1-11.「森で隠遁する者(ヴィーザル)」「ずる賢い者(ロキ)」「生き延びる射手(ヘーニル)」「一般的なFPS系戦士」の紹介
この作品は、タイトルに執筆裏話とあるように、全37話で完結しているアクション小説「ゲームに侵食された世界で、今日も俺は空を飛ぶ」の設定集になります。本編を読まれていない方は、先ずはそちらへ。単行本一冊程度なのでサクサク読めると思います。
【森で隠遁する者】
兵科:バトルメイジ
分類:魔法使い系ご当地戦士
ランク:伝説級
レーティング:R-18
備考:現代風の軍服を着た偉丈夫。
比較の為、森で隠遁する者の通常時と、大技「フェンリル殺し」発動時のレーダーチャートを並べてみた。
基本能力は、同じバトルメイジの勇敢な心の上位互換といったイメージで、彼女よりも、移動+1、索敵&AI&情報+2と強化されている。彼女と同様、空中を蹴って移動方向を変えるといった機動戦闘もできるが、本編で見せたように壁面の僅かな突起を利用して駆け上がるといったように、地形を利用した移動、戦闘を好む。
戦い方もまるで違い、情報戦とAIの能力で己が姿を隠蔽しつつ、索敵の広さで相手の動きを見切って、気付かれずに近付いて一撃で仕留める、といったスタイルが基本だ。
蹴りの大技の「フェンリル殺し」は、戦乙女も推測していた通り、蹴りということもあって射程は短いものの、極大火力を誇り、更に相手の防御エネルギーを貫通する特性がある。一撃でファンファン生成ユニットを撃破できたのは、この特性のおかげである。
一応、豊富な戦歴を期待されて、渋谷の駅要塞攻略チームを纏めることとなったが、彼の戦闘スタイルは基本、ソロであり、集団戦の指揮に慣れておらず、渋谷が苦戦していたのは、それも理由の一つではあった。
あと、本編でも触れられていたように、相手を倒せれば、装いは合理的=近代的であるべきだ、という信念を持っており、知を欲す者とは異なる宗派だったりする。二人とも大人なので、相手と自分は違うと理解して、そこは触れないようにはしているのだが。ただ、機会があれば、知を欲す者は英雄は英雄らしく振る舞うべきと語るし、森で隠遁する者は姿を晒さず屠れるなら最上、とやはり信念を語るので、揃えると頭の痛い二人ではある。
<作者コメント>
バトルメイジ系の最上位キャラを出したいと思い、北欧神話を読んで、良さげと決めたのが彼だった。あまり活躍シーンを描けなかったけれど、残り二人よりはまだ出番があった。
【ずる賢い者】
兵科:バトルメイジ
分類:魔法使い系ご当地戦士
ランク:伝説級
レーティング:R-18
備考:お洒落な帽子にスーツ姿の美丈夫。
彼は分類としてはバトルメイジであり、情報戦、AI、索敵を伸ばしているのが特徴だ。能力だけを見ると、夜の風のような指揮官タイプや、知を欲す者のような情報戦型にも見えるが、彼の在り方は、支援特化型と言うのが妥当だろう。探索能力で戦場を把握し、情報戦&AI能力で味方を支援し、敵を騙して、といったように、味方強化、敵弱体化の魔術を操るのだ。自分が手を下すのは、他の手段がない時、仕方なくといった具合である。
情報戦技能を活かして、外見を敵に偽装し、相手の認識能力を誤動作させて、敵防衛ラインを素通りする、といった真似も行える。彼は前線、それも混戦においてこそ輝く戦士なのだ。
<作者コメント>
首都決戦において、大手町と東京からの敵戦力の挟撃に晒された際に、両者の間に楔を打ち込んで戦線を維持する立役者となったのが彼である。ただ、本編ではそういったところで活躍したシーンが描写されず残念。まぁ東京側の纏め役である生き延びる射手が狙撃手タイプであることから、乱戦を制したのが、ずる賢い者のおかげだとギリ読み取れると思う。もうちょっと活躍させてあげたかったけど、首都決戦の流れに、更にずる賢い者を掘り下げるシーンを入れるのは冗長と考えてばっさりカットとなった。
【生き延びる射手】
兵科:バトルメイジ
分類:魔法使い系ご当地戦士
ランク:伝説級
レーティング:R-18
備考:外見はFPS系戦士にしか見えない。
外見は、狙撃手としてのフル装備に身を固めたFPS系戦士といったところだが、実は彼はバトルメイジだ。ただし、勇敢な心のような白兵戦系ではなく、銃弾に魔術を込めて放つ、魔弾の射手という奴だ。彼の使う銃は、FPS勢が使うモノと同じなのだが、魔弾の名の通り、若干の誘導性能と、貫通/爆破効果を付与できたりする。その為、東京駅の広大な通路を活かした狙撃戦では、彼の魔弾はその威力を大いに発揮することになった。
魔弾の射手ならドイツだろとか、ヘーニルが美男子でもフェイスペイントで顔がよくわからないとか、色々と突っ込まれるところだらけで、ヘーニル神も射手と呼ばれるのに、それに相応しい逸話がないとか、名前と実体が合ってない、などと言われる事も多い。ただ、彼は、強い逸話もないのに、神々の黄昏を生き延びたヘーニル神の在り方を面白いと感じており、ヘーニル神の優柔不断さなど、数少ない逸話もまた良しと思ってる、中の人はそんななのだ。
色々と性格的に実は、アレなところもある方なのだが、まぁ狙撃兵というのは得てしてそんな者とも言えるだろう。彼もまた戦乙女と同様、ソロプレイが基本で、遠距離戦に徹するせいで市民との接点も少なく、謎多き戦士である。
<作者コメント>
東京駅担当はやはり広さと、防衛戦に徹する必要から、狙撃手タイプのキャラを出すこととした。ただ撃つだけならFPS系戦士と変わらないので、不思議な魔弾を撃つとすれば、FPS系戦士と並んでも、異彩を放つだろうと。彼が撃つと銃弾がするりと陣地の隙間を抜けて敵を撃ち抜いたり、明らかに死角なところにも弾道が曲がって当たるなど、大活躍することとなった。ただ、首都決戦の流れ的に、あまり彼にスポットを当てても、勢いが削がれるだけと判断して、彼の活躍シーンはばっさりカットした。
【一般的なFPS系戦士】
兵科:歩兵
分類:FPS系戦士
ランク:まちまち
レーティング:R-18
備考:外見は一般的なフル装備の現代兵士。
新宿に増援できていた中堅のFPS系戦士と、ファンファン狩りなどに参加していた初心者のチャートを並べてみた。
見ての通り、基本的な能力自体はさほど変わらず、中堅ほど、情報戦、AI、索敵の能力を伸ばしているところが見て取れる。彼らが装甲服を着ている戦士に比べて劣る存在なら、FPS系戦士は全員、装甲服を着ることになってるだろうが、実際には、装甲服を着ている戦士の方が少数派だ。
何故なら、人間社会は人間の大きさ、重さに合わせて作られており、装甲服系戦士では入れない、通れない、歩くと床が抜けるなど、意外と不自由する状況が多いからだ。確かに装甲服系戦士は、彼らが十全に力を発揮できる戦場においては無類の力を発揮する。そんなところに普通のFPS系戦士が並んでも見劣りしてしまうのは確かだ。しかし、彼らは自動車で言えば、重量級トレーラーのようなものであって、使用できる道路も橋も限定されてしまい、直通できず遠回りする、といったことにもなりがちだ。見晴らしがよい、重量系でも余裕で通れる、というのは数で押してくる敵からすれば、大軍投入に打ってつけでもあり、派手な戦いは多いが、周辺被害も甚大なものになりやすい欠点もあるのだ。
そして、FPS系戦士も、新宿では高層ビルの屋上から、ファンファンを平然と対物ライフルで撃ち落としていたが、軽快に空を飛ぶ飛行物体に対して銃撃を当てる、というのは、現実では小隊単位で進行方向に向けて全員がフルオート射撃による弾幕を張って、そこに敵が突入して被弾するのをお祈りするしかないことを思い出して欲しい。連射もできない、馬鹿みたいに反動がでかい対物ライフルで、ファンファンのようにそれなりの速度で軽快に動く敵に対して、中枢部分にきっちり当ててくる、というのは人間技ではないのだ。一応、2022年時点だと、歩兵の銃でドローンを撃ち落とせるようにするキットの開発が進んでいるが、それは光学観測から未来位置を予測してそこに向けて照準マーカーを出す、といった火器管制装置のような照準器を付ける、というものだ。FPS系戦士はソレを自前でやってる訳である。
このように、FPS系戦士の真骨頂は、人と同じように人の住む街を移動できて、中堅ともなれば、どこかの一人軍隊な狙撃手のような精度でばんばん当ててくるところにある。そんな戦士が再装填動作はあるにせよ、弾切れの心配なく撃ちまくれるのだから、そりゃーもう強い訳である。
しかも、着てるボディアーマーも現代兵士のモノより高性能かつ、それを抜けても防御エネルギーでダメージを相殺してくる訳だ。それと彼らの着ている軍服だが、軍人っぽく都市迷彩柄であり、しかもその迷彩は動的変更機能があり、赤外線放射を抑える機能も持っている。つまり熱光学迷彩機能付きなのだ。勿論、フライングオクトパスのようなソレほど徹底したものではないが。
という訳で、これくらい強くないと、そもそも敵だって弾切れなしのチートモードで撃ってくる夢幻戦闘領域の戦いにおいて、数的劣勢を質で覆すなんて真似はできないのだった。彼らが撃ち合っている場には自衛隊の装甲車両群も突入を躊躇したように、必中弾が弾幕のような密度で飛び交う激戦を制することができる彼らは間違いなく戦死した勇者なのだ。
<作者コメント>
本当は強い彼らなんだけど、永田町大戦では流れ弾に当たらないように戦乙女達は高度を上げていたし、地下通路でのボス戦は見えなかったこともあって、いまいち、その強さが見えにくかったのは、ちょっと残念ではあった。まぁ、戦乙女、運命のどちらも、地上戦なんて怖くてやってられない、と語ってはいるので、それなりの強さはあるんだろうなぁ、と想像できる最低ラインはクリアしたかと思う。
2022年10月5日(水)までは毎日7:05に投稿していきます。
第二章は全7パート、夢幻戦闘領域に出現する敵の紹介です。




