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断片集 【ハイブリッドパフォーマンス】  作者: 志村けんじ


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お金ならありません!

 猿投岳さなげがくはお金に困っていた。ガクがお金に困っているのは、いまに始まったことじゃない。子どものの頃からずっとだ。


 子どもの頃は、あまり気づかなかった。普通に学校に行けてたし、給食も問題なく食べられた。ただ家でのご飯はちょっと少なかったような気がする。


 お腹が空いていても、「お腹が空いた」とは言えない。言ったとしても、それ以上ご飯が出ないのがわかっていたから、言ってもしょうがない。だからガクのお腹はいつもちょっと空いていた。


 周りの友だちよりも、持っているものはちょっと少なかったが、それでも不自由は感じなかったし、明るい性格だったのでイジメられるようなこともなかった。


 ただ、学年が上がるにつれて、家にお金がないこともわかってきた。


 両親は共に働いていたが、それでも家にはあまりお金がなかった。理由は、よくある父親が事業に失敗したからだ。母親も共同事業者として連帯保証人になっていて、どうすることも出来なかったわけだ。


 幸いなのは、それでも両親の中は良かったことだ。


 父親は我慢強く、母親は明るかったが、二人の口癖は「ごめんな」と「ごめんね」だった。


 だから、高校生になってアルバイトが出来るようになると、賄いの食事が出る飲食店のアルバイトをするようになった。


 ガクは、家でも小学生の頃から料理をしていたので、料理をすることは好きだ。


 ガクは、迷うことなく厨房の仕事を希望した。


 そこから厨房での仕事も徐々に慣れてくると、一年を過ぎたころには賄いも任されるようになった。


 もちろん、お客さんにも、もう自分が作った料理を出しているわけだから、賄いの料理には、ちょっと自分なりのアレンジを加えた。


「なにこれ!? 凄く美味しい!」


 大学生のアルバイトの紗季さんが、一口食べてそう言った。


「えへへ」 


 自分でも、ちょっと自信があったので嬉しい。


「これ、美味しいね」


 きれいな紗季さんが、溢れんばかりの笑顔で言ってくれるのが、尚更嬉しい。


「まぁ、ちょっと自信があったんで、紗季さんに喜んでもらって、僕も嬉しいです」


「そういうのはな岳。ちゃんと男になってから言え」


 料理長の坂本さんが、後ろから岳にヘッドロックを掛ける。


「もぉー。やめてくださいよ坂本さん。それに男になってからってなんですか!?」


「そんなもん、決まって……」


 そこまで言って、坂本さんは言葉を濁した。



 楽しい現実と悲しい現実が交差する。


 ガクの悲しい現実は、やっぱり家にお金がないことだ。


 だから稼いだアルバイト代から必要な分だけを取って、あとは貯金して、毎月2万円を封筒に入れて母親に渡す。


「はい。母さんこれ」


 

「ごめんね」


 母親のいつもの口癖だ。


「ううん。僕の方こそいつもありがとう」


 ガクには夢がある。好きな料理を作って、食べてくれた人を笑顔にすることだ。


 来年は高校三年生だが、もちろん大学受験はしない。


 大学に通うようなお金はないし、奨学金を借りられるような学力もない。それに奨学金を返すのに何年も掛かるという話を聞いてしまうと、怖くて無理だ。


 だから来年に、二年間の調理師専門学校通うためにずっとコツコツと貯金をしていたのだ。


「フフフーン。たーのしみだなぁ~」


 夢が膨らむ。


♢ 


この作品については、思いついたアイディアだけで書いてみたものの、

主人公のキャラクターがまとめきれずに保留の停止状態です。

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