第99話
しかしそれも、次のラックの台詞で中断された。
「おい! 〝人魚の涙〟が二つあるぞ!」
ツバサはリリアを支えながら、ラックたちの集まる場所へ移動する。部屋の丁度中央辺り。そこにはいつ戻って来たのかモカもいて、ちょこんと床に佇み青の宝石を凝視している。
見てみると確かに〝人魚の涙〟が二つある。一体なぜ?
ディノも一緒に首を捻りながら、凝視している。
「ホント何でだろうね? でもここで悩んでても仕方ないし、取り敢えず今は両方回収して早くここから退散しない?」
手前の〝人魚の涙〟を取ろうとディノが手を伸ばした。
《触れるでない!》
今までどこにいたのか、機械音の叫びが響く。しかしダイスの台詞は間に合わなかった。ディノが〝人魚の涙〟を持つとカチッという小さな音がして、それからピッピッという変な音が聞こえ出した。
「何これ……?」
一同が首を傾げる中、ダイスが言いづらそうに濁声を発する。
《じ、実はな……、今ディノ殿が持っている方の〝人魚の涙〟は我が作った模造品なのだ》
「えぇ!?」
ディノが偽物を凝視しながら驚きの声を上げる。彼の横で同じように眺めながらラックも言葉を漏らす。
「よくできてんな……。本物見たことないせいもあるだろうけど見分けつかねぇぞ? ――でもさっきから鳴ってるこの変な音は何なんだ?」
静寂に響き亘る機械音。
《……お主たち、我のこと怒らないか?》
「は? そんなの内容によるだろ」
《我のこと怒らないと誓わないと言わぬ!》
「はあ!? テメェとっとと言えよ!!」
ラックがダイスをバシッと捉え、カメラに顔を近づける。これではダイスが話すわけがない。ツバサは呆れ顔で溜息をつく。
「ラック先輩、離してあげて下さい。ダイス先輩、怒りませんから話して下さい」
《……ツバサ殿、その言葉本当であるな?》
「本当です」
するとラックから解放されたダイスは、それでも実に言いづらそうに充分の間を溜めてから語り出した。
《ディノ殿が握るその〝人魚の涙〟は、人間の体温に触れると起爆スイッチが入る爆弾である》
「………………はあ!?」
ディノは反射的にすぐに偽物を放り投げ、ツバサは石のように固まり、ラックは声を荒げた。




