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第四話 エンキリのお仕事(黄昏)

四、

 一人暮らしの男子生徒の家にとっても可愛い女の子がやってきた!日はだんだんと沈んでいき………一つ屋根の下には花も恥らう女の子と二人きり………二人を邪魔するものは一人もいない。ああ、なんて燃える、いや、萌えるシチュエーションなのだろうか………ま、実際のところはデスクワークと実技が混じったなんのことはない、ただの縁切りのお仕事の依頼だ。こんな桃色妄想ピンク仮面な状態でいたら成功するもんも失敗しちまう…………気合入れていくとしますかね〜

―――

 目の前にいる人物に座布団(自腹で購入してきたもの)とお茶(これまた自腹)にお菓子(和菓子って意外と高いんだよなぁ〜)を差し出した。今、目の前の相手は最中(もなかと呼ぶそうだ)に手を出している。ああ、そういえば後五日ほどに迫っていた許婚の件は見事にご破算となった。今日から友達になってくれた目の前の女の子のおかげである。だから、座布団にお茶、お茶菓子は当然の待遇なのだ。

「ふぅむ、なるほど………」

 俺は目の前の女の子、手野見結衣てのみゆいさんの話しを聞いた。どうにも、最近不幸続きでその始まりが家族旅行から帰ってきた後だそうだ。神社に行ったりしていたから何かに憑かれているかもしれないと彼女はおっしゃった。そして、今は茶を飲んでいる。

 ずばり言おう


俺は霊能力者じゃありません♪


「まぁ、一応はみておくけど………」

 集中して相手を余すことなくじっくりと見る。

「ん?」

 あの時ちらりと見えた違和感………それは、小指についている運命の赤い糸が青色なのだ!なんだ?時雨のときといい、赤い糸が最近ははやってんのか?

「なぁ、手野見さんには誰か許婚とかいるのか?」

「許婚?そんな時代錯誤なことがあるわけないよ〜……………」

「じ、時代錯誤ね………た、確かにそうだよな〜」

 許婚ではないのか…………じゃ、なんだろうか?勝手に判断したりして後で取り返しのつかないことになったという例は数多く聞くからな…………

「手野見さん、ちょっと待っててくれ」

「うん、いいよ」

 手野見さんを一人残して俺は電話に手を伸ばす。この時間帯、母さんは夕飯作りに忙しいだろうから掛ける相手は少々苦手だが暇であろう親父がいいだろう。姉さんでも構わないが姉さんは機嫌の悪いときに連絡すると襲ってくるからな………

 何回かの呼び出し音の後、男性の声が聞こえてきた。

『もしもし、霧耶か?どうした?』

「親父、依頼主の小指に青い糸がまきついているんだけど………どうしたらいいんだ?」

『知るか………といいたいところだが、その青い糸、太さはどのくらいだ?お前のちっちゃな亀さんぐらいか?』

「違うわい!」

『ならば、今のうちに切っておけ…………じゃ、俺は母さんの夕飯を食べるからじゃあな』

 あっという間に電話は切られた。説明なしかよ!?しかしまぁ、あんな父親のもとで育ってよくこれまで俺はまじめに育ったなぁ…………

 目の前に座っている手野見さんにどうしたものかと俺は考えたのだが………仕事に関しては嘘をつかない親父を信じることにした。

 不思議そうな顔をしている手野見さんに告げる。

「う、うんとな………とりあえず………切っちゃうことにする」

「え、う、うん………よろしくお願い………」

 まぁ、あの親父のことだ。仕事のことで嘘はつかんだろ…………

「私はどうすればいいのかな?目をつぶっておけばいいの?」

「いや、別に普通にしてても構わない………そのかわり、絶対に動かないでくれ」

 間違って他の縁を切ってしまったときは大変だ………正直言って、過去に一度幸福との縁を間違って切ってしまったエンキリがいるからな………その相手はそりゃもう、悲惨だった。金はすられるわ、どぶにはおちるわ、空から鳥の糞が落ちてくるわ………

 俺は集中するべく………小指の付け根辺りの部分に刃のない刀で狙いをつける。

「…………」

「ごくり………」

 静寂があたりを支配し、聞こえてくるのは俺の心臓の鼓動だけだ………

「せりゃ」

 そのまま刀を振り落とし、俺は見事に青い糸を切り落とすことにした。しかしまぁ、こちらにやってきて様々なものをみたな………柱並みの太さの赤い糸に、青い糸………これってどういうことだ?

「終わった」

「案外、あっさりしてるんだね?」

 そりゃまぁ、そうだ。

お化けがついていたりするのなら準備をし、本人自体が清められてそこでははじめて除霊が行われるのではないだろうか?門外漢なのでよくわからないが………そんなものだ。しかし、エンキリ行為は本当にあっさりとしている。糸を見つけてそこに精神の刃を当ててやれば………もっとも、そのことも実力しだいなのだが………すぱりと切れてしまうものなのだ。赤子の手をひねるようなものだと思ってもらえば幸いである。

「じゃ、そろそろ帰るよ」

「ああ、気をつけて帰ってくれよ?」

「うん!」

 手野見さんはそういって普通に帰っていったのだが………俺が思うに、ここでまた新たな縁が生まれるだろう。

あの青い糸がどういうものかはよくわからないが…………とりあえず縁を切ればまた誰かとの縁が生まれるのである。それがどの方向性に伸びていくのかはまだわからない。勿論、切った俺にも何かしらの縁が生まれたのだろうが(できれば金髪美人とお知り合いになりたいものだ)俺のことはこの際放っておいて構わないだろう。手野見さんに変な縁が出来てストーカーにつけられたりしたら可哀想だ。

 それならば俺がするべきことは決まっている。

「手野見さん、言い忘れてたことがあった!」

「何かな?」

 まだ第二の門を通っていないところで追いついて俺はそんな嘘をつきながら彼女の隣に立った。

「………女性だけのアフターサービス。俺、きちんと家まで送っていく」

「そう?だけどそんなことしなくても………」

「いいって!」

「いや、こうしないと仕事上かっこうつかないからさ」

 無理やりにでもついていき………俺は新たな真実を知った。

―――

 歩いて一分経っただろうか?いや、経ってないな。

「ここが私の家」

「…………ああ、お向かいさんだったのね……………」

 目の前に立っていた家がなんともまぁ………手野見さんの家だったのだ。俺は門の前でぼさっと突っ立っていた。

 手野見さんは自分の家の門をくぐって俺に手を振った。

「じゃ、また明日!」

「え、ああ……………また明日…………」

 家の中に消えた手野見さんに俺はため息を吐きながら家に帰ることにした。ああ、まぁ、こんなに家が近くだとは思ってもいなかった。

「……………まぁ、いいか……………」

 俺も家の中に消えようとしたと………

「本当にありがと!」

 後ろを振り返れば二階の窓からそんなことを俺に告げてくれたのだ。ううん、こういわれるとすごく嬉しいんだよなぁ。さて、今日は仕事も終わったからさっさと寝るかなぁ〜

 だが、俺は長い長い夜がこれからであるということをまだまだ理解していなかった。


さて、どうだったでしょうか?今回………霧耶について細くしておきたいと思っています。霧耶はちょっとスケベな主人公であるということを伝えておきたいと思います。補足説明としては今のところそんなところで一人では立つことできない性格です。皆様、これからもどうかそんな霧耶の生活を見てやって下さい。

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