表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
10/17

10・アクセス

 自宅の書斎で読み掛けの電子書籍を開けようと思った時、ふと思い出した。気になっていた、あの真っ赤なポケットティッシュを。

 僕はクローゼットを開けて上着のポケットに手を突っ込んだ。昼間と全く同じに『カシャ』という手応えを感じて、それを掴んだ。取り出すと、それは例の真っ赤なポケットティッシュだった。

 不思議な印象が残っている真っ赤なポケットティッシュだ。

 考えてみれば、この真っ赤なポケットティッシュを配っていた『彼女』は何処へ消えてしまったんだろう? 更によく考えてみると『彼女』はこの真っ赤なポケットティッシュを一つしか持ってなかったような気がする。それにどう考えても、彼女は僕とぶつかる位置にワザと居たか、もしくは僕にぶつかってきたとしか思えない節もある。

 真っ赤なパッケージに白抜きの文字で『不倫計画』と書かれたポケットティッシュ。改めてしげしげと眺めた。会社の雰囲気、家族の問題、そして自分自身の問題と、いろいろな想いが頭の中を一瞬にして駆け巡った。

「調べるだけ調べてみるか」

 僕は溜息を付くように独り言ちて、電子書籍のページを閉じてブラウザを起動し直す。

 ポータルから『不倫計画』のキーワードで検索しようとしたが思い留まった。おそらく、複数のキーワードを入力しないと真っ赤なポケットティッシュのサイトはヒットしないだろうという予感が働いたのだ。仕方なく、小さな文字で書かれた長ったらしいURLを画面とポケットティッシュとを見比べながらブラウザのアドレスバーにちまちまと入力した。


 小一時間ほど、ブラウザを飽きずに眺めた。

 トップページはポケットティッシュ同様、真っ赤な背景に白抜き文字で『不倫計画』と書かれいて、十八歳未満の閲覧を禁止する警告文と年齢認証の「はい」と「いいえ」のボタンがあるだけだった。当然の如く「はい」をクリックしてサイトの中へと入る。

 相変わらず真っ赤な背景のままで白抜きの文字が並んでいる。幸いにして、いきなり動画が再生して音楽とかが鳴り出しもしなかったが、『不倫計画』という名を体現するようなエロい画像の類も一切なかった。

 そこに白抜きの文字で書かれていたのは、真っ赤なポケットティッシュに書かれていたことをもう少し解説した程度のことだった。


[以下、サイト本文]

「ただの『不倫斡旋サイト』か?」などと思わないでください。

我々は『完全なる不倫』を貴殿あなたに提供することができます!


我々の『不倫計画』が貴殿あなたの悩みを全て請け負います。

特に『性のことで心理的にも身体的にもお悩みの貴殿あなた』にとって、これは朗報に違いありません。

そして、必ずや貴殿あなたを満足させるでしょう。


お相手は『フル・オーダーメイド」です。

身長・体重・スリーサイズはもちろん、髪や肌の色から顔カタチ、目や鼻のパーツ一つ一つから指の太さや長さまで、全てを貴殿あなたのご希望のままに。


「後腐れ」や「禍根」や「煩わしさ」といった、不倫に存在する『人間関係的後処理事項』は一切ありません。跡形も無く消え去ってしまいます。


これだけのことがたった二十万円(税込)の料金で!

(フェノメノンズ費用のみ・デート費用等は別途、クライアント負担)

ただし、フェノメノンズの特性のために『アバンチュール』は「|ポッキリ四十八時間(二日間)」となっています。


貴殿あなたもお申し込みを!

【オーダー】

[以上、サイト本文]


 結局、詳しいことは何も解らない。

 ポケットティッシュに無かったことは、「お相手」というヤツがフルオーダーできることと「フェノメノンズ」というモノらしいことだけだ。

 画面の隅々まで何度も確かめたが、【オーダー】のボタン以外にリンクされている場所はなかった。

「嫌でも何でも、とにかくこの先に進めということか?」

 僕は呟きながら【オーダー】のボタンをクリックした。

お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ