魔界転生 ただ訳あってすぐに元の世界に戻ってきました そこからが大変です
ちょっと思いついたので、第1話だけ書いてみました。
「うっかり死んだら異世界転生しちゃいました!」が完結したら、「うっかり死んだら異世界転生しちゃいました!」の同作の「シリーズ作品」ではなく、一旦これを書こうかと考えていますが、この投稿の段階では未定です。
「って、ここドコ!? オレ、さっきトラックにはねられて死んだんだよな!? たぶん……」
今村シンジは、つい今しがた、脇見運転をしていたトラックにはねられて死んでしまった。
「えーーっとぉーー。母ちゃんに、スーパーに買い物に行ってきてくれって頼まれて、その帰り道に紙袋からグレープフルーツを落として、それを追いかけて拾おうとしたらトラックにはねられた……。そこまでは憶えてる」
確かにシンジは、それで死んでしまった。
それで即死のはずだった。
ところが、次の瞬間には、別の場所に立っている。
ここは見渡す限り、木の生えてない赤黒い山々で囲まれている景色が広がっている。
地面にも草木は生えてなく、ただの黒い大地だ。
「ここは、ひょっとして、地獄というところでは……」
この景色を見て、シンジが真っ先に思ったのは、ここが地獄ではないかということだ。
そうとしか思えない。
「でも、ちょっと待てよ!? なんでオレが、地獄に落とされなきゃならないんだ!? 高校二年生になった今でも、悪いことなんか一つもしてないぞ!? まさかあれか!? この間、夜中に冷蔵庫にあったプリンを盗み食いしたからか!? たったそれだけで!? 閻魔様、どういうことなんだよぉーー!? 神様ぁーー、助けてくれよぉーー!」
そうシンジは、矢継ぎ早に天に向かって叫んだ。
その天には、太陽が見えない。そこにあるのは、シンジがいた世界にある月よりも二回り大きい月のようなものがあった。
その月のようなものが、星の見えない黒い空と、黒い大地を照らしていた。
「あぁーー。オレはこれから、鬼たちに拷問されるのかよ……」
そうシンジは、一人嘆く。
「でも、その鬼たちはどこに居るんだ? ここには、誰も居ないんだが」
シンジが辺りを見回しても、本当に誰一人としていない。
「オレはこれからどうすればいいんだ」
そうシンジは呟く。
「お前。ここで何をしている」
そう突然後ろから、声を掛けられた。
若い女の声だ。
シンジがその声の方にゆっくりと振り向くと、ラバースーツを着た、頭に二本の長い角を生やした、まさに可愛い美少女が立っている。
「コスプレ?」
シンジはさっきまでの状況を忘れて、そう呟いてしまう。
「お前は誰だ?」
そう、その美少女は聞いた。
「誰って、今村シンジですけど」
シンジは、何も考えずにそう答える。
「今村シンジ。聞かん名だな」
そう、その美少女は言った。
シンジは冷静になって、考えてみる。
ここはシンジのいた世界じゃない。地獄のはずだ。
「頭に角二本が生えているということは……。この方は……まさか、鬼!?」
シンジは、そう思った。
「って!? 大変失礼いたしました。先ほどの無礼な発言をお許しください。ボクは今村シンジと申します。以後、お見知りおきをお願いします! って、オレは何を言ってるんだ!?」
シンジはそう慌てて、目の前の美少女に必死に頭を下げて謝る。
「ほぉ。お前の名前は、今村シンジというのだな。わらわはエリンバル属の魔族、マリア・ルシフェロスじゃ」
そう美少女は言った。
「えっとぉーー。それじゃ、あなた様はマリア様でよろしいのですか?」
そうシンジは、恐るおそる聞いた。
「そうじゃ。ところでお前は、この魔界の中にいるというのに、魂に穢れがないな」
そう、マリアは言った。
「穢れ? あぁーー、ボクはこれまで悪いことは、ほとんどしてませんから。たぶんその為では」
そうシンジは答える。
「悪いこと? その悪いこととはなんだ?」
そうマリアは聞く。
「そんな悪いことって言えば、他人の物を盗ったり、他人を傷つけたり、他人を泣かせてしまったり……。いろいろとありますけど、とにかく悪いことです」
そうシンジは答える。
「なんだ。そんなことか。この魔界では、そんなことは日常にある普通のことだぞ」
そうマリアは言った。
「でも、それは悪いことです」
シンジは、マリアに対してそうキッパリと言ってしまう。
「あっ、いえ!? 口答えをして、どうもすみませんでした。お願いだから、ボクをイジメないでください!?」
そうシンジは必死に謝る。
「お前は、面白いやつだな。見たところ、お前はこの魔界のものではなさそうだ」
そうマリアは、笑って言った。
「気に入った。今村シンジ。お前を元居た世界に戻してやろう。だけど、それには条件がある」
マリアはそう言った。
「その条件とは?」
恐るおそる、シンジは聞いてみる。
「お前の世界を、わらわはこれよりしばらくの間、観察することにする。お前は世話係として、わらわの面倒を見るのじゃ。よいか。これは絶対に破ってはならぬ契約じゃ。決して破ってはならぬぞ」
そうマリアが言うと、次の瞬間には、シンジは元の世界に戻っっていた。
「夢だった……。まったく、白昼夢だなんて、冗談じゃない」
そう言ったシンジの前を、シンジをはねたはずのトラックが走り去っていく。
「母ちゃん、ただいま。買い物行ってきたぜ」
そうシンジが、玄関に入って言うと、その母から予想不能の返事が返ってくる。
「遅かったね、シンジ。マリアちゃん、もう来てるよ。今日から一緒に暮らすんだから、仲良くやんなよ」
そう母親のトシコは言った。
「うっかり死んだら異世界転生しちゃいました!でもここにはイイ男が全然いませーん!そんなところへ、ドSの王子様が現れました!」の完結までは、まだしばらくの期間があるので、ちょっと考えます。




