2-7.ラスボス「アーチャーフィッシュ」
この作品は、タイトルに執筆裏話とあるように、全37話で完結しているアクション小説「ゲームに侵食された世界で、今日も俺は空を飛ぶ」の設定集になります。本編を読まれていない方は、先ずはそちらへ。単行本一冊程度なのでサクサク読めると思います。
【アーチャーフィッシュ】
形状:背鰭、腹鰭部分に砲塔を搭載し、体高のある機械魚
大きさ:高さはバスの2倍程度、長さは連結バス程度で、平べったい印象
武器:背鰭に3門、腹鰭に3門のビーム砲、鰭部分はホーミングショット発射機。
更に船体全体を上下に分割し、船体全体を砲身とした極太ビーム砲がある。
移動速度:浮遊というくらい遅い。
備考:要塞からエネルギー供給がある状態ではバリアを常時展開している。
また、船体全体を用いた極太ビーム砲による超長射程の薙ぎ払い掃射を行える。
首都決戦の最後に登場したラスボスであり、空が割れて出現する独自の演出が入る。ビーム砲は弾幕系エネルギー弾の中では威力、射程、速度のいずれも勝っており、対空迎撃用にクレイフィッシュのような散弾撃ちを行うこともできる。左右の鰓部分には対空ホーミングショット発射機が装備されており、左右それぞれ8発を連射できる。戦乙女と同じ撃ちっぱなし能力があり、速度、誘導性能こそ若干劣るものの、威力は数倍、射程のいずれも戦乙女のソレに勝っていた。
戦乙女ですら、最遠距離で、AIに自動迎撃させつつ、地上の建物を盾にしないと避けきれないほどであり、戦乙女と僚機3人による情報戦能力では、ロックオンを解除することもできなかった。
参謀本部が要塞砲と称したように、浮遊したまま、長射程を活かして、届く相手に強烈な砲撃を叩き込んでくる様は、圧倒的であった。また、戦乙女達が放つシングルショットや対空ホーミングショットは船体に当たったとしても、殆どダメージを与えられないほど装甲も強固だった。
ただし、本編でも散々撃ちまくってたように、要塞からのエネルギー供給を受け、常時、バリアを展開しつつ、超強力な船体ビーム砲をぶっ放して戦略目標を確実に潰していく、というのが基本的な戦闘スタイルだ。戦略目標の砲撃こそが第一であり、周囲を飛び回る戦士達も、攻撃されたら反撃する、といったように、その戦闘ロジックは独特のモノがあった。戦乙女や、ずる賢い者はその様子を傲慢と捉えていたが、まぁ、それが許されるだけの圧倒的な強さを誇っていたのも事実だろう。
要塞からのエネルギー供給が途切れれば、バリアが消失し、船体ビーム砲も撃てなくなる。しかし、それで、アーチャーフィッシュが簡単に倒せるかと言えば、勿論、そんな甘い話はない。それまでの静観モードから一変して、全兵装を使って射程内の敵を掃討し始めるからだ。
ただ、砲撃、誘導エネルギー弾は確かに強いが、アーチャーフィッシュの強みは、敵戦力の脅威度を的確に判断する解析能力の高さにある。装甲で受けるのを避けたほうがいい爆弾、砲弾、エネルギー弾に対して、脅威の高い方から適切に迎撃していく様はイージスシステムのようであり、実際、迎撃の手数を超える飽和攻撃によってのみ、砲塔破壊という目に見える成果を出せたのだった。
ボスとしての十分な火力と防御力を備えつつ、船体ビーム砲まで保有するだけあって、その移動力は飛行というより浮遊といったくらいに遅く、回避行動を行えるだけの機敏さもない。だが、空に浮かぶアーチャーフィッシュは、地上からは遠く、♰預言戦士♰ですら、距離が遠くて有効打が叩き込めない、と言うほどだった。
本編にあったように、外部装甲は十分に強く、一門の砲を破壊するのにすら、合計32発の対地ホーミングショットを叩き込む必要があった。しかし、そんなアーチャーフィッシュも、流石に内部にボムを合計12発も放り込まれて、船体が閉じたタイミングで同時に起爆されては耐えきれず、敗北することとなった。
地に墜ちるまでの間、全兵装を用いて戦乙女達と刺し違えようとするなど、ボスとしての矜持も感じさせる最後だった。
<作者コメント>
本作を飾るラスボスとして、今ではしっくりくるアーチャーフィッシュだが、現状の姿に決まるまではかなりの紆余曲折があった。巨大にするとか、子機を沢山飛ばすとか、複数出てくるとかとか。
いずれにしても火力と防御が強く、射程の長さで圧倒してくる強さは定番だろうと考えたが、市ヶ谷の塔要塞と同じように、バリア持ちにしたらどうか、という案を閃いたことで、その後はサクサク設定を決めることができた。
沢山の要塞があって、それらがある程度減った時点で登場するくらいだから、エネルギーは要塞から供給されることにしようとか、そうして外部からエネルギーを貰えるなら、シューティング系ボス定番の極太ビームも付けようとか、そこまで圧倒的なら、悠然と浮いていて、淡々と戦略目標(=作中では河川橋)を破壊していくと、何かの意思のようなものが感じられそうだとか。
結果として、たった一人で時計の針を逆転させようと奮闘する、といった印象深いキャラへと育ってくれた。勿論、常時展開のバリアがあるので、飛び回る蠅など気にしないという傲慢さ付き。他のエリアボスとは一線を画するラスボスとなってくれた。空飛ぶ要塞砲、というフレーズも在り方を簡潔に表現できたと思う。
……実は、ラストの欺瞞を思いついたのも連載のラストギリギリだった。ラスボスだし、撃破時には大爆発の演出が入る、そこまでは思いついたものの、もう一捻り欲しかった。そこでふと見ると、戦乙女が身代わりを三機抱えたままであることに気付き、戦乙女の僚機も3機。……戦乙女は合計6機だし、遠景から見れば、シルエットは同じ……閃いた!ってな流れで、思いつくことができた。本編だけ読んでると、計算尽くのような印象を受けるかもしれないが、実際なこんなノリだった。まぁ、綺麗に纏めることができてほんと、良かった。
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2022年10月6日(木)までは毎日7:05に投稿していきます。
第二章は全8パート、夢幻戦闘領域に出現する敵の紹介です。




