表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/34

プロローグ 魔術師ヨハンナの独白

 初めて投稿します。

 冬兄弟と申します。

 よろしくお願いします。

 設定を詰め込み過ぎ、情報量過多な部分がありますが、ご容赦下さいませ。


2025年6月2日

 投稿後、初めて本格的に読み直してみましたが、思った以上に改定したい部分が見つかりました。

 ただ改定は全て表現に関わる部分で、物語の筋には触れていません。

 今後、以降のエピソードの改定作業をしていく内に矛盾点等が見つかったら再び改定作業を行う事もあり得ますので、ご容赦下さい。


 私の名はヨハンナ。私の住むアストラー王国を始めとするアーク大陸西方地域では姓は貴族だけしか持てないものなので姓は無い。

 私は現在、ハーケンブルクという街の冒険者ギルドの2人いる副ギルド長の中の1人だ。

 ハーケンブルクは、アストラー王国はおろかアーク大陸西方地域でも珍しい、貴族が領主では無い自治都市であり、5人の議員で構成される『自治会議』が領主の代わりを務めている。

 ハーケンブルクは静かな内海に面した天然の良港を持っており、陸路での交易がまず不可能なアーク大陸東方地域や、南にあるミストル大陸との交易で莫大な富を得ている上に、アストラー王国本土ともザレー大森林とヘスラ火山という2つの魔境がその間にある為飛び地となっており、その事もあって元々自主独立の気風は強かった。

 そして約100年前、2人の王子の間で王位継承の争いが起こる。それぞれの王子の背後には門閥貴族と新興貴族がバックについていたのだが、その門閥貴族の首魁的存在がハーケンブルクの領主でもあったブランズヴィック侯爵家だった。

 ハーゲンブルクはブランズヴィック家にとって広大な領地のほんの一部分に過ぎない上に、飛び地であった事もあり当初はあまり重要視されておらず、税さえ納めていれば放置されていた様な存在であったが、ハーケンブルクが交易で財を成すにつれ、口出しが増え出し住民への締め付けも強くなっていく。

 その事に辟易していたハーゲンブルクの大商人達は、件の継承権争いでブランズヴィック家の推していた王子のライバルを密かに、だが強力に支援した。

 結果、新興貴族の推した王子が新王に即位し、自分達が推した王子が命と引き換えに平民への降格を受け入れた事で国政への影響力が完全に失われてしまった為に、門閥貴族勢力は一時的に力を減じた。

 そしてハーケンブルクはその非公式な恩賞として、自治権を与えられる。

 だが貴族以外に統治権を与える事は門閥貴族だけでなく、新王を支持した新興貴族からも反発を招いた。

 その反発を抑え込む為、新王はハーケンブルクに矛盾する2つの勅命を与える。

 『1.ハーケンブルクは自治権を与えられる代わりに、同都市における治安維持の全責任を負う。』

 『2.アストラー王国に於いてあらゆる軍は国王の指揮下にある。

 ただし、国王に忠誠を誓う貴族は国王の代理として指揮権の一部を代行出来る。

 国王の代理人たる貴族の存在しないハーケンブルクはあらゆる軍の保持、及び指揮は出来ない。』

 アストラー王国に於いて、『軍』とは対外的な脅威に対抗する軍事組織だけでなく、治安維持を司る警察機構である衛兵組織をも含む。

 つまり、『自治権を与える代わりに、治安維持と領地防衛は自前でしてね。でも、治安維持と領地防衛の為の公的な組織は持っちゃ駄目だよ。』という一見無茶苦茶な勅命を出してきたのだ。

 でも、これには抜け道が用意されていた。それが冒険者ギルドだ。

 冒険者ギルドを通して、普通は衛兵や軍人がするような仕事を個々の冒険者に斡旋すれば、公的な組織を持たずとも治安維持が可能になる、という理屈だ。

 ザレー大森林、ヘスラ火山、更に巨大ダンジョンの『アビス』という3つの魔境が周囲に存在するハーゲンブルクは元々冒険者の数も多く、それ故冒険者ギルドの規模も他の同規模の都市に比べて大きかったが、治安維持も担当することになり、その組織は更に肥大化した。

 ハーケンブルクの最高統治機関である『自治会議』を構成する5人の議員の内、4人は『四大商家』と呼ばれる街を代表する大商家の当主だが、残りの1人は冒険者ギルドのギルド長である事からも、その権力の大きさは分かるだろう。

 現在、ハーケンブルクのギルドに所属する冒険者の3分の1は、他の街の冒険者と同様の普通の冒険者だが、3分の1は冒険者とは名ばかりの他の街では衛兵や兵士がやる仕事を専門に行っている連中だ。そして、残りの3分の1は時と場合によってどちらの仕事もこなす連中となる。

 この巨大組織を束ねる現ギルド長がソニア。

 一目で南方人と分かる濃い褐色の肌と、強い巻毛の黒髪が特徴的な女性で、孤児だった彼女は貧民街で育ちながらも冒険者として大成し、彼女率いる冒険者パーティ『シーカーズ』は記録に残っている限りでは初めて巨大ダンジョン『アビス』を完全攻略し、リーダーのソニアは一躍英雄となった。

 とはいえ、それだけでこの巨大組織のトップに就ける訳ではなく、綺麗事では済まない政略的なゴタゴタに知名度の高いソニアが巻き込まれた結果とも言えるのだけど、誤解の無い様に1つ付け加えるとソニアは傀儡で収まるタマではなく、私の目から見ればかなり立派にギルド運営をこなしている。

 そして、『シーカーズ』の一員だった私は、同じく『シーカーズ』の一員だった虎の獣人のガーラと共に副ギルド長に抜擢された。

 まあ、私の副ギルド長としての評価は他人に任せるとして、曲がりなりにも巨大ダンジョン『アビス』を攻略したパーティの一員として恥ずかしくないくらいの冒険者としての実力は持っている、という自負はある。

 私がそれだけの実力を持てたのは、長年の努力は当然として、それ以外の要因もあった。

 1つは私の種族がヒューマンであったという事。

 ヒューマンは、人族の中で最大の人口と勢力を持っている種族で、そういう意味ではありふれた存在だが、あたしの場合は必ずしも当然とは言えない。

 というのも、私の父はソニアと同じ南方人のヒューマンだが、私の母はエルフだったからだ。

 この世界ではヒューマンとその近親異種族を含めて、ザックリと人族と呼ぶ。

 そして、人族のカテゴリー内であれば、異種族同士でも子を成す事が出来る。

 そして、生まれてくる子の種族は父方の種族か、母方の種族かのどちらかで、どちらで生まれるかは半々の確率らしい。

 その為、異種族の両親を持つ場合、兄弟姉妹で種族が異なる場合も普通にある。

 事実私も、実の姉と種族が異なる。

 話を戻すと、あたしの種族であるヒューマンは、他の種族に比べて種族固有の特殊能力が少ない。

 例えば、私の母の種族であるエルフは、クラスに関係無く秘術魔法が使えたり、片手剣や弓の才能を生まれつき持っていたり、野生動物や樹木と簡単な意思の疎通が出来たり、鋭い聴覚や夜目、魔法的とも言える危険を察知する第六感を持っていたりと、多くの特殊な種族能力を持つ。

 でも、ヒューマンの持つ種族能力は2つだけで、『クラスを2つまで持てる』と『クラスのレベルアップのスピードが他の種族の2倍』だけだ。

 でもこれが、他の人族を差し置いてヒューマンが世界にのさばっている原因なのだ。

 人族は、15歳の誕生日の夜明けに神々から『クラス』を授けられる。

 『クラス』とは、神々から人族に授けられた祝福と考えられており、クラスによって様々な特殊能力を得る事が出来る。

 例えば、あたしのクラスの『メイジ』は秘術魔法の専門家で、同じく副ギルド長のガーラは武器と防具の扱いに長けた『ファイター』だ。

 そして、クラスにはレベルが存在する。レベルが上がれば様々な基礎能力が底上げされるだけでなく、クラス特有の特殊能力も強化され、新たな特殊能力も次々と習得していく。

 メイジである私を例にすれば、レベルアップによって魔力が上昇して呪文の精度も上がり、新しく呪文を習得する事も出来る訳だ。

 そのレベルアップに必要なのは『経験』だ。

 『経験』とは様々な困難に直面し、生き残ることによって得られるものだ。

 『経験』は確かに存在するが、一方で捉え難いものだ。

 その困難を単にやり過ごしただけでも『経験』は手に入るが、それを克服する事により単にやり過ごした場合よりも数倍の『経験』を得られる。

 特に冒険者にとって最も分かりやすい『経験』が『魔物との遭遇』である。

 魔物から無事逃げられても少量の『経験』は得られるが、魔物を倒すとそれとは比較にならない位多くの『経験』を得る事が出来るのだ。

 そして、ヒューマンは常時、この『経験』が他種族の2倍得られる。

 ただこれは単純に、ヒューマンは同じ『経験』を積んだ他種族の2倍のレベルになるという訳ではない。

 高レベルになる程、レベルアップに必要な『経験』の量が加速度的に増えていくからだ。

 それでも成長の速さにおいて、ヒューマンが他種族の1歩も2歩も先にを行く事は間違い無い。

 そして『クラス』は、あくまで神々から与えられるものではあるが、ある程度自分が就くクラスをコントロールする事も出来る。

 1つ目は、神々から提示されるクラスが、クラスを得る15歳の誕生日迄に過ごした環境に影響されやすいという事が経験則的に分かっている事だ。

 それは、学習や訓練といった自主的な努力もあれば、周囲の人々に特定のクラスが多ければ子供もそのクラスになり易いという事もあるし、本人が非常に強くそのクラスになる事を望み続ければ確率も上がる、という事もあるらしい。

 私の場合も、メイジになるべく幼い頃から秘術魔法の勉強に精を出してきた。

 ただこの第1の要素は、あくまで確率を上げられるだけで絶対的なものでは無い。望んだクラスが与えられなかったり、それまでの生活とはかけ離れた本人が予想だにしなかったクラスを提示される事も、また珍しい事では無い。

 そして2つ目は、提示されたクラスを2回まで拒否出来る事だ。

 無論これにはリスクもあり、提示されたクラスを受け入れるか拒否するかの決断は、次のクラスが提示が示される前に行わねばならず、1度拒否したクラスは2度と選択出来ない。2度目、3度目に提示されたクラスより1度目に提示されたクラスの方が良かったと思っても、遡って選び直す事は出来ない。

 当然、2度拒否した者は選択の余地無く3つ目に提示されたクラスを受け入れなければならない。

 そして3つ目の要素は、私達ヒューマンの様に2つ以上のクラスを得られる者だけに関係する事柄だが、1つ目のクラスを決定した後に、2つ目のクラスを得るか、それ以上クラスを得るのを止めるかを決定する機会が与えられる事だ。

 複数のクラスを得る利点は単純に出来る事が増える事だ。

 そして欠点は、得た『経験』がクラスの数に分割されてしまう事だ。

 2つクラスを持てば、得た『経験』は2分の1ずつそれぞれのクラスに入り、3つ持てば3分の1ずつ、という具合に。

 当然それはレベルアップ速度の低下をもたらす。

 一刻も早く一人前のメイジになりたかった私は、2つ目のクラスを取らなかった。

 その甲斐あって、私は早々に高レベルに達する事が出来た。

 もう1つ、私がメイジとして成功出来た要因は、私が『アルビノ』であった事だ。

 アルビノは、人族のカテゴリーであれば、種族問わずに1万人に1人位の確率で生まれてくると言われている特徴で、外見的な特徴として肌や髪の色素が極端に薄く、ほぼ真っ白である事が挙げられる。

 そしてアルビノは生まれつき魔力の値が異様に高い。クラスを得る前の子供でも中堅レベルのメイジに匹敵する魔力を持つとも言われている。

 魔力はあらゆる魔法のエネルギー源となるもので、魔法の発動には魔力を消費する必要があるし、同じ呪文でもレベルが同じなら魔力の高い術者が唱えた方が威力も強くなる。

 魔法の精度自体は魔力は直接関係しないが、魔法精度は呪文の発動回数が多い程上がっていくものなので、元々の魔力が多ければ魔力切れを気にせず呪文を何度も唱えられるので、間接的には関係してくる事になる。

 私がメイジを目指したのは、アルビノとしての高い魔力を最大限活かす為だ。

 そして、アルビノには高い魔力と引き換えに、脆弱な肉体という大きな欠点もあった。

 それは戦闘職に向いていない、という程度の欠点ではない。

 1万人に1人の割合で生まれると言われるアルビノだが、成人のアルビノの数はそれより遥かに少ない。

 その理由は、その脆弱な肉体故に、ちょっとした感染症や怪我で幼少期に亡くなる数が多いからだ。

 事実私も、子供の頃はすぐ体調を崩し、他の子供のように外で遊び回る事も無くほとんどの時間を部屋の中で過ごしたし、更に1年の半分はベッドの上で過ごした記憶がある。

 ただ、私の両親が優しい人柄で、病弱な私を優しくも根気よく育ててくれたのは幸運だった。

 薄情な両親だったら私は成人前に亡くなっていただろう。

 そんな私の生活が一変したのは、7歳の時に発生した『ハーケンブルク大火』だ。

 ハーケンブルク史上最悪の大火災と言われているこの大火は、貧民街、ハーケンブルクの港湾地区の倉庫街、そして私が幼少期を過ごした『異人街』の大半を焼き尽くしてしまった。

 『異人街』とは、ヒューマンの中でも南方人や東方人、それにヒューマン以外の人族が多く住む下町の一角で、ハーケンブルクでも最も異国情緒溢れる一帯と言われている。

 冒険者であると同時に、異人街の顔役でもあった両親は、火事の現場に残って消火と救助の陣頭指揮に当り、結果的に逃げ遅れて帰らぬ人となってしまった。

 思春期の頃は実の子を残して他人の為に命を落とした両親の行動を疑問に思ったものだが、それなりに年齢と経験を重ねた今では両親の行動を誇りに思えるようになった。

 とはいえ当時7歳、しかも同年代の子供より遥かに病弱な私が自活する事は不可能で、そんな私を育ててくれたのが7歳歳上の姉のゾラだった。

 大火が起った当時、姉のゾラはまだ14歳であり、クラスを得られる15歳で成人と見なされるこの社会では彼女自身まだ未成年であった。

 異種族間の両親から生まれた兄弟姉妹は種族が違う場合が多々あるのは前述したが、エルフとヒューマンの間の子供の場合はもう少し複雑になる。

 エルフとヒューマンの間の子供は、エルフ、ヒューマン以外にハーフエルフという種族になる可能性があるのだ。その確率は大体3分の1ずつ。

 私の姉、ゾラもハーフエルフだ。

 ハーフエルフはそのままエルフとヒューマンの中間のような容姿をしている。

 特に、姉のゾラの容姿に関して言えばエルフとヒューマンのいいとこ取りをしているとも言える。

 こう言うと、ソニア辺りは

 「またシスコンを拗らしてる。」

 などと苦笑するのだが、これに関してはシスコン関係無しの事実だと思っている。

 エルフ程ではないが、ヒューマンよりは明らかに細長く尖った耳、全体的にはスレンダーだが、エルフのほど華奢な印象はなく、出るべき所は出ているバランスの取れた身体。

 エルフの特徴の1つは金属的な光沢を持つストレートな髪だが、姉の髪も母のエルフ譲りの金属的光沢の銀髪で、でもエルフの様にストレートではなく、緩やかなウェーブがかかってるのは南方人の父譲りだろう。

 父からは褐色の肌も受け継いでおり、初対面の相手からはダークエルフと間違われるのはお約束となっている。

 姉妹だけあって、私と姉とは顔つきは確かに似ているのだが、印象は何故か違っている。ワイルドさと繊細さを併せ持つ姉は、貧弱な印象の私と違って本当に美しい。

 ……姉の容姿の美しさについて語るとしばらく止まらない気がするので話を戻そう。

 ハーフエルフはエルフの種族特徴を一応全て受け継いでいるが、その能力は大きく劣っており、同レベルのエルフに比べて半分程度と思えばいい。

 劣化版のエルフ能力以外のハーフエルフの種族特徴は、クラスを最大3つまで持てる事だ。

 おまけに姉のゾラはオッドアイの特徴を持っていた。

 オッドアイとは、左右の瞳の色が異なるという外見的特徴であり、ゾラの場合は右が神秘的な金色、左が美しい紫色だ。

 そしてオッドアイを持つ者は、種族の限界を超えて余分に1つクラスのを持つ事が出来る。

 オッドアイは、アルビノと同様に1万人に1人の確率で生まれると言われているが、体感的にはもっと少ない気がする。

 その理由は、アルビノが虚弱体質で幼少期の死亡率が高いのとは全く異なる。

 クラスを授けられた時、オッドアイ分の余分なクラスを得なかった場合、1年くらいかけて異なっていた両方の瞳の色は両者の中間色に落ち着き、オッドアイの外見的特徴が消失してしまう為だ。

 多くの人族は、レベルアップのスピードを犠牲にしてまで余分なクラスを取ろうとはしない。

 でも、姉のゾラは未だオッドアイの特徴を持っている。

 でもまあ、あの頃の姉の様子を知る身としては、その賢いとは言えない選択を悪し様に言う気にもなれない。

 私と違って子供の頃から活発だった姉は、多分両親の死が無かったとしても冒険者志望だったとは思うが、あの件で姉の本気度がかなり上ったのもまた事実だと思う。 

 ギルドはクラスを得た15歳以上の者しか冒険者として登録しないが、15歳未満の冒険者志望の子供を下働きとして雇う事は珍しくない。

 下働きとして働く事で、様々な冒険者やギルド職員とコネを作れるのは大きいし、少ないながらも給金も発生する。

 私達の両親は、冒険者としては中堅クラスだったが、冒険者に有りがちな乱れた生活とは縁が遠かったのでそれなりのお金を遺してくれた。

 それでも私が病弱な事もあり、1年後には両親の遺産はかなり目減りしてしまった。

 15歳の誕生日を迎える頃の姉が相当焦っていたのは想像に難くない。

 目一杯クラスを4つも習得してしまったのも、焦りのあまり自分の特徴を最大限活かそうとし過ぎて、それがもたらすデメリットに目を向ける余裕も無かったからだと思う。

 ただクラスを4つも取ったとしても、そのクラスの組み合わせ如何にしては、レベルアップの遅さもある程度カバー出来るのだが、姉の選んだ4つのクラスの組み合わせもまた微妙だった。

 ……時々、姉は子供っぽいアホな考え方をする時があり、そういう時の姉も可愛くて嫌いではないが、この時はさすがにアホ過ぎだとシスコン気味の私でも思わないではない。

 姉の1つ目のクラスは『レンジャー』。

 エルフの母のクラスもレンジャーであり、親のクラスが提示されるのも珍しい事では無い。

 それに野外生活のスペシャリストであるレンジャーは、オールマイティに活躍出来るクラスでもあるので、この選択だけで姉の選択を間違いだとはとても言えない。

 2つ以上のクラスを持つ場合、各々のクラスに共通する能力がある場合、その能力は累積する。

 レンジャーは重い鎧や盾などを扱う能力には欠けるが、ファイター並に多彩な武器を扱える。

 なので、2番目のクラスにファイターを選べば、両方のクラスの武器を扱う能力は累積し、『野外でのサバイバル能力に長けた戦士』として普通のファイターより戦場の環境を選ばなくなり、レベルアップの遅さを充分カバー出来る。

 また、レンジャーはドルイトやテイマーといったクラス能力の劣化版の能力を持つが、ドルイトやテイマーのクラスを取れば武器戦闘可能なドルイトやテイマーとしてやはり活躍の場は広まるはずだ。

 でも、姉の取った2番目のクラスはバード。

 バードは南方人の父のクラスで、やはり姉には提示され易いクラスだったし、父の弾き語りが大好きだった姉がクラスの選択肢としてバードが提示されればそれを拒否出来なかったのも想像に難くない。

 でも、クラスの組み合わせとしてはやはり微妙と言わざるを得ない。

 レンジャーも、専門性を犠牲に多芸さを売りにしたクラスだが、それに更に輪をかけたのがバードだ。

 歌や楽器の演奏、更にはちょっとした寸劇や手品などで人々に娯楽を提供するという表の顔を持つバードの本質は、自然環境下ではなく、人族の密集する都市でのサバイバルのスペシャリストと言えるかもしれない。

 なので、レンジャーの多芸さと重なる部分は少なく、多芸さの幅は広がったが、レベルアップの遅さというデメリットは全く解消されない組み合わせとなる。

 ただバードも、シーフやメイジといったレベルアップの遅さを補える相性の良い組み合わせのクラスもある。

 普通に考えれば、3つ目のクラスはバードかレンジャーとの相性の良いクラスという事になるだろう。

 そんな姉が3つ目のクラスに選んだのが『カメレオン』。

 2つ目のクラスにバードを選んだのに関しても、姉の選択を弁護する為のハードルは結構上がったが、3つ目のクラス選択で更にそれが急上昇してしまった。

 クラスにはそれに就いているものがほとんどいないマイナーなものも存在し、そういったマイナーなクラスは非常に強力か、逆に何の役に立つのか分からない外れクラスの両極端である場合が多い。

 カメレオンは典型的な後者だ。

 ただ、使えないクラスというのは選択しなければ済む話なので、運が悪いという言い訳は通用しない。

 それに、全く使えないというのは語弊があって、正確には大器晩成型のクラスという方が正しいのだろう。

 なので、苦しい言い訳になるのは承知の上で言うと、自身の成長を見越した選択と言えなくも無い。

 カメレオンは、1レベル下の他のクラスの能力を一時的に得られる、という一見万能に思える能力を持っている。

 例えば、5レベルのカメレオンは一時的に4レベルファイターや4レベルメイジの持つクラス能力を得られるのだ。

 ただ、カメレオンの他クラスの再現能力は低レベルの間は本当に短時間だけで、一度の使用に膨大な魔力を消費する為に燃費はかなり悪い。

 加えて、クラスのコピーに膨大な魔力を消費する事は、メイジやクレリックの様に呪文メインのクラスをコピーしても、その時点で既に魔力が枯渇状態の為に肝心の呪文が使えない、というクラスの存在意義に関わるような大きな欠点にもなる。

 そして他クラスの能力を再現していない間のカメレオンは、特に何の能力も持たない。

 高レベルになればコピーの際の魔力消費も減り、コピーしていられる時間も延長され、一度に複数のクラスをコピー出来るようにさえなるが、そこに至るまでが至極困難なのだ。

 個人的に、姉以外にカメレオンのクラスを得ている冒険者は見たことも無いし、真偽の定かでない歴史上の人物まで遡っても、該当するのは1人だけだ。

 そういやその伝説の冒険者って、父の十八番の吟遊詩の登場人物だったな。今では姉の十八番でもあるけど。

 機転で困難を潜り抜けるヒューマンの『バード/カメレオン』で、私の個人的な印象では冒険者というより詐欺師っぽいけど。

 そして、姉の4つ目のクラス。

 これについては、姉は私に対してさえも頑なに秘密にしている。

 長年、私も姉の意思を尊重して4つ目のクラスについての質問は控えていたが、つい数年前、自分の高レベルメイジとしての能力を活用すれば姉の4つ目のクラスを姉に気づかれない内に鑑定出来る事を確信出来た為、つい姉の秘密を突き止めてしまった。

 結果、姉が秘密にしておきたい理由がようやく分かった。

 『経験』を喰うだけでまるで役に立たない死にクラスだったからだ。

 少なくとも、現代の西方地域では完全に役に立たないクラスだ。

 今では伝説と化している、数百年前のこの国の建国前後の時代なら英雄にもなれたかもしれないが、私達が今生活しているこの時代では無用のクラスだ。

 でも、何故姉がそんなクラスを取ったのか、妹の私には何となく分かる。

 姉にとって、とっても格好良いクラスに見えたからだろう。

 15歳の誕生日の夜明け時に4つのクラスを得た直後に、

 「あたしってば最強じゃん?」

 とドヤ顔でイキっている姉の顔が、容易に想像出来る。

 想像出来るが、共感は出来ない。

 我が姉ながら、とってもアホだと思う。

 でもまあ、そんな姉のアホっぷりも可愛く見えてしまう私も大概だけど。

 姉の秘密を知った私は、すぐに何も知らなかった事にしようと決意した。

 そもそも、姉が珍しく頑なに守ろうとした秘密を探ろうとしたのは、余りに頑なにだったので逆に好奇心が刺激された部分も確かにあるが、危なっかしい部分のある姉を、せっかく副ギルド長という地位を得たのだから適切にサポートしたいという気持ちの方が強かった。

 結果的には、4つ目のクラスについては私のサポートではどうしようもないモノだったのだけど。

 実は私の姉に対する思い入れの強さには、単にシスコンというだけではなく、彼女に対して負い目を感じているからでもある。

 無計画にクラスを4つも取った姉の判断は確かに愚かではあったが、冒険者の仕事に対しては姉はかなり真面目に取り組んでいた。

 クラスどうこう以前に、姉の性格や気性が冒険者に合っていたのは確かだ。

 伸び伸びと自分のペースで冒険者を続けていれば、あの件は無かったかもしれない。

 でも病弱な私を養う為、姉はしばしば無茶をした。

 そして、相変わらず1年の半分をベッドで過ごしていた私は、その事を知らなかった。

 そしてある日、姉は冒険中に右腕切断の大怪我を負う。

 負傷した場所が、ダンジョンの『アビス』の上層部だったのは不幸中の幸いだった。

 『アビス』の入口は冒険者ギルドによって完全に管理されており、入口の建物にはキルドに雇われた治療役の中レベルクレリックが常駐しているし、また多くの魔物や罠が存在するものの、狭い空間である『アビス』では移動距離が短くて済む。特に上層部ではそうだ。

 これが、ヘスラ火山やザレー大森林だったら、撤退途中で失血死していた可能性も高い。

 それでも、右腕を失った代償は大きかった。

 失った四肢を再生する魔法は存在するが、これは死者の蘇生の次に高度な治癒魔法で、最高レベルのクレリックかメイジでなければまず使えず、西方地域全体でも使用出来る者は数人しかいないだろう。

 そういた人が、面識も無い駆け出しの冒険者の為に動く事はまず考えられないし、仮に面識を得たとしても、実際に魔法をかけてもらうには膨大な費用がかかるので、この時点ではまず不可能だった。

 となると選択肢は少ない。

 片腕の冒険者もいない訳ではないが、その多くはメイジなどの呪文の専門家だ。姉の様に前線でも戦い、罠の解除も行う万能タイプでは片腕で冒険者を続けるのは難しい。

 そこで姉は冒険者を続ける為に『魔法義肢』の購入を決意した。

 文字通り着用者の魔力をエネルギー源に稼働する義肢で、決して安くはないが技術はそこそこ広まっており再生魔法をかけてもらうよりは現実的な選択だった。

 魔法義肢には様々なタイプがあり、本人の髪の毛や爪からアルケミストが培養し作成する義肢はパッと見は本物と区別がつかない程の性能だが、かなり高価で義肢の培養にも年単位の時間がかかる。

 姉の選択したのは金属製の義肢で、外見的にはほとんど金属鎧だ。ゴツい外見に目を瞑れば、パワーも強度も生身の肉体以上で冒険者向きと言えなくはないが、定期的に分解してのメンテナンスは必要だし、器用に動かすにはかなりの慣れが必要だ。

 元々左利きだった事もあって姉は、失った右腕の代わりの義肢の不器用さには目を瞑ったようだ。それに、金属製の義肢なら作ってくれる当てもあった。

 私達一家の近所に住んでいたドワーフの女鍛冶師のダリルだ。

 彼女は姉の憧れの女性でもあり、姉が煙管を吸うようになったのは完全に彼女の影響だし、ファッションなんかにも彼女の影響が感じられる。

 そのダリルが、利息無し、期限無しの分割払いという破格の好条件で魔法義肢製作を受け入れてくれた。

 正確な所は分からないが、ダリルは私達の両親に恩があったらしいし、私達の両親が亡くなった後は異人街の顔役を継いだ位、豪毅な性格もしている。

 姉の事も、子供の頃から可愛がっていたらしい。

 姉の方もダリルの事を慕っていたが、この感情は少し違っていて、ハッキリ言えばダリルは姉の初恋の相手だ。

 姉が、自分はレズビアンであると自覚するキッカケを与えた人物でもある。

 もっともダリルの方は完全にノンケで、未だに姉の過去の想いに気付いている様子は無いのだが。

 もう1人、姉の魔法義肢製作に関わったのが、魔法アイテム製作の専門家クラスであるエンチャッターのエドガーだ。

 ダリルの作った金属製義肢に魔力を付与し、動くように仕上げたのがエドガーだ。

 余談だが、姉の魔法義肢製作の共同作業がキッカケで、2人は結婚した。

 自分が2人を結びつける原因になった事について、姉がどう思っているのか興味が無い訳では無いが、流石に直接尋ねるのは憚られている。

 姉は未だに義肢のメンテナンスの為に夫婦の元を定期的に訪れているが、その時にカカア天下ながらも仲睦まじい夫婦に向ける妙に引きつった愛想笑いを見てしまうと、ヤッパリ訊けないなぁ、と思ってしまう。

 結果的にエドガーがダリルと結婚した事で、彼に対する報酬もダリルに対するのと同様に、金利無し、期限無しの分割払いという好条件になったのは駆け出しだった姉には大分助かった面もあっただろうけど。

 金銭的な問題はクリアしたが、この魔法義肢は姉の冒険者としてのレベルアップの速度を更に低下させる事になる。

 いくらか制限はあるものの自在に動かせる魔法義肢だが、これを動かす為に必要なエネルギー源である魔力を恒常的に着用者から吸収する仕組みは、習得する『経験』の減少という形で現れる。

 つまり、魔法義肢1つにつきクラスをもう1つ獲得したかのように『経験』が分割されてしまうのだ。

 既にクラスを4つ得ている姉は、魔法義肢の着用によってクラスを5つ得ているのと同様になり、更にレベルアップの速度が低下してしまった。

 恐らくこの時、まだ駆け出しだった姉はこの状況のもたらす深刻さに気付いていなかったのだろう。

 『経験』の分割が4つから5つになったとしても大差無いと考えたのかもしれない。

 それにハーフエルフは、エルフ程ではないが長命な種族で、ドワーフと同程度、ヒューマンの4倍は長生きする。

 いくらレベルアップが遅くとも、寿命の長さを活かせばそれを補えると考えたのかもしれない。

 しかしレベルが上昇するにつれて、レベルアップに必要な『経験』は加速度的に増えていく、という無慈悲な事実はあらゆる冒険者が直面する問題で、冒険者が引退する最大の要因だと私は思っている。

 低レベルの間は身の丈に合った冒険をしているだけで順当にレベルが上がるのだが、多くの冒険者は中レベル帯半ばから後半にかけて、レベルに合った脅威の冒険では『経験』が不足し、レベルアップのスピードがそれまでより極端に低下する『成長の壁』にぶつかる。

 この『壁』を乗り越えられず引退を決意する冒険者は実に多い。

 それまでと同様に冒険をこなしているのに、全くレベルが上がらない状況に飽いて冒険者に見切りをつけたり、焦って身の丈以上の脅威に挑戦して身の破滅を招く者もいる。

 私の様な単一クラスのヒューマンは、この『壁』の影響は全く無いか、あっても微々たるモノだ。寿命の短いヒューマンに高レベルの冒険者が多いのもその為だ。

 だが姉の場合は全くその逆で、私が冒険者デビューする頃には既に『成長の壁』にぶち当たっていた。レベル帯で言えば、低レベル帯から中レベル帯に変わる辺りだ。

 それ以前にも、姉は成長の遅さが原因で多くのパーティをクビになってきたが、その頃にはパーティに正式加入すらしようとせず、完全なソロか、サポートメンバーとして一時的にパーティに加入する位だった。

 ソロ中心の活動では、更に冒険の脅威度を下げざるを得ず、姉のレベルアップスピードは更に落ちた。

 姉は今現在、冒険者としてのキャリアは20年程になるが相変わらず中レベル帯の入口付近で停滞している。

 それでも変わらず現役を続けている姉の事を、一部の連中はみっともなくしがみついていると見なしているようだ。

 私が冒険者として順当にレベルを上げ、紆余曲折の末に副ギルド長になった事も、姉の評判にはマイナスになっている感もある。

 『出世した妹に寄生する出来損ないの姉』と陰口を叩く連中も少なくない。

 実際には、姉は寂しい位に私を頼ってくれないのだが。

 それは別に姉が私を嫌っているとかではなく、理由の1つは姉が自主独立を理想化している典型的なハーケンブルク人気質であるという事だ。

 もう1つの理由としては、やはりそれなりの地位を得てしまった私に対し、自分の悪評が影響を与えるのを懸念してしまっているのだろう。

 悪評の原因の1つは確実に、姉がレズビアンであるという事だ。

 別に姉は、自分がレズビアンであるという事を吹聴して回っている訳では無いが、特に隠している訳でもないので、自然にその噂は広まってしまった。

 これはかなり極端な例であるが、アストラー王国でも特に保守的な地域では同性同士で関係を持った者は発覚すれば男女どちらも火炙りで処刑されるらしい。

 その点、ハーケンブルクでは同性愛者だからという理由だけで公的に処分される事は一切無いし、 そもそも生粋のハーケンブルク人は他人のプライベートに立ち入る事を良しとしない。

 一方で、ハーケンブルク人というものは極端なまでに実力至上主義だったりする。

 何かを成し遂げた成功者であれば、他者と違う振る舞いであっても時に無条件で美徳扱いされたりする。

 でもそれは、逆に言えば人より劣っていると見做されればどんな些細な点でも大袈裟に欠点とされてしまう事とセットだったりする。

 そして成功者か落伍者か、その判断基準は皆が思うよりはずっといい加減なものだ。

 姉は美人で華があり、スレンダーな肢体には不釣り合いなゴツい金属製の義肢に、神秘的なオッドアイと、ただでさえ本人が自覚している以上に目立つ存在だ。

 おまけに冒険者としてはかなりの古株のくせにこれといった成果は挙げておらず、その妹はハーケンブルクの歴史でも最も成果を挙げた冒険者パーティの一員から冒険者ギルドの副ギルド長に異例の出世を遂げた。

 美人なのに親しみ易い性格であるのに、レズビアンで男性を恋愛対象とは見れない。

 こういった様々な要因から、姉の噂は知っているがその人柄をよくは知らない連中は特に、いつしか姉を先入観だけで見下すようになった。

 彼らは姉に勝手にこんな二つ名を付けた。

 『器用貧乏のゾラ』。

 失礼ではあるが、現在の姉の本質を言い当ててもいるこの二つ名は、あっという間に冒険者ギルド内に広まり、定着してしまった。

 そんな失礼な二つ名を付けられて随分経つが、姉は苦笑しつつもそれを受け流し、自分の出来る事を淡々とこなしている。

 早すぎる『成長の壁』の到来で、もう3年もレベルアップしていないというのに、姉は冒険者としての自分を諦めている様子もない。

 姉は、私が考えていたよりずっと図太く強かったように思える。

 そんな姉のマイペースぶりを焦れったく感じる時もあるが、でも時々、つい私は妄想してしまう。

 遠からぬ未来に姉は『器用貧乏のゾラ』では無く『万能のゾラ』と呼ばれるのでは、と。

 確かに姉は、子供っぽい考えに熱中して後先考えないアホな決断をするし、綺麗な女性にすぐ惚れてはしばしば騙されるし、ちょっと運も悪いし、ヘタレな所もあるし、それに加えてここ数年は結構スレてきた。

 でも一方で、姉は情に厚く、約束は守るし、頑固なまでに誠実な所もあり、悪評にもかかわらず意外と人望もあるし、何より土壇場で発揮する底力には侮れないものがある。

 だから私の妄想は、実現する可能性は限りなく低いが、全くゼロという訳では無い。

 シスコン気味の妹の贔屓目であるのを承知で言うと、『器用貧乏のゾラ』はそんな期待を抱かせるだけの何かを持っている存在なのだ。

 

 


 






 読んで下さりありがとうございます。

 プロローグの語り手が、語り手として登場するのは今回のみで、次回以降からは主人公視点で話が進む事になります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ