ep18 世界樹
「誰か木登れる人いないかな?」
休憩後、私たちは高原エリアの中央に堂々と立っている木のてっぺんに登れないか考えていた。
「てっぺんが見えないくらい大きい、こんなの初めて見たかも」
ルディアが上を見上げながら言う。私もこんな大きい木は初めて見る。
「ゲームでよくある、『世界樹』みたいだよな」
モクロさんが腕を組みながら言う。
ん? 世界樹ってなんだっけ。
私が困った表情を浮かべると、フレアが説明を挟んだ。
「神話の話に出てくるんだけど、世界に一本しかない、世界を繋いでいる木っていう感じだよ」
世界を繋いでいる、……か。
「この木を登れば、どこか別の世界に繋がってる可能性があるってこと?」
私は疑問をフレアにぶつけるが、「うーん」と難しい顔をしているだけだった。
「私、木登れますよ」
そんなことを話し合っていたら、一人の少女が話しかけてきた。
「木、登れるの?」
私はこんな体も小さな少女が本当に木に登れるのか疑問に思いつつも返事を返した。
「うん、木登るの好きなんだ! でもこんなに大きな木は登ったことないから登れるかはわからないけどね」
そりゃこんな大きな木は登ったことないよね。でも危険そうだからやってほしくはないんだけど……。
私がそんなことを考えていると、少女は木を登ろうとしていた。
「ちょ、上に何があるかわからないから危ないよ! 登っちゃダメ!」
私は少女に近づいて両手で肩を掴む、ここは大人が最初に登って確認するべきだ。
「えー、ダメなの?」
「ダメだよ、絶対!」
私は強めに少女へ言葉をかけた。
「わ、わかった」
少女は私の注意を素直に受け入れてくれたようで、諦めてくれた。
「でもさ、誰が確認しに行くの?」
もっともな疑問を少女が言ってきた、本当にどうしようか。
「じゃあやってもいい?」
すると、フレアが手を上げてきた。正直フレアなら安心してまかせられる。
「私もフレアちゃんが適任だと思う」
ルディアも納得した表情で言う。
「モクロさん、フレアが木に登るってことでいいですかね?」
私はモクロさんへ視線を向けて言う。
「わかった! フレアさんよろしくな! 助かるな!」
モクロさんはグッドポーズを出して返事を返してくれた。
「よーし、じゃあ私早速登ってくるね」
「き、気を付けてね、無理はしないでね! 絶対」
私は念を押して言うと、フレアは笑顔で返す。
「わかってるよ、じゃあ行ってくる!」
本当にわかってくれたんだろうか。
『小竜巻』
フレアは風魔法を自分の足に放つと、小さな竜巻が発生、それと同時にフレアの体が宙にゆっくりと浮いていった。
「え? なにこの魔法……、凄すぎるんだけど」
私はフレアの魔法に目が離せなくなった。これどれくらい高くあがれるんだろうか。
「えへへ、試したかったんだよね、風魔法が使えるってことは、空中も浮けるんじゃないかって」
確かに、風魔法が使えるなら空中に自分も浮けるんじゃないかって考えが浮かぶのは普通なのか。え? 普通なのかな。
「じゃあ、どこまでいけるか挑戦してみるね、今初めてやったからバランス取るの難しいんだけど!」
フレアが言う通り、一定の場所には留まれていない様子だった、結構揺れている。これ酔ったりしないのかな?
そんなことを考えている間に、フレアはどんどんと高くへ飛んで行っていた。もうすぐ見えなくなりそうだ。
「フレアちゃんってすごいよね、なんであんなに魔法上手いんだろう、この空間に来たばかりなのに」
ルディアが突然そういうものだから驚いた、驚いたけど、実際に私も同じ意見を持っている。なんであんなに最初っから魔法が使えるんだろうって。
「才能みたいな感じなのかな? でもたしかに短い間なのに凄い魔法使えてて凄いよね」
「もしかしたら何かこの空間のことしってたりしないかな? あのフレアさんって人」
私たちが話していたら、モクロさんが聞いていたようで、話に割って入ってきた。
その可能性も確かにあると思うけれど、決定的な証拠がないのでどうとも言えないのが事実である。
「ぎゃああ! エリーゼェ助けてぇええ!」
そんなことを話していたら、突然上からフレアの大声が降ってきた。
「え?! なに?!」
私が上を見上げると、なにかがものすごい勢いで落ちてくるのが見える、まあフレア以外ないんだけれど。
「助けてぇええ!」
私は両手を上げてフレアが落ちてくるのを待った、私の魔法属性は火と光、どっちも空中の人間を捕まえるには不向きすぎる魔法属性なので素手で行くしかない。
「きゃああ!?」
フレアが落ちてくるのを見ていると、フレアは風魔法を使って勢いを少し弱めることに成功した様子だった。これならなんとかなるかも。
ドンッっという大きな音と一緒にフレアが私の両腕に収まった。なんとか無事で良かった。
私はゆっくりとフレアを立たせる、空から落ちてきた衝撃が強くて手がとても痛い。
「よかった、何とか無事で、なにか発見はあった?」
私がフレアに聞くと、フレアは「うん、あったよ!」と頭を思いっきり振って答えた。
「なにがあったの!?」
「果実がいっぱい木に実ってたよ! 食べれそうだった! でもなんの果実かがわからなかったんだけどね、取ろうとした時にバランスを崩して落ちてきちゃったんだ」
そうだったんだ、でもこれは良い発見をしてくれた。私が手を怪我したとしてもまだ余裕で得が出るレベルで。
「フレア凄いよ! ありがとう!」
「頑張ったんだよー、もっと褒めて!」
「フレアちゃん凄いね!」
「フレアさん、ありがとうな!」
褒めラッシュがすごいんだけど。
少しでも「続きが気になる」「面白い」「更新頑張れ!」と思って頂きましたら、
【☆☆☆☆☆】をタップして、
【★★★★★】にしてくださると嬉しいです!
皆様からの応援が一番の執筆の力になります




