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スターリー・バラード  作者: 藤咲 零
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平穏

初めまして。

自分の中の構想を形にしたいと思い、投稿しようと決心しました。

設定等練りながら書いていくので矛盾が発生してしまうこともあるかと思いますが、厳しい目で批評していただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。

    [ LOSE ]

 ディスプレイに表示されるのは敗北を意味する文字。


「ちぇっ、ここまでか」


 スマホで時間を確認した俺は荷物を持って座席を立ち、その場を離れる。

 ゲーセンの近くに停めてあった自転車に乗り、後輪に張り付けられた駐輪禁止の張り紙を剥がす。

 悪いとは思っているのだが最寄りの駐輪場が程よく遠いのが悪い。心の中で自己弁護しながら帰路に就く。


─────────────


 家に着いたのは午後七時。

 そろそろ飯の時間だな、などと考えながらドアに手をかけると鍵が開いていた。

 なに、慌てることはない。

 なぜなら俺は知っているからだ、この時間に我が家で飯を作っている人間など、一人しかいない──


「おかえり慧斗、もうすぐ出来るから待っててね」


「ああ、先に座ってるよ。ありがとう綾香」


 一つ下の幼馴染、綾香は俺の両親が遅くなる日や帰ってこられない日はこうやって飯を作ってくれたりする。

 合鍵は母親が勝手に渡していたらしい。相手は年頃の娘だというのに何を考えているんだか・・・。

 一つ屋根の下、仮に過ちでも犯したらどうしろというんだ・・・。

 いや、やましい気持ちなどはこれっぽっちもないのだが・・・。


「おまたせ~。ん?どうしたの?」


 一人で悶々としているうちに料理は完成していたようで、目の前には美味そうな飯がきれいに並べられていた。


「な、なんでもない!さ、食べようか!」


 雑念を振り払うように食事にありつく。それらは見た目に違わぬ美味さで俺の腹を満たしていった。



 食事が終わり片付けを手伝っていると、カウンターに置いてあった封筒が目についた。


「あ~その封筒、慧斗宛っぽいよ?」


「俺に?」


 学校からの連絡だろうか。

 この情報化社会で、学校指定のアドレスもあるというのにわざわざ郵送で連絡を寄越すとはなんともご苦労なことだ。封を雑に破り中身を見ると──


♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦


  スタークライシス ロケテストのお知らせ

   星牙コーポレーション


   おめでとうございます。

   あなたは当社の新作フルダイブ型アクションゲーム『スタークライシス』の

   ロケテスト参加者に選ばれました。つきましては以下の日時に指定の場所までお越しください。


 以下略

♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦


 本文はそれだけで、あとは場所と日時が記載されていた。

 ロケテスト当選・・・?応募した覚えがない上、会社名も聞いたことがない。

 バリバリに怪しいが、新作ゲームのロケテストという響きには強く惹かれるものがあった。


「なにそれ?ゲーム・・・テスト?」


 後ろから綾香が覗き込んでくる。


「そうだなぁ・・・わかりやすく言うと、ゲームの体験版みたいな奴をやらせてくれるんだってさ」


「へ~!面白そうじゃん!私も行きたいな!」


「やっぱそう思うよな!二人で行ってみるか!」


 幸運なことに、ロケテストの開催場所はここからそう遠くないビルの一角のようだった。

 問題は隣で目を輝かせている綾香だが・・・。

 一人で来いとは書かれていないし、いざとなったら何か弁明すれば問題はないだろう。


「じゃ、予定空けとくね」


「分かった。じゃあ当日は朝に俺の家集合でいいか?」


「うん!それじゃ、また明日ね!」


 そう言って綾香は玄関を出ていく。


「さて、と・・・」


 明日も学校だ。面倒だが学生である以上この義務から逃れることはできない。

 しかしまぁ、楽しみが待っていることを知っていれば人間は頑張れるものなのだ、そうだろう?

 誰に言うでもないその言葉を胸にしまい、俺は寝ることにした。

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