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第86話

 ディノからの話を聞き、解った、と答えてツバサは電話を切った。なるほどな、とケータイをしまう。自分の中に巣食っていた違和感が消えていく気がした。


 ツバサはマザーとティーナに目を向ける。彼女たちは落ち着かない、心配そうな表情を浮かべていた。


「折角現場を見せていただいたのですが、犯人の手がかりが残されていないので捕まえることができません。お役に立てなくて申し訳ありません」


 ツバサは頭を下げる。


「おいツバサ、諦めんのかよ!?」

《そうであるぞ。もしかしたら何か見落としがあるかもしれぬ。もう一度細部まで見てみた方が良いのではないか?》


 ああもうめんどくさい! と頭を下げたままのツバサは声に出しそうになって言葉を呑み込む。余計なことを! と思っていると、ツバサの意図を理解してか否か、カノンが同調する発言をしてくれた。


「ボクも無理だと思うよー。手がかりなしじゃ打つ手ないし、次の有効情報が見つかるまで動けないねー」

「カノン隊長様までそう言うのかよ!」


 ラックはぶつぶつと文句を言いつつも、カノンの判断を信用しているのか引き下がった。


「それでは失礼します」


 カノン班はその場から離れ、一度教会の外に出た。街の中心部とは反対側に歩き、住宅街を暫く歩いたところで立ち止まる。先頭を行っていたツバサがくるりと身を反転させた。


「で、ツバサ、何でこんなところまで俺たちを連れて来たんだ?」


 理由を告げずに連れ出された二人と一機は、ツバサをじっと見つめる。カノンは大方予想しているかもしれないが。


「多分、犯人の仲間が教会にいます。だからわざわざ話が聞こえないようにここまで足を運んでもらいました」

「どういうことだよ!?」


 ラックは戸惑ったように早口で語を紡ぐ。それに対し、ツバサはディノの話も併せて全て説明した。彼らは真剣にツバサの話を聴く。


「――だから、あと数時間でリリアを奪還しに行きます」


 ツバサはディノから送ってもらったゼノンの移動データ画面を見せる。車で移動している彼らは順調にバアル地区に向かっているようだ。


「ゼノンたちがバアル地区に着くまでに充分に準備を整えておいて下さい」


 いよいよリリアを助けに行くことができる。


 ツバサの話を聞いて、カノンもラックもダイスも力強く頷いた。

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