少し考えてから、るいの目線に合わせて微笑みました。
「るいが一緒に探してあげているのね。それじゃあ、そのチュンちゃんが、どこで落としたかはわかるかな?」
「わからないの」
「わからないのね。それなら、お空からじゃなくて、草むらの奥をよーく覗き込める虫眼鏡を使って、足元を探してみたらどうかしら?」
「むちめがね? むちめがねって、なぁに?」
るいは小首を傾げて、お母さんのエプロンの裾をきゅっと握りました。
「ふふ、虫眼鏡よ。おめめだと小さすぎて見にくいものを、虫眼鏡がおめめのかわりに、大きくして見せてくれる魔法の道具なのよ。るい、わかったかな?」
「うん! むちめがね、わかった!おめめを大きくするのね!」
るいはポンと手を叩くと、「お母さん、ありがとう!」と叫んで、レッツゴーの勢いであぜ道へと走っていきました。
お母さんは、そんなるいの後姿を愛おしそうに見送っていました。
あぜ道に戻ったるいは、水たまりのもこもこに報告しました。
「お母さんがね、むちめがねでおめめを大きくすんんだって!足元をよーく見るんだって!」
もこもこは吹き出しそうになりながら、るいへやさしく伝えました。
『さすが、るいのお母さんだね! よし、それならボクたちの魔法の出番だよ。るいちゃん、右手の虹の筆で、空に光の虫眼鏡を大きく描いてみて!』
「もこもこ、わかった!」
るいは右手でしっかりと見えない虹の筆を握りしめると、空に向けて、まあるく大きな円を描きました。
サラ、サラ、サララー
すると不思議なことに、集まった虹の光が空中でひとつになり、るいの目の前にきらきらと輝く大きな「光の虫眼鏡」が浮かび上がったのです!
《つづく》




