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<黒猫のジェム>

今年は色々と宇宙人ネタのニュースも多いようなので、私も宇宙人関連の小説でも書いてみようと思い立ち、書き始めました。平凡に生きる老人と黒猫の姿をした宇宙人の会話が中心の物語です。

内容はシビアな物もありますが、黒猫さんの語尾も手伝って、全体的にはホンワカした会話が進みます。

私はゴンベ。齢70歳、わずかな年金でひとり暮らしの老人である。


5月の爽やかな朝。今日も何時ものように6時半に目を覚まし、7時からパンで朝食を食べ、日課となっている、小さな庭への水やりのため玄関を出た。


玄関のドアを開けると、玄関ポーチの段差の下に黒猫さんが座ってこちらを見つめている。


「おや?今日はお出迎えとは珍しいね」


と思わず笑顔になって話しかけると、きちんと座ったまま黒猫さんは、「にゃあ」と可愛い声で一鳴きして答えてくれた。


この黒猫さんは、近所の飼い猫で、もうかなりの「おじいさん猫」らしい。

そのせいか、あまり活バツには動かないし、気が向けば近寄ってきて、体を撫でさせてくれる。

近所では唯一触れることを許してくれている、優しい猫さんなのであった。


黒猫さんが逃げる素振りも無いので、ゆっくりとポーチの段差を降りて、そのまま段差に腰を下ろし、手を猫さんの前にゆっくりと出す。

猫さんが手の匂いを嗅いで、気に入れば頭を擦り付けてくるので、それが「撫でても良い」と言う合図になる。それを確認してから体や頭をゆっくりと撫で始めるのが手順であった。


が、今日は伸ばした手には関心を示さずに、ジッとこちらを見つめている。


(あれ?今日は機嫌が悪いのかな?)


と思って、手を引っ込めた途端、頭の中に声が響いて来た。


『おまえに話があるニャン』


声はそう聞こえた。思わず俺は周囲を見回した。

だが誰も居ない。お隣さんやお向かいさんの2階の窓も確認したが、人の気配は感じられなかった。


『おい!こっちだニャン』


再び頭の中に声が響いてきた。

再びキョロキョロしたが、やはり辺りに人の気配は無い。と……足元に座っている黒猫さんに目が向いた。


『俺だよ。俺だニャン』


その語尾を聞いて、思わず小さく叫んでしまった。


「え?黒猫さんが喋ったの?」


『そうだニャン』


不覚にも、その語尾が可愛すぎて、思わず顔面が崩れてしまった。


『気持ち悪い顔をするニャ』


と黒猫さんに怒られてしまった。

少しの気まずい間を置いてから質問した。


「黒猫さんはテレパシーが使えるのかな?」


『人間的な表現では、そういう事になるニャン。我々は念話と呼んでいるニャン』


「念話か……ん?猫さんって念話が使えるのかい?」


『普通の猫は念話なんて使え無いニャン』


「そうだよね……って事は、黒猫さんは普通の猫さんでは無いと?」


するとジェムは、フンッと少し鼻を鳴らす仕草をしてから、偉そうに答えた。


『そうだニャン。話しかけた時点で分かるニャン』


「あはは。そりゃそうだね」


そう言うとゴンベは大げさに笑ってみせた。


『俺の名前はジェム。これからは俺の事はジェムと呼んで良いニャン』


何故か妙に胸をそらしながら黒猫さんは名乗った。


「俺の事はゴンベとでも呼んでくれ。まあ人間としての名前では無く、ハンドル名ってやつだけどな。仲間内ではゴンベと呼ばれているんでね」


『ゴンベ……だな。分かったニャン』


「ところで、その語尾は平常運転なのかい?」


『そうだニャン。と言うか、この姿で長く居たせいか、口癖になってしまったニャン』


「なるほどね。まあその語尾ならジェムだってすぐ分かるから、俺も助かるかもね」


『ならそうするニャン』

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