干し肉
「ミュウ、海外へ冒険ってどうだろう」
「本当に行き詰ってますね。旅行に行きたい程度でしょそれ」
「いや旅行だとつまらないんだよな。血湧き肉踊る冒険旅行」
「果たして目指す宝はあるのでしょうか?ダンジョンより良い場所ってそう無いですよね」
「じゃほら夕日を眺めながらこれは僕には持って帰れない宝だとかは駄目?」
「何故無言で照れるのさ」
「ちょっと状況を想像して…」
「馬鹿にして良い所だよ。いや実際宝は欲しいよ。海外ってさカード多分無い。この国の財宝鉱石が売り物になるってそれもない。あるわけ無いよね。そもそも海外の物資があるからニューシティから出てか無いんだよな」
「いやいやそれはニックも食べてるでしょ」
「あれか知らない形で。これ実は海外のものだったのかーとか。海外って魅力無いんだな…」
「でなけりゃダンジョンに外国人増えませんよ。ニックが焚きつけるからすっかりブームに」
「海外の物資が増えたのそれもあるのか。外人が自分の国のもの食べるから」
「それ考えるとサウザンドってひどいな…。間に入って利益取ってるだけだな。あそこから買ってる芋だって元は海外から来たものだろ。そりゃ栽培はしてるけど、海外からきた作物を育ててて、それをこっちに持ってきてるわけじゃない。それは自分達で食ってて、海外の芋持ってきてるだけジャン。麦はあんまり作ってして無いし。魚はもって来れないし、干したものはメルカトルで間に合ってるしさ」
「果物がありますよ」
「ダンジョンで取れるけど、まあ足りない分ね。実質ノースと海外が貿易して、その間にサウザンドが居る感じ。それ以外芋と魚を自分達で食ってるだけで外に出してないな。それ以外仲介業しかやってないな…」
「それを認めてるのがルルミラさんですよね」
「うん僕もそれは良いと思ってる。ただもうちょっとサウザンドの産物あると思ってた。芋と魚と果物。このうち果物だけこっちにもってくるだけ。ここまで酷いと思ってなかった。いや果物も元々は海外のものを栽培し始めたし。本当にサウザンドのものか?」
「でも認めてるんでしょ?」
「うん、こういう人の繋がりって壊して再生するのって面倒なんだよ。無駄だとはルルミラも分かってる。でもルルミラも商人だからね。北部の地方の事ばかり考えてると金の事忘れてしまう。元々は違ったんだよ。それじゃ駄目って分かったから金の絡まない自給自足からはじまった。そしたら鉱石の海外輸出でがらっと変わったんだよな。話しずれたね。海外行き無いね…」
僕がやった事とルルミラがやった事の合体の結果食料革命の様なものが起こった。海外から突然数多くの食料が入ってきた。じゃ何故今までせいぜい芋程度だったのか?それはサウザンドが主食としていたのが大きい。他の作物はあまりサウザンドで栽培が定着せずにサウザンド国内で消費する程度の輸入で留まっていた。
サウザンドに行けば良く見かける海外の食材が庶民の食事にも出るようになってきた。むしろ安価な食料として入ってきた。ただそれ以外もいろいろ入ってきた。これまで北部だけで流通の大半が留まっていたため、その外から入ってこなかったものが溢れかえった。
特に豆類や麦以外の豊富な穀類は食糧事情を一変した。そしてここからが僕がやった事になる。モンスター干し肉が海外に売れた。僕らにとってはまずいだけで上質な燻製肉のおかげでがらっと食糧事情が変わり貧困層でも食べない干し肉が売れた。まずいと感じるほどはっきりと燻製をしっかりして塩を練りこみ乾燥させたものは海の向こうまで持ち運べた。
そもそもサウザンドまでは余裕で運べた。サウザンドからやや暖かい気候になるが、基本的にこの大陸は寒くは無いが涼しい。東の国が温暖、南の大陸の北部海岸沿いは東の国と似ててやや乾燥している。そして南の大陸を南下するとやっと熱い気候になってる。これだけ貯蔵に向かない肉がかなり念入りに加工したものなら海を越えてしまう。これが爆発的に売れた。
ほとんど食べない干し肉がどこで消費されていたのか?冒険者。ノースランドから冒険者が持って帰った干し肉を広めたため。
まずいというのは生肉に対してであり、そもそも肉が貴重な海外では十分に魅力的な食料となった。しかもそれが信じられないほど安く手に入る。上手く世の中流れるもので、海外からの食料が金を得た地方の人にも流れてくる。肉の方が余ってしまう。これが売れるというので、どんどん干し肉にしてしまう。元々冒険者である住民が、携帯用として食べるための干し肉の加工が発達した地域なので、そのために作っていたものの量をふやしただけでそれが金になるとなってどんどん量が増えていく。
中央ではこれかなり複雑になっていく。中央では生肉の値段が基本になる。よって安くて旨いが売りの海外向けの干し肉は金にならない。干し肉用として買い取らないと儲からない。そもそも買い取りがない地方ならスムーズに起こったことがスムーズに進まない。ただ早いうちに売り切らなくても良い干し肉の需要があるのはとてもありがたい。
かなり複雑に価格が形成されていく。それもこれも肉なら大量に取れるため買い取ってくれるなら是非売りたいから。鉱石目当てなら捨ててしまうものなのでダンジョンにおいてはゴミみたいなものだから。
肉が貴重な海外では干し肉程度でも需要はあった。モンスター干し肉は十分に食料として満足できると言う事を広めたのはノースランドに来た海外の冒険者になる。




