ニック管理人になる
ある日依頼とは別件でルルミラに呼ばれた。
「良いのかい?」
「ああうんお腹ね。だから私は一度引っ込むから最後に仕上げをしておきたい。ニューシティの最高到達数は見たよね?」
「35階?」
「そうそう」
「確かに40階の財宝ドロップ独占してたんだけどこれで謎が解けたよ。昔から人少ないなと思ってたんだよ。そもそも居ないのか」
「でね35階が多くの人が知る事になって、大丈夫なのか?って話が出始めてね。その冒険者もややこしい事に巻き込まれて」
「じゃ何故公表したんだ…」
「それは無理ギルドカードを作ってダンジョンを利用すれば次にギルドに情報が行ってしまうから。ギルドに来なきゃ良いんだけどね。後はそれを使って最高ランキングを競ってるからそこに名前が出てしまったと。当然ニックは最初から対象外。それでね、ここでニックがギルドの依頼で50階到達って華々しくデビューしてすべて解決した英雄ってしておこうかと…」
「茶番過ぎる…」
「私だって嫌だよ。でもあなたのために考えたんだから受け入れないと駄目だからね。管理はギルド、ニックはその一部を報奨金として受け取るって形にするから」
「徴収はどうするの?」
「前からあった事にする。それは変更できないから皆さんのためなるように使いますとする」
「ごめんあれ多分無くす事できる…」
「私だって取れるものは取りたいよ。ただ今は危機を救った英雄で押し切る」
攻略すらしなかった。僕のための別枠のギルドカードを作って50階を記録しただけ…。僕は最上階到達のために派遣されたギルドの凄腕冒険者。じゃ攻略してしまうのでは?扉は開くなとの命令を受けた事になった。そして発覚する新たな事実。管理人制度。それによってタワー崩壊は今後2度無いと保証される。
問題は徴収だが、元々お金が減る怪現象が報告されていて、それが前の管理人によるものだと発覚。その管理人から委譲されたためギルドが徴収する事になる。ただしこのお金は直接返せないので一部今回の手柄としてニックに支払われギルドが冒険者にギルドの無料利用の充実にあてることで還元させてもらうとなって片付ける。
さらに立て続けにドールズメルカトルも管理したと発表。ただしこれは証明しようが無い。カードのみに支えられた僕の強さの証明を、35階最高到達者と共に38階まで共に制覇する事で、彼らのギルドカードが更新された事と以前の最高到達者から証明してもらう。正直護衛任務に近かったのでうっとしかったけど…。
これでなんとか管理と徴収とギルドの関係を公の物にして処理して片付いてルルミラは出産の準備に入った。結婚を告げられてから数ヶ月経ち僕は16歳になっていた。
ルルミラ不在のためルルミラが担っていた部分をダンテが最高責任者代理を勤め、情報部門をジェニーが統括した。後不測の事態雑用で僕達パーティが担当した。もう2年近く経過してやっとフェブラのオリジナルソーセージが商品として勤め先から売り出される事が決まる。マチはと言うと中々僕個人の大陸全土調査員に戻ってくれない。ずっとジェニーの下で北部調査員として働いている。
ルルミラが男の子を出産しそろそろ復帰か?となっていたときに、ジェニーと僕は話していた。
「ルルミラさんが復帰する前にやっておきたいですね。第6中継地点建設」
「それじゃ裏切り行為みたいじゃないか」
「復帰祝いですよ…、さて候補地ですが、他の中継地点との関係から西部方面なら第3中継地点の西となります。ただこっちは多発地帯って点でイマイチです。情報料が掛かるここを落としたいのですが、維持が難しい点で断念。第3中継地点の東側にします。ここなら多発地帯です」
「何故独立して置くの良くないの?」
「ニック様はそれにどうしても拘りがありますからね。でも今は変わったんですよ。中継地点を独立した場所ではなくて繋がってすべて一つの地域としてみます。肉から麦への改革ですね」
「いやいや肉が主流だよ」
「なら肉オンリーから肉と麦へですね。中継地点のどこかで麦畑が出ればそれを使って全体に麦を行き渡らせます」
「ニューシティから持ってこれば良くない?」
「値段が圧倒的に安いですし、第3まで来ると遠くなります」
「んじゃそれを逆に値段を高く買い取ってもらえるニューシティまで持っていくのは?」
「それは別に禁止していません。ただ遠いですよ。自給自足が基本の中継地点の柱として鉱石と麦による金銭の獲得はむしろ歓迎すべきです。今の所独立方式を取ってそれなりに上手く行ってるのは海岸部だと思いますが、これダンジョンによる食料調達だけじゃないので参考にならないと思います」
「徐々に土運動で土が増えてきたけど、せいぜい雑草が生える程度だもんね。作物の栽培は無理だろうね。そういえば僕に金だせって話し?そりゃ持ってるけど、ギルドにしこたま情報料払ってるから以前ほどは無いぞ」
「いえいえ何故ここまで待ったか?採算が取れる形で十分に待ったからです。お金は要らないです。ニック様が撒いた種なのですからギルドの計画ですが聞く権利あるでしょ」
「前から不思議なんだけどさ何故宿屋中継地点に作らないの?肉と鍛冶屋は人少なくて無理でも宿屋はいけるでしょ?」
「まず10年ダンジョン思い出してください。必要なら生まれます。必要じゃないから生まれないんでしょ。それを推し進めるのを避けてるのと、やっぱり肉を買い取ってくれない。鉱石を減らせないってのはかなりのデメリットです。
次にパラパラと来た外からの冒険者がダンジョン攻略を早めます。これ難しい問題で、ギルドは回転を早くしたいです。しかし長く住んでる人は多分その辺りもう攻略を目指してない。出来たらするでしょう。外から来た他人にされるぐらいならするでしょうからね。
でも他人と競争して早く攻略しようなんてのはさらさら無いでしょう。次のダンジョンが生まるまで出来たら攻略されないのが良いなと思うと思います。中継地点以外のダンジョンが攻略されれば新しく中継地点に生まれる確率は攻略されないダンジョンがあろうがなかろうが、変わらないですからね。
ギルドとしては相容れないように見えますが、最初から利益をもたらすことより北部全体に住民を分散させる事が一番の課題ですからね。ただ情報って観点からは利益にもなってるんですよね。住民が冒険者ですからね。ただ働きしてくれる住み込みの調査員のようなものです」




