出会い
「はー、熱い」
ルルミラ・ハーネスは小船の上で遮る物の無いため照りつける日差しに苦しめられていた。
彼女は噂からある離れ小島を目指していた。彼女はカードを取り扱うハーネス商会のお嬢様。子供の頃からカードに囲まれて育ってきた彼女はいつしかカード集めが趣味になっていた。カードと言うのは、主に戦闘に特化した能力を具現化した板状のアイテム。無人島にレアカードがあるとの噂を聞いて今からそこへ向かっている途中だった。
タイミング良く出発した陸地が見なくなった時その離れ小島が見えてきた。噂だけで具体的な話が一つもなかったのはおそらくその島を見たことがある人が居なかったためと思われる。船の往来が激しくないためかなり沖に出ないと、陸地からはその島は見つからない。
「あそこで良いのかな」
彼女は地図に示されたX印を眺めてそうつぶやいていた。この地図のX印が示す位置に島が無い。あくまで噂だけの島、でも実際その噂は本当だったことにルルミラは安堵した。
「何よこれ…」
砂浜から上陸するとすぐに鬱蒼としたジャングルにぶち当たった。
(こんな中探せっていうの無理じゃないかな)
カードに反応する便利な探知機の様なものがあるわけじゃない。じゃ何故この島に来たのか?それを考えるとルルミラは
「それは分かっても、レアカードの話を聞いたら。来てしまうんだよね」
と呟いていた。ただ彼女はひょっとしたら人が住んでるんじゃないか?と思ってこの島を目指していて、この島をくまなく探索してカードを拾うなんて事を考えていたわけじゃない。
ザッザザザッーー。
何か音がして振り向くと豹の様な動物がルルミラの様子を伺っていた。
(あれやばいんじゃないの?)
一応ルルミラもカード持ち。それなりには戦える。カードは生まれつき無関係に暮らす人とカードを扱える人にまず大きく分けて分かれる。カードを使えるだけで通常の人よりは戦える。ただ彼女はそれほどは強くない。猛獣といえるような獣とナイフ片手に向き合ってちょっとビビッて居た。
ガサガサ。
(今度は何??)
ルルミラがそう思った瞬間人影らしきものが横切ったと感じたら、その人影は豹に向かって行き豹を蹴り上げた。
(人?)
ルルミラは気になって話しかけようとしたが、その人は豹との戦闘になったため取り合えず観察して見る事にした。ナイフか何かで格闘してるのか?と見ていたらなんと素手でそのまま殴って蹴ってで豹に応戦していた。良く見てるとまだ子供の体格である事にルルミラは気がついた。体つきからおそらく男の子じゃないか?と。目にも止まらないスピードで豹を圧倒していた。しかも軽々と豹を持ち上げて木にぶつけた。パワーも少年レベルじゃない。ぐったりした豹の首を絞めて殺してしまった。
「あなた誰ですか?」
僕(轟・ニック)はずっと一人でこの島で生きていた。僕は死んだ父の遺言で13歳になるまでこの島を出てはいけないと教えられて、今までこの島から出た事が無かった。今年僕は13歳になった。島から出て行く方法をいろいろ模索していたある日、いつものように食料とする獲物をしとめようと森に向かうと父以外で始めて目にする人間に出会った。
「私はルルミラ・ハーネス、あたなは?」
「僕は轟・ニック」
何から話そうかとルルミラは思案していた。そう思っているとニックと言う少年は私をじろじろ見ながら。
「ひょっとしてルルミラさんは女ですか?」
「ええまあそうなるけど」
「女女」
女だときゃきゃっと騒ぐニックを見て、ルルミラは身の危険を感じてナイフを構えた。
「あ、すみません。僕母が早く死んでしまってずっと父と生きてきたので女性を見るのが初めてなんですよ」
それで良く分かったわねと思いながら、ニックがじろじろ胸ばかりみていたのを思い出してなるほどそういう事かとルルミラは理解した。
「お父さんは?」
「ああもう死にました」
「他の人は?」
「この島には僕以外誰も居ないはずです。隅々まで見回りましたし、そもそも父から誰も住んでない無人島だと聞いています」
「ずっと一人で生きてきたのね」
(この子以外有力な情報を持って居そうな人が居ないのか…)
「どうやってこの島に来たのですか?」
「ああ船で」
「父が使っていた船壊れてしまって、新しく作りなおそうとしていたのですが、もし良かったら僕も乗せていって貰えませんか?」
(この子何か変だと思ったら野生児だと思ったらやけに遠慮深いからかな)
「別に良いわよ。ただ一つ教えて欲しいけど、レアカードがあると聞いてこの島に来たんだけど知らない?」
「カードって何ですか?」
「え???困ったな」
(あの動きと人間離れした力からカード持ちだと思っていたのに)
ルルミラは自分のカンに賭けてみた。
「こう手をかざしてね、カードオープンと唱える。さあやってみて」
「カードオープン」
僕は言われるままにやってみた。なんだこれ?
「何か見える?」
「うん”強化”って書かれたカードが目の前に見える」
「強化???」
「うんそうだよ」
突然僕はルルミラに抱きしめられた。
「何々?」
「これがレアカードの噂の正体なのか。でもおかしいはねカードは他人には見えないのよ。何故ニックのカードの噂があったのかな」
「そういえばルミララさんもカード開いてるはずなんですよね?」
「カードは全く関係なく生きてる人もいるからね。私がそうかもしれないよ?」
「そうなんですか?」
「違うよ。私は”幸運”のカードを持ってるよ。私ニックを殴るから避けてみて」
そういってルミララはニックに拳を握り締めてを殴ってきた。ニックは余裕をもって避けたが何故か彼女に殴られてしまった。
「ええ???」
「100発100中じゃないけど、たまにあるよね。避けたつもりの方向を私が何故か狙ってるのよ。しかしあなた頑丈ね…。いくら女の私でも子供相手でこんなに綺麗に当たったらそんな平然としてられないと思うんだけど。強化って普通カードの強化なのよね。それってひょっとしたら身体強化も同時に掛かってるんじゃないかな」
「凄いんですか?」
「すごいよ身体強化もレア中のレア。世界に一枚のカードを超えたぐらいのすごさだよ。私の幸運もどこにでもあるけど、その幸運の程度は人によって全く違う。私は多分そういう意味ではレアだと思う。でもニックのはそもそもそのカード自体が皆無ぐらい無いのよ。後ねそれ他人から分からないから。絶対にホイホイ話したら駄目だからね」
(今更…)
軽く気まずい空気になる。話題を切り替えるためにニックが話し始めた。




