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五、正義の戦い、聖戦
戦争をしている。
国同士の小さないざこざが高じて、一般人をも巻き込む事態に発展してしまった。
軍事学校に強制的に入れられ、「私たちには国のため、正義を掲げて戦うのだ」みたいな思想を植え付けられる。
正義。自分たちが正しくて、相手は必ず悪。
自分たちが勝てばいい。
これは今後の国の歴史に大きな爪痕を残すであろう、「正義の戦い」なのだから。
敵につかまるくらいなら死んでしまえ。
最後に華々しく散ることが出来たら故郷の奴らに伝えてやるからよ。
自爆せよ。
敵艦隊を撲滅せんとす。
なんなんだ、本当に。
あっちの国では、きっと「自分たちが正義であいつらが悪なんだ」「あいつらはクズだから、絶対に勝つ」みたいなことを言っているんだろう。
どちらも正義で、
どちらも悪。
両者にとって、これは「戦争」ではなく「聖戦」なんだ。
勝者のみが正義の名を語ることが出来る。
どちらも正しくて、
どちらも間違い。
だから神は手出しをしない。
愚かな人間が何度も何度も同じ過ちを繰り返すのを、ただ冷静に見つめるだけ。
どちらも正義で、
どちらも悪。
これは「聖戦」なのだから。