第2話
私がどうしてこんな危ない道を一人で歩けるのか、教えてあげよう。
カバンを女の子の方に投げる。そして両手の平に集中する。
「おいっ、なにやってんだ。お前、どこにスタンガンなんか……」
あわてる男二人。
「――ハズレ」
口の形だけでそう言う。
右足に力を込めて、飛び出す。向こうはびびって左右に避ける。が、少し動きの鈍い左の男に向き直り……。
――バァチィッ
と、まぁとりあえず、一人は気絶させた。
多分、死んではいない、と思う。加減はしたけど、最近はあまり使ってないんでね。
くるり、ともう一人に体を向ける。でもそいつは、走って行ってしまった。仲間を置いて。ひどいな、あれ。本当に人の子かよ。
走る男の後ろ姿を見送ってから、女の子の方に向き直る。彼女はわたしが投げたカバンを、大事そうに持っていた。
それにしても、きれいな髪だなぁ。わたしは静電気がすごいので、髪をあまり伸ばせないから、ちょっとうらやましい。今も、やっとボブカット、ぐらいしかない。だから、ちょっとだけ、ね。
「あの、ありがとうございました。えと……その」
ずいぶん人間くさいアンドロイド(?)だな。
「アンドロイド電食試作機……07号、だっけ?」
そして名前、長いな。
「レイナって呼ばれてます。……研究所の外では」
「レイナ?あぁ、07だから、零七でレイナってことか」
ずいぶんとこ洒落た名前だこと。
「あの、あなたは?」
「わたし?わたしは、那由多暦て、名前だよ」
自己紹介、忘れてた。
「どうして、レイナのこと……助けてくれたんです、か?」
レイナが上目遣いで訊いてくる。
それは、もちろん。
「わたしの電気を食べてもらうためだよ」
「!?」
びっくりしてるよ。アンドロイドなのに。
「たいへん申し訳ないのですが、あのですね。レイナは、あなたの電気を食べてさしあげることは出来ないのです」
ちょっと、何言ってるの?
「どうして?」
一息おいて、レイナは話す。
「電気って、さっき両手から出していたアレ、ですよね?」
わたしは、コクンとうなずく。
「アレはおそらく、あなたの体内で作られている電気だと思うんです。なので、電気を発生させなくする、ということは、出来ないのです」
――はい?
「電気の発生を止める方法は、レイナの内部コンピューターを使い、検索してみところ……」
――ところ?
「生命活動を止める。要するに、死ぬ。死ねば発生しなくなるそうです」
「んなっ」
なんて、理不尽なんだ。わたしはずっと普通になる方法を探し続けてたのに、目の前ロボットが、それをあっさり見つけてしまった。普通になれる方法があると、それを支えにして生きてきたのに……。
わたしはこれから何を支えにして、生きて行けばいい?
目に涙がにじむのがわかる。
レイナからカバンをつかみとって、家に向かって歩きだす。
「あのっ」
後ろから声がかかるが、聞こえないふり。というか、足が止まってくれない。
もうこれで、彼女とは関わりたくない。心からそう思った。
この話で、一応完結にしますが、まだ続きを書くつもりはあるので、気が向いたら書こうと思います。




