昔の記憶
あれは、いつだったか。たしか1度目の人生を終えた日だった・・・
『死んで直ぐに悪いけど・・・頼みを聞いてもらってもいいかな?』
目を閉じ暗闇に身を委ね様と思った矢先に
軽いノリで誰かの声が聞こえた
『ちょっと聞いてる?』
最初は自分に話しかけられているなどと思ってはいなかったのだが
何度も声が聞こえてきた
『おーーーーーい』
「なんだうっせぇえな、今大事なとこなんだよ!!
俺の短い人生が終わり、さぁこれから天国で安らかにって思ってる
雰囲気が台無しだろ!!」
『えっと・・・ごめん・・・』
「謝る位なら最初から話しかけんじゃねぇよ、全く・・・
それより、何だよここ死んでしまったらみんなこんなとこに連れてこられるのか」
『えっと、その事なんだけどいいかな?』
「ん?」
『それでは、あらためまして、頼みを聞いてもらってもいいですか?』
「どういう事だ?」
『実は僕はなにを隠そう、神様なんです!』
「へー、今のは3へーだな」
『もっと驚いてくれないかな?
《えー神様なんですか!キャー、ファンなんです。サイン下さい。》とか、
《本当に神様?嘘だーこんな少年ぽいのが?もっとお爺さんぽいの想像してた。》とか』
「いやー、十分驚いてるんですけどね・・・てか、死んだと思った、
直ぐ後にこんなとこ連れてこられた時点で普通では無いなと思って」
『まぁいいでしょう。それよりも大事な頼みがあるんですが・・・』
そういうと自称神様は話し始めた
1、現在俺は死んで直ぐに魂を輪廻転生のベルトコンベアーに流される
筈だったのだが、この自称神様によって摘み上げられココに連れてこられた
2、なぜ、俺なのかと言うと、どうやら魂のランクみたいな物があり
頼みたい事を実行する為にはそこそこのランクの魂で無いと話にならなかった
3、その頼みと言うのは自称神様が創った世界についての事であった
その世界では、思いがけない事が起こり、手を焼いている
4、自称神様は自分では直接手が出せない、出したくないので
間接的な方法で、つまり俺みたいな魂を送り込みなんとかしようと言う考え
5、その世界はいわゆるファンダジーな世界で、魔法などの
非科学的な要素が満載である
6、頼みを聞くと特典が貰えたり、ポイントを貯める事ができる
これについてはよく分からん・・・
簡単にまとめるとこのような事だ
「それでどういった事するの?」
『実は僕が作った、世界でいわゆる魔王が誕生しちゃって・・・
何度か、君みたいな魂をそこへ送り込んで魔王討伐して貰おうと思ってたんだけど
返り討ちにあっちゃたんだよねぇ~』
「それで今度は俺に白羽の矢が立ってって事?」
『はい、正解。理解が早くて助かるなぁ
前に向こうに送った子なんて、説得するのに時間掛かったちゃってさぁ
色々な能力あげたのに、魔王と戦う前にやられちゃうし・・・
それじゃあ早速、僕の作った世界へご招待します~』
「いやいや、理解はしたけど行くとは言ってないし・・・」
『ええっ!行ってくれないと困っちゃうな・・・
無理やり、輪廻から引っ張って来たから元には戻せないしさ
断った所で、延々とココでさまよう事になるだけなんだけど・・・』
あれ?なんかの聞き間違えか?俺に選択肢無いんだけど!!
酷すぎないそれ?
「なにそれ?超怖い、神様と言うより悪魔だよ・・・」
『まぁまぁとりあえず、行くしか道が無い事だしとりあえず行ってみようよ』
この神様無責任に軽かった・・・
とりあえず、いやいや承諾することになった
『あ、そうそういい忘れてたけど。前回の時に色々能力あげ過ぎちゃって
今回は、自分で努力して頑張ってね!それじゃぁ、エイ!!』
「おい、まてぇぇぇぇぇぇーーーー・・・・・・」
俺は、こうして無理やり転移させられた
ここは2度目の方だったかな
気がつくと、俺は森の中で倒れていた
近くに川が流れていたのでとりあえず、水を飲み落ち着く
水面に写るのは俺?なんか凄く若返っていた・・・
まぁ死んだ時、40を超えていたその状態で魔王と戦えと言われても無茶すぎだが・・・
とりあえず自分の細マチョの肉体をしげしげと眺める
なかなか張りのいい筋肉だ、昔弟と竹刀を交えていた頃を思い出す
あれ?一つ困った事がある。いや一つどころでは無かった。
裸の状態で放り出されたようで、何も着用していなかった
やけにスウスウすると思ったら・・・武器もないし・・・森の中でどうしろと?
とりあえず川の下流へと歩き出した。方角も分からないが水さえあれば何とか生きていける
ひもじい思いをしたあの頃を思い出す。あれはたしか・・・
そこうしていると、大きな木が生えている所に到着した
見たことも無いくらいの大きな木、ゲームで言う所の世界樹?そういうでかさ
木の近くには泉があった。凄く澄んでいてなんと綺麗な水だ
どこぞのミネラルウォーターなんぞ目じゃないぜ
これペットボトルに入れて売り出したらバカ売れだなぁ、とか考えながらたらふく飲んだ
『ガサガサ』
木の大きさと澄んだ水に圧倒されて目の前の事が見えていなかんだ
まさか、目の前に人がいるなんて・・・
しかも、女性が水浴びをしているなんて
そんなラッキースケベを体験できるとは思っていなかった!!
「キャーーー」
「待ってください。道に迷ってしまって、まさか人が水浴びしているなんて気付かなくて」
「そんな裸で言われても信じられません!!」
そう叫ぶ女性、叫びながら目にも留まらぬ速さで接近され
顎にパンチが炸裂される
「うげぇ・・・」
俺は反応出来ずにもろにそのパンチを喰らった
だが大丈夫、意識を失いながらも裸の女性の姿を記憶にインプットする事は忘れなかったぜ
ガクッ