表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/63

帰宅



 とぼとぼと帰ってきたイゼアに、落ち込んだ数名のメイドたちが誤りに来た。事の次第を聞いたイゼアは、すぐさま両親の元へ行き、二人の事情を聞いた。


「まぁ、説教はすんだから、落ち込ませることは言うなよ」

「…父上が、ミコトのことを叱ったんですか?」

 顔には出さないが、声にも驚きが込められている。

 ミコトに甘い父が、ミコトを叱れるだなんて……という気持ちでいっぱいのイゼアに、ユキハが穏やかに言う。


「叱ったんじゃなくて、お説教よ。子供は突拍子の無いことをするなんて当たり前ですよってエイダに言われちゃったわ」

 ミコトは子供時から落ち着いていたから、初めての体験ねところころと笑う母に、イゼアは軽く脱力した。

 落ち着いていたのではなく、何もしなかったのが正しい。


「ナギといるようになってから、行動することが増えましたからね……。まぁ問題を起こすぐらい元気なら大丈夫でしょう」

 体に害があることはあれですけどね、とイゼアが言うと、カルマが「マッチャ」とは何かと聞いてきた。


「抹茶ですか?」

「あぁ。なんだ、それ?」


 何と言ったらよいのか、イゼアは頭を悩ます。

 というかなんで抹茶。どこからそんな言葉が飛びだしたのか。俺、いつのまにかポロリとこぼしていただろうか。

 生前、桐谷伊吹のとき、抹茶が大好物だった。暑がりな自分は、夏に抹茶アイスを欠かすことなく食べたものだと思い出す。

 それがなぜ太らないのかと結月と喧嘩したり…。ああ、抹茶アイス恋しい。抹茶ケーキに抹茶シフォンケーキ、抹茶クッキーに抹茶の蒸しパン。抹茶抹茶抹茶抹茶抹茶抹茶抹茶抹茶抹茶抹茶抹茶抹茶……。

 抹茶のゲシュタルト崩壊を起こしていると、父上の冷たい声がかかり、はっとした。


 しかし、困った。抹茶とは何か。碾茶てんちゃを粉末にしたもので、緑茶の一種である。中国の唐から宋の時代に発展し、日本には平安時代あたりに伝えられたらしいが、抹茶が伝わったのは鎌倉時代とされる。臨済宗の開祖栄西の「喫茶養生記」に抹茶の製法が記されている。

 抹茶はカフェインやビタミンAやビタミンC、ビタミンE、カテキンや食物繊維、老化や癌予防結構促進ホルモン分泌や肌荒れ、風邪予防、視力維持など、上げてしまえばきりがない。抹茶一つ食べるだけで、これほどの効果をもたらします!さぁ、あなたも抹茶健康生活を始めてみませんか!


 どこの嘘臭いTVショッピングだというようなナレーションが頭の中で流れながら、父上に端的に説明する。


「抹茶とは、確か…リラックス効果があり、身体の健康を助ける成分がたくさん詰まった粉末状のもので、料理に混ぜて使われるそうです」

 いかにもどこかの本で読みましたオーラを出しながら気づく。

 前にミコトの「共感覚」について父上にいった時、どこの本だと追及されたことを思い出した。

 俺の馬鹿!

 はたから見たら、顔色一つ変わっていないが、内心ハラハラしながら両親の反応を待つ。


「まぁ、そんなに体にいいのね。食べてみたいわ」

「…そうだな。イゼア、作り方知っているのか?」


 父上の一瞬の間が、俺の心臓を加速させる。心拍数七十回から百十回になるわ。まるで恋人が隣に来ると、初な純ボーイが心拍数上がるなみに上がるわ。


 作り方は、あんまり知らないなぁ。

 飽食の時代と言っていい日本は既製品があふれていた。

 チューブに入っているワサビは見たことがあっても、生のワサビを知らない、という体験がある人はいないだろうか。

 いや、俺はあるけど、からしや生姜を生で見たことはないかったなぁと思い出す。


「いえ、そこまでは…」


「そうか」

 ふむ、と目を伏せて考え始めた父上に、さりげなく嫌な予感がする。


「…ミコトとナギの様子を見てきます」

「えぇ」


 巻き込まれる前に、去るべし!

 俺はすばやく部屋から逃走した。





短めですね。

ミコトとナギの関係を安定させたら、第三章に行きたい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ