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僕と幼馴染みと黒猫の異世界冒険譚  作者: s_stein
第二章 魔法学校編

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第102話 シャルロッテのとっても危ない攻撃

 泥人形の背後で、ほぼ同時にドスドスと音がした。


「斬っても斃れない!」

 マリー=ルイーゼの声だ。

 アーデルハイトをつかんでいる泥人形の後ろから聞こえる。

「何よこれ!? 土を刺しているみたいじゃないの!」

 これはシャルロッテだ。

 トールをつかんでいる泥人形の背中から聞こえる。


 彼女達が、泥人形の背後で攻撃してくれている。

 苦戦している様子だが、トールは彼女らの勇気に元気づけられた。

 彼は力を奮い立たせ、襲いかかる骸骨を剣で防戦する。


「えいっ!!」

 シャルロッテの声だ。

 とその時、トールの足の付近、今は泥人形に宙づりにされて逆さになっているので、泥人形の胸か腹の辺りだが、そこでズボッと音がした。

 彼は足下を見やる。

 視界に、細くて尖った金属製の棒のような物が映った。


 彼は最初、漠然と『ああ、あれはシャルロッテのレイピアだな』『泥人形だから、刺せば突き抜けるんだ』と思った。


 えっ? 足の付近に?

 ええっ? レイピアが突き抜ける!?

 えええっ!? まさか!!??


 彼は腹筋を使って少し上体を起こし、自分の足の付近で起きている出来事を確認した。


 彼は鳥肌が立った。

 なんと、シャルロッテのレイピアが泥人形の背中から突き刺さり、体を通り抜けて、自分の股間の上、約10センチメートルのところから刀身が出ているのである。

 その細くて鋭い刀身が、シュッと引っ込んだ。


「えいっ!!」

 また彼女の声がする。

 ズボッという音。

 トールは音の方を見る。

 今度は、剣先がトールの股間の上、約5センチメートルのところから突き出る。

「わわわっ! 待って! 待って! 待って! シャル! 僕に刺さる!」

 トールは、シャルロッテに向かって叫んだ。

 何に刺さる、とはさすがに言えなかった。


 ところが、彼女は「えええ!? 斃れないわよ!」としか言わない。

 彼の叫びもむなしく、どうやら聞こえていないらしい。

 トールは、足をジタバタさせた。

 股間が緊張して、ジンとする。

 ちょっと内股気味になった。

 彼は、骸骨の猛烈な攻撃にも耐えながら、自分の股間の心配もしないといけなくなったのだ。


 これは一大事!

 しかも、万が一、彼女の手元が狂うと、レイピアの剣先が自分に刺さるかもしれないのだ!

 敵と味方に、前から後ろから攻撃される英雄(ヘルト)

 これは、最大のピンチである。


「このー!!!」

「やめてー!!!」


 ズボッ!


 今度は、レイピアの剣先がトールの股間をかすめた。

 後2、3ミリずれたら!

 彼は、恐怖のあまり青ざめた。


「シャルウウウウウウウウウウ!! ヤバいよ! ヤバいよ! マジでやめてー!!」

「えー!? なんか言ったぁ!?」


 とその時、神様が、哀れなトールに救いの手を差し伸べた。


「シャル! ヒルが呼んでいる! 戻るわよ!」

 マリー=ルイーゼの声だ。

 これぞ天の助け!


「わかった、マリー! いったん、退却ね!」

 これは、シャルロッテだ。

 レイピアの刀身が、トールの股間をこすらんばかりに引っ込んだ。


「ふううううっ……」

 トールは深呼吸のようなため息をつき、安堵の胸をなで下ろした。

 そこへ、逆向きになった骸骨が斧を振り下ろす。

「させるかぁ!!」

 トールの長剣が風を切り、骸骨の背骨を折った。


 股間の憂いは去った。

 反撃再開である。


   ◆◆◆


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