2-4.エリアボス「フライングオクトパス」
この作品は、タイトルに執筆裏話とあるように、全37話で完結しているアクション小説「ゲームに侵食された世界で、今日も俺は空を飛ぶ」の設定集になります。本編を読まれていない方は、先ずはそちらへ。単行本一冊程度なのでサクサク読めると思います。
【フライングオクトパス】
形状:八本の触腕を持つ巨大な機械蛸。
大きさ:胴体部、触腕部それぞれがバス程度の長さ。全体では連結バス並み。
武器:八本の触腕による直接打撃、各触腕先端のビーム砲からの砲撃。
移動速度:漏斗から大気を噴出して急加速した際の直線移動は戦乙女より速い。ただし、フライングマンタと違い、本物の蛸と同じで、高速移動は緊急回避的な意味合いが強い。
備考:母艦級と称される通り、子機を放出する能力を持つ。
熱光学迷彩機能があり完全に姿を消せる。
音以外の認識を阻害する煙幕を噴出して視界を封じることができる。
初登場時、一般敵の配置ゼロでスタート、敵はフライングオクトパス一機のみでありながら、難度が難しいになったことからわかるように、かなり手強い母艦級と呼ばれるエリアボスだ。
これまでのエリアボスと違い、子機としてファンファンを放出する能力があるため、母艦級と称される。しかし、それなら子機を多数展開して指揮する空母的な敵かと言えば、さにあらず。
至近距離では八本の触腕による直接打撃、近距離から中距離では触腕先端の合計八門の砲台による弾幕射撃、遠距離では遠距離狙撃モードという八本脚を束ねた独特の構えから貫通力抜群の精密射撃を行ってくるという充実した戦闘能力っぷりであり、弾幕射撃時には、子機放出を同時に行う場合もある。
戦況が悪いと判断すると、①漏斗から大気を強烈に噴出した急加速による脱出、②漏斗から煙幕を猛烈に噴き出して視界封鎖、③熱光学迷彩機能を展開して大気に溶け込んで消える、という3パターンの行動によって、仕切り直しを行うこともできるのだ。
戦乙女が産卵モードと呼んでいた、子機放出専念行動では、合計12機のファンファンを一度に放出するので、目を離すといつのまにか、戦域がファンファンに埋め尽くされているなんてことにもなりかねなかったりする。
他のボスと同様、胴体も触腕も装甲に覆われており、半端な攻撃はまるで効果がない。触腕の根本に最大充填のチャージショットを叩き込んで、更に全体をボムで焼いて、やっと触腕を損失させられるといったところである。唯一の弱点は、子機放出を行う触腕の付け根、蛸の口に当たる部分の発進口であり、ここならば、戦乙女のシングルショットでもダメージが入る。
戦域全体に及ぶ索敵能力と熱光学迷彩を併用し、ご当地戦士が反撃できない遠距離から、熱光学迷彩解除と共に遠距離狙撃を行ってくるというコンボ技は、索敵能力を強化してなければ、気が付けば撃ち抜かれて撃墜されている、という末路へ一直線だ。
また、遠く離れた場所で、せっせと子機を放出してくるので、奴らが広がる前に殲滅できる移動力も欠かせない。
八門の砲塔から撃たれる弾幕も、受けに回ったらあっという間に火達磨なので、避けきるだけの機動力を持てれば最高だ。
……とまぁ、戦乙女だから単機でも戦えていたが、普通は複数の戦士を集って挑むべき強敵である。あなたが中堅級の戦士であったとしても、悪い事は言わない、せめて3~4人くらいは同クラスの戦士を集って戦おう。
<難度による違い>
難しいでは単機で襲ってきたが、希望なしでは、三機で、ある程度の連携を執りながら襲ってくるという「殺しにきてる」レベルに変わっていた。熱光学迷彩からの遠距離狙撃を三機から同時に撃たれて、どうにかなるのは戦乙女くらいなもので、そんな彼女であっても、距離によっては避けようがない、という事態に陥ることも十分あり得た。
どれかと射撃戦を行っている最中に、追加の一機から長距離狙撃を食らいそうになって、撤退を選択せざるを得なくなるなど、機数が増えると手強さは跳ね上がることになったが、そこで撤退を選択してなければ、更に一機追加で逃げ場を失っていたかもしれない。見えない敵というのは厄介だ。
更に首都決戦においては、ジェリーフィッシュ達による23区全域に対する情報欺瞞が行われており、探索距離にも大きな制約が入ることになった。戦乙女も僚機を3機呼んで、情報連携して探索能力を拡大してなければ、長距離狙撃で落とされる可能性は十分あった。
<作者コメント>
子機を放出する母艦級の敵が出したいなぁ、とあれこれ考えていて、始めは後方に控えている空母みたいなのを考えてみたものの、ファンファンの分厚い層に阻まれてなかなか接近できない、みたいな戦い方は、バリエーションが少なく発展性が薄いのでボツに。
それで、あーだこーだと考えているうちに、蛸なら多芸だから良さそう、と何故か閃いた。で、色々と盛っていくうちに今の形に。多芸だけど蛸っぽい技、行動としたので、良い感じに纏まってくれた。
隠蔽状態からの長距離狙撃、という行動パターンで、それまでのエリアボス「クレイフィッシュ」や「フライングマンタ」とはまるで違う敵、という印象も強く打ち出せたと思う。
また、首都決戦では、敵側の作戦の中核を担う役処となり、シナリオの展開にずっと緊張感を保つ役割を十全に担ってくれた。かなり化けてくれたエリアボスだった。
2022年10月6日(木)までは毎日7:05に投稿していきます。
第二章は全8パート、夢幻戦闘領域に出現する敵の紹介です。




