表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/108

第4話 私の壁ドンは108式まであるぞbyコラムダ

「え? そんなのゲームバランスが崩壊するからに決まってるじゃないですか」


 コラムダさん、バッサリである。まさか、姉神一号のほかに斬艦刀の使い手がいるとは思ってもいなかった。親分の称号を与えたい所である。

 ――モンスターの所へ向かう間、あんな恥ずかしい思いをしたのにもらえる報酬がちょいとしょぼいんじゃないかと、さっき笑われたことを根に持って皮肉を交えて聞いたらそんな返答が返ってきたのだった。


「いいですか、セイチ様。デスゲームに巻き込まれた主人公じゃあるまいし、そんなバンバンユニークスキルやアイテムが手に入ったら、ゲームバランスなんてあっという間に崩壊してしまいます。そんなことが許されるのは、ラノベの主人公だけです」

「で、ですよねー……」


 至極当然のことを言うコラムダさん。


「VRMMOに置いて、ゲームバランスが崩れる=世界の終わりなわけですよ。廃人プレイヤーが、その努力と時間と取り戻せないナニかを賭けて強キャラを作る分には構わないのですが、たった一人しかそのスキルを手に入れることができない……と言うのは、新規プレイヤーへの敷居を高くしてしまうのですよ」

「ご、ごもっともです……」


 あれ、何で俺が怒られてる感じになってるんだろう?


「私も俺TUEEEEEな小説は大好きです。好物と言ってもいいでしょう。でもそれは主人公に自己投影できるからであって、その世界の一住人、一プレイヤー、一脇役になったら、もう主人公への嫉妬の炎で世界を燃やしつくしてしまうかもしれません」

「そ、そのとおりであります……」


 いやいや、そもそもロボオンスタッフがロボオタの称号なんて作らなければ、こんなことには……


「セイチ様。想像です。どこぞの機関のメンバーのように想像してみてください。同級生がユニークスキルを手に入れた上に、アイドル的な女性を嫁にまでした場面を。自分なら許せる行為も、他人がした途端にそれは許されざる大罪となるのです。ちなみに私は壁ドンして、ここのシステムのファイヤーウォールに深刻なダメージを与えてしまいました」

「待て! ちょっと聞き捨てできないよ!?」


 壁ドンでファイヤーウォールに深刻なダメージって……ハッカー辺りが聞いたら大爆笑だろうが、開発スタッフからしたら涙目だろう。

 思い出したら反省したのか、コラムダさんは肩を落とした。


「ええ……そのことがあってから、高レベルAIなのに、チュートリアルクエストの一案内人におとされてしまったわけなのです……いつか下剋上をしてやります……うふふふふふふふ」


 訂正。こやつ、反省してないでござる。

 それにしても、そんな理由があったわけですか。このAI。ダメな方向に突き抜けている。好感は持てるが、GMにしてはいけない気がしてならないのは俺だけじゃないはずだ。


「――こほん。そんなわけで、セイチ様に与えられたアイテムやタレントは先に進めば誰もが手に入れることができるものになっています。確かにゲームバランスが崩れるほどではないでしょうが、便利なことには違いないでしょ?」

「まあ、実感できるプレイ時間じゃないですけど」


 と言うか、チュートリアルもクリアーしてませんし。


「あ、それとさっきジジイ――もとい、ロボオンスタッフから連絡が入ったのですが、出来ることならロボオタの称号のことは秘密にしてくれとのことです。運営側も、おふざけ半分で入れた称号がまさか初日の段階で4まで手に入れられるとは思っていなかったようですよ」


 よほどチュートリアルエリアの案内人にされたのが悔しいのか、ザマーミロと爽やかな笑顔のまま呟くコラムダさん。うん、恰好は中々エロいが、俺、もう何も感じない。人は外見じゃない、中身だ。と昔の偉い人は言ったものだけど、まさかAIにまで対応したお言葉だったとは。


「……そのわりに大地に立つとか、愛を叫ぶとかは初日に出てきそうな感じがしますけど」

「まあ、その二つは最も楽な条件でしたから。元ネタ知らなくても満たしそうな条件ですし。ちなみに、獲得条件は今の所200個ですから、二百人がロボオタ1の称号を手に入れるか、五十人がロボオタ4まで取るか……スタッフの間でトトカルチョが始まっているそうです」

「ろくでもないな!」

「ろくでもないんですよ、あの人たちは」


 そんな会話をしている間に、目的地に着いたらしい。まあ、俺からして見ればさっきと風景はあまり変わっているようには見えないんだけど。


「さて、ここまで歩いてもらったのはモンスターと戦う前にスキルの説明をするためなのです。メニュー画面でスキルの欄をご覧ください」


 言われるままに、ボイスコマンドを口にし、スキルの欄を見る。そこには、


「歩行lv1……?」

「はい、基本スキルその一ですね。歩くことによって鍛えられていく、仮想世界で引き籠りにならなければ自然と上がって行くスキルです。鍛えると、HPヒットポイントMPマジックポイントSTスタミナが上がるだけではなく、様々なタレントの習得条件になっているかも? なので、生産者と言えどたまに歩きましょう! これは戦闘系にも生産系にも含まれないスキルなのでレベル差は生まれにくいですよ」

「ふむ……」


 その言葉だけでも色々わかったことがある。歩行……歩くだけで手に入るスキルがあるってことは本当に多種多様にスキルはありそうだということ。

 二つ目はステータスとして、HP、MP、STの三つがあると言うこと。

 

 三つ目はパイロット系――戦闘系と生産系では無い第三のスキル達があると言うこと。  

 そして……問題点が一つ。今も俺は、メニューを指先でいじってある項目を探しているのだが……


「あのぉ……コラムダさん」

「はい?」

「『ステータス』の欄が無いんですけど?」


 そう、俺はもっとも基本的なHPの数値すら見つけられずにいたのだった……



 コラムダさんがはじけすぎてモンスターと戦うところまでいけなかったでござる……


 誤字脱字修正しました。指摘してくださった方ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ