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不器用な冒険者、最凶の遺物を拾う  作者: 夏悠


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10/10

10話 帰ったら宴会が始まった

僕たちは何とか依頼を終え、負傷者たちを連れてギルドに帰還する。

身体の方はといえば、とんでもないほどに疲れ果てていた。

思えば、Gランクの僕がより上位ランクの依頼を受けるというのがかなり無茶があった。


「やっと、着いた…」


ドアを開けてギルド内に入ると、僕たちに気づいた冒険者たちの視線が一斉にこちらを向く。

負傷者もいるし、そりゃ目立つよな…


「ああ、無事に戻られたのですね!」

僕たちに気づいた受付嬢が、安堵した表情を浮かべる。


「はい、無事に終わりました」

「それと、道中で負傷者を見つけたので連れて帰りました。この方たちの治療をお願いします」

フロウは、依頼中に見つけた負傷者たちへと目をやる。


「こんなにたくさん… 分かりました、すぐに職員を呼びますね」

受付嬢は一旦受付を離れていく。

その後、負傷した冒険者たちは、ギルド職員たちによって治療用のベッドに運ばれていった。


「流石に今回の依頼はヒヤヒヤしたな、あんな魔物がいるとは思わなかった」

フロウは疲れた様子でテーブルに手をつく。


「全くね。調査のはずがエラい目に会ったわ」

壁に持たれかかっていたミュナも不満そうにしていた。


「でも、皆さん無事で良かったです…」

メリーは負傷者たちが運ばれた方を見て、胸をなでおろしている。


三人からしても、今回の依頼は大変なものだったのだろう。

そう考えると、なぜ僕がこんな依頼に参加させられたのか疑問に思えてくる。


受付の前で待っていると、受付嬢が戻ってきた。

「お待たせしました! 今回の東の洞窟の調査依頼ですが、冒険者の救助に、危険な魔物の討伐までされたそうですね」

「しかも、救助された冒険者の中にはDランクの方も含まれていたそうです」


「そうだったのか? どうりであの魔物、とんでもなく厄介だったわけだ」

フロウも納得したようにうなずく。


「ということは想定より危険な依頼だったってことでしょ? もっと報酬を増やしてもらえるんでしょうね」

ミュナは強い口調で訴えている。


受付嬢は少し気圧された様子で話を続ける。

「ええ、そうなんです。今回の依頼は、少なくともDランク以上に相当する危険度でした」

「ですので、今回の功績を考慮して皆さんの冒険者ランクを引き上げることになりました」


「ロストさんは、今回Eランク昇格のために参加されたはずですので、そのままEランクへの昇格となります」

何というか、ランクが上がるのは嬉しい反面、僕なんかがEランクに上がってしまっていいのだろうか…


「そして、フロウさん、ミュナさん、メリーさんの三名はDランク昇格ですね」


「なっ、俺達も!?」

「ええ、私が昇格…ですか?」

フロウとメリーは予想もしていなかったらしく、驚いた表情をしている。


「ふふっ、これならやった甲斐があるってもんね」

一方、ミュナは満足げに腕を組んでいる。


「はい、そして報酬の方ですが…それぞれ一人につき金貨二枚と銀貨五枚になります!」

受付嬢は報酬が入った袋を4つ取り出した。


「えっ、一人で金貨二枚と銀貨五枚ですか!?」

思わず声が出てしまう。


フロウとミュナは、報酬に満足して喜んでいる。

しかし、メリーは報酬額に困惑している様子だった。


「私までこんなにもらっていいのでしょうか…」


「メリーだって、俺たちを守ってくれたり、冒険者の傷を癒してくれたじゃないか。もらうべきだろう」

「そ、そうですか…? で、ではもらっておきますね」

メリーもフロウの言葉に、少し納得したようだった。


しばらくして、フロウが思いついたように声を上げる。

「そうだ! せっかく依頼も成功したことだし、みんなで飲みにでもいかないか?」


「ええ、付き合ってあげてもいいわ」

「いいですけど…わっ、私はあまり飲めませんよ…!」

ミュナとメリーも、フロウの提案に付き合うつもりらしい。


「それじゃあ、酒場まで行こうか!」

そう言ったフロウの後について、僕たちは外に出る。


突如、僕たちの目の前に人影が勢いよく降り立った。

足元を見ると、地面が少し凹んでいる。


その人物は、エリシアだった。


「主様、遅い。心配した」

そう言うと、そのまま僕の胴体に抱きつくように突撃してきた。


「ぐはぁっ……!」

なにこれ?めちゃくちゃ痛い。


「エリシア、分かった、分かったからちょっと離れて…」

僕はなんとかエリシアの肩に手を置き、身体を引き離す。

エリシアもすんなり離れてくれた。しかし、今度はフロウたち三人を怪訝そうに見ている。


「主様… こいつらは何?」

「あっ、ああ、この人たちは依頼を一緒に受けてくれたパーティの人たちだよ」

「飲みに誘われたから一緒に行くことになったんだ」


「主様、私も行く。私抜きで行動するのは危ない」

エリシアはそう言って腕を掴んできた。


すると、隣にいたフロウが尋ねてくる。

「ロスト、この子は?」


なんて説明すればいいんだ?

一緒に住んでるとか言ったら誤解されそうだし…

「えっと、そうだね…この子はエリシアって言って、僕と一緒に依頼をこなしてるんだ」


「へー、じゃあこの子が相棒ってことね…」

ミュナは興味深そうにエリシアと僕を交互に見ている。


「わ、私はメリーですっ、エリシアさん、というんですね。よ、よろしくお願いします」

メリーは緊張した様子でエリシアに挨拶した。


エリシアは少し頷いた。

ただ、三人への警戒はまだ解けていないようで、じっと見つめていた。


ギルド近くの賑やかな酒場に到着し、僕たちは中に入った。

店内には木製のテーブルが並び、あちこちから楽しげな声が聞こえてくる。


僕たちは適当な席に座り、料理と飲み物を注文した。

しばらくすると、テーブルに料理が運ばれてくる。


「乾杯!」


みんながジョッキをぶつけ合う中、メリーが控えめに自分のジョッキを持ち上げていた。

エリシアはそんな様子を眺めている。


フロウは豪快にジョッキを傾け、中身を一気に飲み干した。

「ぷはーっ、依頼の後に飲む一杯はいいなぁ!」


「飲みすぎじゃない? 程々にしなさいよね」

ミュナは少し呆れた様子で、ジョッキに口をつける。

メリーはあまり口を開かず、ジョッキに少しずつ口をつけていた。


「そういえばロスト、あんたはあの魔物の幻術をどうやって破ったのよ」

「うーん、それがよく分からないんだ。幻なんて見えなかったし」

「本当に? なにか隠してたりしない?」


ミュナは、納得いかない様子で追求してきた。

そこで、エリシアが間に入ってくる。


「主様は分からないと言っている。これ以上の追及は控えて」

そう言って、エリシアはミュナを軽く睨んだ。


「分かったわよ、ここまでにしとく。でも、いつかは聞き出してやるわ」


別に隠してるわけじゃないんだけどなぁ…


その後も僕たちはしばらく談笑を続けた。

そして、夜も更けてきた頃、僕たちは酒場を後にすることにした。

10話を読んでいただきありがとうございます。

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