第二十九話「最初の双子」
いつもの緑の壁の部屋で、実夏とお喋りをする。そうして、たまにアリモが美味しいものを持ってきて、アリモとも話をする。たまに窓を覗くと、小学生達が外でケイドロや鬼ごっこで遊んでいる。とても和やかだった。
そこへ、いつも通りアリモが部屋にやってきた。
「あっ、渋いねー! 今日は干し芋だってー」
実夏はいち早くアリモへ寄り、今日のおやつへのコメントをした。
「そうですね。龍さんの好物ですよ」
「昨日はエイちゃんの好物だったよねー」
「さつま芋チップスですね」
「その前は晝眞のだったよねー」
「とろけるチョコと牛乳でしたね」
アリモは、一人一人の好物をしっかりと把握していた。
「す、すごい! そういえばアリモって、どれくらい働いているんですか?」
「そりゃあもう、最初の双子の時から……」
「えっ、誰?」
そう聞くと、アリモは残念そうな顔をしながら、
「……ここにはいませんよ」
と言った。
「いたんですけど、ある日突然消えちゃったんですよね。行方不明のままで……」
「あ、そうか、双子は消されちゃうから……」
「じゃやばいよね?」
「えっ」
「あたしらの双子、放っといたら消されちゃうじゃん」
「うん……」
「じゃ助けないとダメだよね?」
「うん……」
そして実夏は小声で私に囁いた。
「それに、一目惚れしたんでしょ?」
その一言は、グサッと来た。学校の角でぶつかって、その綺麗な瞳の竹秋に恋をした。でも、本当に竹秋が私の兄弟だったなら……。どちらにしろ、私は竹秋を失いたくないと思った。




