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三途の川  作者: 活呑


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10/11

三途の川の源さん


河原に源さんが帰ってきた。


「やぁ源さん、久しぶりだけど、どこ行ってたんだい?」

源さんは少し微妙な表情をしたが、

石積みの手を止めた。

「ちょっと現世にね、転生してたのよ」


驚いた。模範生だったからか。

石積みをしていても、再び生きる道があるというのだ。


「驚きだろう? でもな、結局はまた戻ってきちまった」

「なんでまた…」

「親不孝っていうのは、石積みした程度じゃ治らねぇのかね。」

そういって、また石積みを始めた。積み方は以前より丁寧に見えた。

背中が、煤けて見える。


俺は自分の石を積んでいた。

源さんよりも丁寧に、源さんよりも遥かに高く。

この河原一体で、自分に勝る石積みはいない。

それでも、急に石積みが苦しくなった。虚しくなった。


俺は赤鬼に会いに行った。


「源さんだぁ?」

赤鬼はタバコの煙を吹きつけながら言った。

「ええ、それで急に石積みが苦しくなって…」


「お前が苦しむのは良いんだわ。でもな、お前、自分の名前言えるか?」


………名前が浮かんでこない。


「え? あれ?」


「この世に名前のあるやつなんていねぇ。

 お前が源さんだと思ったそいつは、誰だ?」


誰だ?誰なんだ?

俺は急いで石積み場へ戻った。


「源さん!」


源さんは不思議そうな顔でこちらを見た。

相変わらず丁寧だが、全く高くならない石。


「あんた、誰だ?」


「おめぇこそ、誰だ? 俺は源さんなんかじゃないよ」


「う、、うわぁぁぁ」

俺は源さんにドロップキックを放った。


しかしそれは赤鬼によって阻まれた。


「それは相手が違うだろうがよ」

赤鬼は俺の積んだ石に向けて棍棒をフルスイングする。


ガラガラガラ…


俺の積んだ石は、根本からボロボロに崩れ去った。


「お前、明日またこい。違う場所に連れてってやるよ」


赤鬼は去った。


源さんは虚な目をして、石積みに戻った。


おれは…おれは…




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