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鬯シ驕 髯ス霓《エラー》〜名のしらぬ主人公〜  作者: 変人
第1章名も無き人間と勇者
10/16

鉄の刻印、あるいは終わりの始まり

おはようございます!


やっぱり各キャラの口調はまだ自分でも確定していないということもあり不安定な感じがするなぁって思っております。

当分は1話限りのキャラを出して既存のキャラの口調修正って感じですかね


それではご覧下さい!

 広場に満ちる狂信的な歓喜と、勇者たちの上げる弱々しい呻き。その両極端な混沌を背に、彼はギルドの重厚な石造りの建物内へと足を踏み入れた。館内は、外の騒乱が嘘のように静まり返っているが、空気にはまだ、彼が放った魔法が残したイオンの臭いと、微かな焦げ跡の匂いが漂っている。


 受付カウンターでは、アリアがいつもと変わらぬ姿勢で、頬杖をついたまま手元の端末を眺めていた。だが、その瞳だけは、彼が入り込んできた瞬間に鋭く細められ、隠しようのない警戒の色を濃くした。彼女の背後にある魔力観測装置は、先ほどの七色の光の際、許容範囲を超えた過負荷によって内部の魔晶石が弾け、黒い煙を吐き出していた。


「……随分と派手にやったわね。広場の石畳、あれだけ深く削り取ったら、清掃代どころか修繕費の請求があんたにいかなきゃいいけど。ギルド始まって以来の不祥事よ。あんなデタラメな奇跡、見せつけられた方はたまったもんじゃないわ」


 アリアの声には、皮肉と、それを上回るほどの理解不能なものへの恐怖が混じっていた。


「試験は終わった。依頼を受けたい。登録の手続きを済ませろ」


 彼は、感情の起伏を一切感じさせない声でプレートを差し出した。

 アリアは、何も言わずに仮のプレートを受け取ると、処理台の奥へと差し込む。カチリ、カチリと、精巧な機械時計が時を刻むような規則正しい金属音が、静まり返った室内に響く。特殊な魔法インクがプレートの表面を冷徹に塗り替え、新たな文字を刻んでいく。


「はい、これで正式な登録。おめでとう、と言いたいところだけど……あんたにはそんな言葉、無意味ね。……新人の最初の仕事にしては骨が折れるかもしれないけど、あんたなら文句はないでしょ。むしろ、これくらいじゃないと退屈よね」


 カウンターに差し戻されたのは、鈍い黄金色の刻印が「仮」の上から力強く上書きされた、重厚な鉄のプレートだった。指で触れると、まだ刻印の熱が微かに残っており、その感触がこの世界の現実を物語っていた。それと同時に、一枚の古びた羊皮紙が置かれる。


「……丁度いい。これを受ければいいんだな」


「勝手にしな。あんたの行く先には、死体か、あるいは、あんたを神と勘違いした狂信者しか残らなそうだけどね。……それで、あの勇者様たちの面倒、本当に見る気があるの? 彼ら、もうあんたを怪物か、あるいは自分の人生を台無しにした悪魔としてしか見てないわよ」


 アリアの、諦めにも似た、しかしどこか核心を突いた言葉を背に受け、彼は再び外へと踏み出した。

 門をくぐる直前、彼は一度だけ広場の中心に目を向けた。そこには、未だに立ち上がれず、仲間たちに抱えられながら虚空を見つめる聖夜の姿があった。

 物語の主人公として振る舞おうとした者たちが、現実という名の冷徹な暴力に屈し、その精神に癒えない傷を負った瞬間。


 彼は興味を失ったように視線を外し、次の目的地へと向かって歩き始めた。砂を蹴る靴音は、等間隔に、どこまでも無機質に、この世界の静寂を切り裂き続けていた。彼にとって、これは物語の始まりなどではなく、ただの予定された業務の遂行に過ぎなかった。

いかがでしたか?


最近この作品を見ると黒歴史以上のダメージを食らってしまうぐらいの作品です

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