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最弱ルーキーのナイト・スレイド  作者: フランジュ
冒険者ギルド編・第三章
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情報

夜、満月の荒野。

ボーンウルフの群れを全て討伐した冒険者たちは疲れた表情を浮かべながらも談笑していた。


その中で注目を集めていたのは"弓使いのジーナ"だった。

赤髪ポニーテールでレザー系のインナーにカーキ色のロングマント、ホットパンツを穿いた容姿端麗な女性。


魔物討伐の前は冒険者ランクがカッパー(銅)と低いせいか見向きもされなかったが、終わってみたら皆から声をかけられる存在となっていた。


もちろん目的はパーティへの誘い。

これほどの腕を持つ弓使いは、なかなかいない。

明らかに他の冒険者とは違って異彩を放っていた。



少し遅れてスレイドが冒険者が集まる場所にやってくる。

それに気づいたジーナは他の冒険者の誘いを断り、スレイドの方へと向かってきた。


「スレイド!」


「おう。さっきは助かった」


言いつつ、先ほどまでジーナと話していた冒険者たちに視線をやると恨めしそうにこちらを見ている。

ビクリとして、すぐにスレイドは視線を逸らした。


「私こそ。組んでくれて助かった。それよりも、あんなに早く連携を取れる人なんて初めて会ったよ」


「俺もそうだ。もしかしたら相性いいのかもしれないな」


「え……」


何気ない言葉に顔を赤らめて俯くジーナ。

そんな彼女の仕草を見てスレイドは首を傾げた。

"何か変なことを言っただろうか"……そう考えていた。


ジーナは俯きながらも口を開く。


「もし……スレイドさえよかったらパーティを組まない?冒険者ランクも近いし、お互い旅の目的も達成しやすいだろうしさ」


「あ、ああ……でも、俺の旅の目的は王国騎士になることなんだ」


「王国騎士?珍しいね、って言っても私のお兄ちゃんも騎士を目指してたけど。私たちは目的は同じだけど別々の道を歩んだ感じなのよね」


「ほんとか!?お兄さんは騎士になったのか?」


ジーナは苦笑いを浮かべつつ、首を横に振った。


「近くの町の警護兵士にはなれたみたいだけど。平民が騎士になるとなれば、かなり高位の貴族に認められなきゃいけないみたい」


「かなり高位って……」


十二騎士ナイトよ。でも平民が十二騎士ナイトに会うのは難しいわよね」


スレイドは言葉を失った。

どんなに頑張っても平民が十二騎士ナイトとは繋がりようがない。

しかもスレイドは相手が殺戮者とはいえ十二騎士ナイトを殺めている。

これをどう説明すべきかも考えなければならなかったところ、まさか"十二騎士ナイトに認められることが騎士になる条件"とは酷な話だ。


そんなことを思考していると、ジーナは続けて言った。


「もしかしたら他に方法があるかもしれないけど……"情報"が欲しいなら目的地も一緒なんだけどなぁ」


「どういうことだ?」


「ここから南東に下ると港町があるんだけど、私はそこからアリク諸島に渡るつもりなんだ。"ゴールド・バラッシュ"に行くためにね」


「ゴールド・バラッシュ?」


「ええ。『全ての情報はゴールド・バラッシュに集まる』って言われている町で、十二騎士ナイトの一人が管理しているのよ」


「また十二騎士ナイトか……」


「また?」


「あ、いや、なんでもない……そこに行けば"平民が王国騎士になるための情報"を得られるかもしれないってことか」


「そうね。私も情報が欲しくてゴールド・バラッシュに行きたい。だからこうやって船賃を稼いでるってわけ」


「なるほど」


確かに、それが本当であれば願ったり叶ったりだ。

このまま無闇に冒険者として旅を続けるよりも、確実な情報を得られるところへ行った方がいい。

もしかすれば、もう一つの目的地である『黒竜の息吹』という場所もわかるかもしれない。

そうなれば一石二鳥である。


「俺もゴールド・バラッシュに一緒に行っていいか?」


「うん!スレイドさえよければ!」


ジーナは満面の笑みを浮かべた。

本当に嬉しそうで、たまらずスレイドも口元が緩む。


「ああ、そうだ……もう一人、連れて行っていいかな?結構うるさいヤツなんだけど」


「え、ええ……別に構わないよ。もしかして女の人?」


「そうだけど。どうして?」


「別に……なんでもない」


そう答えたジーナは笑顔を一転させ、残念そうな表情をした。

スレイドは首を傾げる。

やっぱり、"うるさいヤツ"という部分が引っかかるのだろうか?



そんなやりとりをしていると、遠くの暗闇からガタガタという音が響いてきた。

2、300メートルは離れているだろう。

聞き方によっては"群れを成した何か"が走るような音にも思える。


冒険者たちは談笑をやめて身構えた。


そんな中、ジーナが音の方向を目を細めて見る。


「大きな荷馬車が走ってるね。ずいぶん急いでる」


「よく見えるな」


「"暗視"のスキルを持ってるの。夜しか役に立たないけど」


言って苦笑いするジーナ。

他の冒険者たちも音の方向を見るが、暗すぎて全く見えていない。

だが彼女の言うことは事実だろう。

"暗視"のスキルがあったことで暗がりでも弓矢を的確に魔物に命中させられたのだ。


冒険者たちは恐らくミディアランの町から出てきた商人の荷馬車だろうと判断し、スレイド、ジーナ含めて各々、町へと戻った。

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